モントリオール映画祭が分断?幕末なのにプリクラ? 『合葬』小林達夫監督独占インタビュー
一番の喜びは、撮りたいものに出会えた瞬間
―― 劇場公開の映画を監督するのは、今回が初めてということですよね。今までは「カントリーガール」など、自主制作のものや、文化庁が主催する「ndjc (若手映画作家育成プロジェクト)」の一環として作品を手がけて来られましたが、どのような経緯で今回の話が舞い込んできたのでしょうか?
小林監督「ndjc (若手映画作家育成プロジェクト)で作品を撮った時の制作プロダクションが松竹撮影所で、プロデューサーも撮影スタッフも、3分の1くらいが『合葬』と同じメンバーだったんですよ。引き続きお世話になった感じですね」
―― かねてより、劇場映画…しかも長編作品を手がけてみたいと思っていましたか?
小林監督「当然、長編は撮りたかったです」
―― 長編を撮ることになった時、喜びやプレッシャーなどはありましたか?
小林監督「大変だとは思いました。しかも時代劇ですからね。ただ、いつ決定したということもなく、ひとつずつ進んでいく訳ですよね」
―― 社内会議で企画を通したり、原作の使用許可をもらったり…とかですよね。
小林監督「そうですね。ひとつずつ進んでいった感じなので、『長編の監督が決まった』と実感するタイミングはなかったですね。常に目の前の課題で精一杯というか…。
でも、監督できる喜びという意味では、撮りたいものに出会えた瞬間が一番ですね」
―― 例えば、どんな時ですか?
小林監督「杉浦さんの作品は以前から読んでましたが、映画の原作を探していた訳でもなく、普通に読んでいたんです。でも、ふとした瞬間に『あ、今こういうのを撮りたい』っていうことに気づくと、すごく気持ちが高まります」
―― これからも長編映画を撮る機会があると思いますが、どのような作品を撮っていきたいですか?将来の展望などがあったらお聞かせください。
小林監督「そうですね。あまりテーマに縛られたくないとは思っています。無意識にこだわっていることはあるかもしれませんが、内容とか扱うものに『自分らしさ』みたいなものは出したくなくて」
―― 出したくないんですか?
小林監督「自分からせばめたくない、という感じでしょうか。自分がその時、映画にしたいと思う気持ちを一番大切にしています。そして、映画を観てくれる人を『驚かせたい』という気持ちはあります。奇をてらうという意味ではなく、劇場で意外なものに出会って興奮したことが原体験になっていますので、こだわりたいと思います」
―― 撮りたいものというのは、映像としてフッと浮かんできたりするのですか?
小林監督「映像ではないですね。映る人と風景で何を見せられるか、関係性とか、画の見え方とか、見せたい空気感とか…。そういうのがあると思います」
―― その場その場で、見せたいと思ったもの、作りたいと思ったものを、都度カタチにしていけたら良いなって感じでしょうか?
小林監督「そのとおりですね」
―― 最後に、シネマズを見て下さっている読者に一言お願いします。
小林監督「(映画『合葬』は)どう見ても時代劇だと思うんですけど、多分、時代劇らしくないというか…あ、でも、時代劇が好きな人にもぜひ見て欲しいので、うーん。何と言ったらいいかなぁ」
―― アハハハ!!
小林監督「とにかく、全員に見て欲しいです。『好き』も『嫌い』も、どっちの意見もあると思うんですけど、見なきゃ分からない映画になっていると思っています。見る前にイメージされるものとは違うというか、実際に観てみないと感じられないものを生み出せたと自負しています」
―― その表現、ピッタリだと思います!
小林監督「画の暗部や音響は、映画館で観てもらうことで感じてもらえる部分が多い作品です。ぜひスクリーンで見てもらえたら嬉しいです」
―― とにかく新感覚の映画ですし、映像の幻想美なども素晴らしいので、ぜひ劇場に足を運んで、大画面で観ていただきたいなって私も思います。本日はお忙しい中、お時間いただきありがとうございました。
小林監督「ありがとうございました」
映画『合葬』は全国の劇場で絶賛公開中!!
インタビュー中、じっくりと言葉を選ばれる姿が印象的だった小林達夫監督。表現に対する誠実さは、作品の色となり、セリフとなり、スクリーン全体から滲み出るようにも感じました。みなさんもぜひ、劇場にて小林達夫ワールドにトリップしてみて下さいね。
幕末の世に、青春の光とシュールレアリズムをトッピングした新感覚の映画『合葬』は、9月25日より新宿ピカデリーをはじめ全国の劇場で絶賛上映中です。
(取材: 大場ミミコ)
映画『合葬』公式サイト(http://gassoh.jp/)
https://www.youtube.com/watch?t=1&v=QQ1j9Y-wBKo
(C)2015 杉浦日向子・MS.HS/「合葬」製作委員会
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