マッドマックスに対抗心―日本初の4DX専用ムービー、白石晃士監督インタビュー
本日2016年1月16日より公開となる、日本初の4DX専用ムービー『ボクソール★ライドショー 恐怖の廃校脱出!』で監督、脚本さらに出演までこなした白石晃士監督に、本作が制作されるに至った経緯などを伺ったインタビューがシネマズに到着した。
『ボクソール★ライドショー 恐怖の廃校脱出!』
白石晃士監督インタビュー
映画『ボクソール★ライドショー 恐怖の廃校脱出!』は、日本初の4DX専用ムービーとして作られた体感型アクションホラー作品。
物語の中心となる、新人女子高生アイドルを、Twitterフォロワー数10万人以上を誇り、Seventeenモデルとしても活躍している人気女子高生・岡本夏美、映画『ホットロード』で主人公の友人ユッコ役を演じた渡辺恵伶奈、数々のCMや最近では舞台など女優として活躍する松本妃代らが演じる。
『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!』シリーズや『シロメ』で知られるホラー界の鬼才・白石晃士監督が監督・脚本さらに出演と1人3役をこなした。
本日より公開となる本作に関して、白石晃士監督に本作に魅力や、日本初の4DX専用ムービーとなった本作について話を伺った。
――日本のフェイクドキュメンタリー映画の分野ではまさに白石監督が第一人者だと思いますが、今の監督が感じているフェイクドキュメンタリーの面白さはどんなところですか?
白石:
今は立体的な3DCGを使って細密に見せることがエンタテインメント映画の主流の1つになっていると思うんです。そうじゃなくてもっとアナログな手法で、映画の原始的な面白さや娯楽性を呼び起こせる、しかも3DCGに対抗できる表現手段として、フェイクドキュメンタリーがあると思うんです。映画の野蛮な面白みを、現代性を持って楽しませることのできる手法なんじゃないかなと。そこが今の自分にとって一番の魅力ですね。
――4DXというとある種フィクションの極みのようなイメージもありますが、そこでフェイクドキュメンタリー的なリアリティや臨場感を表現すること、4DXを使ってそれを増幅させられるという確信みたいなものはありましたか?
白石:
自分はフェイクドキュメンタリーを撮っていて、本物のように見せたいとは一切思っていないんです。あくまでフィクションとして、絵空事として、架空の出来事を観ているうちに臨場感やリアリティを体感してもらう手法として使っている。そういう意味ではいつもフィクション性の高いことをやりたいしやろうとしているので、その延長線上に4DXがあるというのは、自分の中ではすごく合致するんです。
4DX自体が臨場感を出すための装置であるわけですが、映画の臨場感というのはつまりワンカットなんじゃないかと……!ワンカットのカメラワークの中でどんどん物事が起きていくと、観ているほうも画面に引き込まれていくと思うので、全編ワンカットに見えるように撮ることは今回も心がけてやってみたんです。それが4DXと組合わさったときに、よりスクリーンの中と地続きな感覚を得られるんじゃないかなと思ってますね。
――「戦慄怪奇ファイル コワすぎ!」シリーズのファンもきっとこの作品を楽しみにしてくれていると思います。
白石:
「コワすぎ」シリーズに出てくる田代というカメラマンのキャラクターというか、そのキャラクターを演じている私がその名前のままで、今回もカメラマン兼ディレクターとして登場しています。「コワすぎ」シリーズ主演の大迫茂生さんと久保山智夏さんの2人も面白い形で出演していますので、「コワすぎ」のメンバーがパラレルワールド的な世界でこんなふうに絡んでいる……というふうに観るのも楽しいかもしれません。
短い時間に詰め込んだ密度の高い4DXが楽しめる
――本作の企画の成り立ちについて教えてください。
白石:
「4DXで作品を作ってみないか」という依頼をいただいたのが最初ですね。4DXのシステムは、映画を2Dのまま楽しみながら、劇場側の演出でプラスαの面白さを加えられる点で興味があったんです。しかも日本では初めての4DX専用作品ということで、初ものはぜひやらせてもらいたいなとオファーを引き受けました。
――4DXに興味を持ったのには何かきっかけがあったのですか?
白石:
特にきっかけというわけではないんですけど、劇場ならではの体験をできるところが楽しそうだなと思ったんです。かつてウィリアム・キャッスル(飛び出す骸骨など客席を巻き込んだ上映方法でギミックの帝王と呼ばれた)がやっていたようなことの現代版ですよね。
――ちなみに最近4DXでご覧になった映画は?
白石:
『マッドマックス 怒りのデス・ロード』は拝見しまして、負けたくないなという対抗心もありました。規模はだいぶ違いますけど(笑)
――4DX専用ムービーということですが、他の4DX作品との違いは?
白石:
この映画は短編なので、短い時間に詰め込んだ密度の高い4DXが楽しめると思います。長編で長時間に渡って座席が揺れたり、水や風や匂いやスモークといったエフェクトが多用されていると、不愉快な4DXになってしまう可能性もある。でも短時間だったら多少アトラクション性を強めても楽しめるだろうというのが、長編との違いであり、良さでもあるかなと思います。
――4DX専用の映画を作るにあたって、通常の撮影現場と違いましたか?
白石:
基本的に2Dと違うことはないんです。ただ、脚本の段階から椅子の揺れや、どのシーンでどういうエフェクトを使うということをある程度想定して書きます。たとえば水のエフェクトを出したいからプールのシーンを作ったり。それに従って演出を劇場のエフェクトに少し寄せるということはありますね。
自分の撮った映像をまさかあんな形で体感できるとは
『ボクソール★ライドショー 恐怖の廃校脱出!』より
――女子高生役の3人はオーディションで選ばれたそうですが、どんな素質を求めていましたか?
白石:
まず「可愛い!」と思えることが第一条件です(笑)その上で、ナツミ役の岡本夏美ちゃんは集中力や気合いが抜きん出ていたので、彼女しかいないなと。前にも『カルト』という映画に出演したもらったことがあるんですけど、久々に会ったらやっぱりすごくよかったんです。
エレナ役の渡辺恵怜奈ちゃんは、オーディションで撮った映像を見たら「エッ」というときやビックリした表情がよくて。ビジュアル的にも個性的にも岡本夏美ちゃんとの違いがハッキリあったので、この2人の並びだったら追いかけていくのに面白いなと思いました。キヨ役の松本妃代ちゃんは実年齢も2人よりちょっと上で、3人の中でのセンター的な雰囲気やリーダーっぽい感じが、今回のようなフックのある役どころに一番相応しいなと思ったんです。
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