『ヒメアノ~ル』感想&「10」の魅力
(C)2016「ヒメアノ〜ル」製作委員会
10.“殺人のときの性的興奮”を疑似体験させる!
原作の森田は、殺人のときに性的興奮を覚えている、射精までしていると、淡々と語っていました。
映画の森田も、初めての殺人を犯したときにマスターベーションをするという、おぞましい行為に及んでいます。
そして映画では……“森田が犯した殺人”と、“岡田くんとユカちゃんのセックス”を、交互に映すのです!
これは言うまでもなく、森田が殺人のときに性的興奮を覚えていることを意味しています。
しかも、観客がもしもユカちゃん(佐津川愛美)の喘ぎ声や裸に興奮してしまうと……そのつぎには森田が殺人を犯す場面でも“興奮をし続けてしまう”というわけ。
ともすれば“殺人で性的興奮を覚えていること”を疑似体験して“しまう”のです!
もうこのシーンを観たとき、“勘弁してくれよ……殺人鬼が人を殺したときの性的興奮なんて知りたくなかったよ……”と、違った意味で泣きそうになってしまいました。
映画は、日常では知り得ない感情を体験させてくれる媒体。このような、いままでになかった気持ちにさせてくれる吉田恵輔監督は、このうえなく意地悪で……そして、大天才です。
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(文:ヒナタカ)
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