『ローマの休日』には元ネタが?と思わせるような快作、『ロイヤル・ナイト~英国王女の秘密の外出~』

王女さまのおしのび旅とその恋を描いたオードリー・ヘプバーン主演の名作『ローマの休日』には、もしかしたら元ネタがあったのでは? そう思わせるような驚きの実話がありました……

《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街~vol.137》

ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出 (C)GNO Productions Limited

 その映画化が『ロイヤル・ナイト~英国王女の秘密の外出~』です!

戦勝記念日の夜に
ティアラを外して外へ飛び出した王女様!

『ロイヤル・ナイト~英国王女の秘密の外出~』は、サブタイトルが既にすべてを物語ってはいますが(⁉)、今年で生誕90周年を迎えたイギリス史上最高齢・最長在位の英国君主エリザベス女王が、19歳の王女時代にロンドンの街中でお忍びの一夜を過ごした実話を基に映画化したものです。

時は1945年5月8日。ドイツが降伏し、連合軍によるヨーロッパ戦勝記念日を祝うため、エリザベスと妹のマーガレットは父の国王ジョージ6世の許しを得て、生れて初めてお忍びでバッキンガム宮殿から外出できることになりました。

しかし、その喜びで飲んだシャンパンに勢いづけられたか、おつきの目を盗んでバスに飛び乗ってしまったマーガレットを追いかけて、エリザベスはロンドンの街に出てしまいます。

さて、王女はこの夜、一体どんなことを体験することになるのか……?

実際のところ王女姉妹がその夜、具体的に何を体験したのかは本人のみぞ知るところで、本作はその謎の部分を映画的に想像してファンタジックに膨らませたストーリーに仕上げています。

ただし、単にロマンティックなだけでなく、社会の厳しい現実なども隠さず彼女らに見せつけているあたりも、作り手の奥深さに唸らされるところではあります(もっともマーガレットに関しては、かなりコミカルな風情でもありますが……)。

ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出 (C)GNO Productions Limited

王室と庶民の接点を
ゴージャスに疑似体験!

監督はイギリスの靴製造工場を舞台にしたロマンティック・コメディ『キンキーブーツ』(05)のジュリアン・ジャロルド。
王女さまも生身の人間で、一般の若者と同じように青春を謳歌する資格があることを示唆しつつ、その一方では快活で勝気な王女さまが後の女王としての自覚を身に着けていく過程なども余すところなく捉えながら、およそ庶民が体験することのできないであろうゴージャスな夢をとくと見させてもらうことができます。

主演のエリザベスには『危険なメソッド』(11)などデヴィッド・クローネンバーグ監督作品の常連で、世界で最も美しい100人に4年連続ランクインされたサラ・ガドン。
ここでは宮殿内の軍服姿からパーティでのドレス姿など多彩な面をエレガントに披露しながら、王妃の気品と、後の女王となる貫録の双方を醸し出す好演です。

(一方、国王ジョージ6世役のルパート・エヴェレットも、王妃エリザベス役のエミリー・ワトソンと、我らの時代の美男美女スターも、正直なところ、老けたというか渋くなったというべきか……。時の流れを痛感させられます)

『イン・ザ・ムード』や『タキシード・ジャンクション』など当時のヒットナンバーが時代色を盛り上げるとともに、およそ70年前、戦争終結直後のイギリスの状況などを疑似体験できるのもお楽しみではあります。

イギリス国民に絶大なる支持を得続けながら今に至るエリザベス女王の民衆との最初の接点を想像しながらエレガントに描いた本作は、きっと多くの女性を中心とする観客に受け入れられることでしょう。

デート・ムービーにも最適なこの快作、『ローマの休日』と2本立てで見てみたい気もしています。

ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出 (C)GNO Productions Limited

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(文:増當竜也

    ライタープロフィール

    増當竜也

    増當竜也

    増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画新作すべてのレビューをめざす『戯画日誌』、『衛星劇場プログラムガイド』誌に、毎月オンエアされる松竹映画名作群の見どころなどを紹介する『シネマde温故知新』を連載中。

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