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『コントラ』レビュー|インド出身監督が私財を投げ打ち、時空を逆走する男が出現する映画を作った

(C)2020 KOWATANDA FILMS. ALL RIGHTS RESERVED

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2021年3月20日より、映画『コントラ KONTORA』が新宿K's cinemaで公開、以降も全国で順次公開となります。

パッと見ではとっつきにくい印象も持たれるかもしれませんが、実は意外な親しみやすさを備えた、エッジの効いたインディーズ映画が好きな方へ存分におすすめできる秀作でした。

実際に、エストニアのタリン・ブラックナイト映画祭でのグランプリ&最優秀音楽賞を受賞をするなど、国際的にも高い評価を得ています。作品の魅力を、さらに以下に簡潔に記しましょう。



あらすじ
女子高生のソラ(円井わん)は父親(山田太一)と二人暮らし。ある日、ソラは急死した祖父が第二次世界大戦時の日記の中に記していた宝の存在を知る。その後、ソラはなぜか無言で後ろ歩きをしている謎の男(間瀬英正)を目にするのだが……。

本編では、「祖父の遺した宝はどこにあるのか?」「後ろ向きに歩く男は何者なのか?」という2つの軸がミステリーとなっており、同時に寂れた田舎での閉塞感も描写していきます。

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しっかりと興味が持続する謎が根底にあり、人物描写も細やかなので、2時間23分という長尺でも全く飽きることはありません。

長回しでじっくりと美しい風景を映し出す贅沢さは、『サタンタンゴ』などのタル・ベーラ監督作や『惑星ソラリス』などのアンドレイ・タルコフスキー監督作を思わせるところもありました。

そんなクラシックな映画を連想させる作風ながら、アンシュル・チョウハン監督本人はアニメーターとしての経歴を持っているということも興味深いところです。

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そして、ユーモアも満載であるということも本作の魅力。そもそもの「後ろ向きに歩く男」という設定も少しコメディっぽいですし、絵面としても、あの時間が逆転する『TENET テネット』に通ずる面白さがあります。

主人公の女子高生が、戸惑いながらもその男に優しく接しようとするも、そのヘンな行動にツッコミを入れたりする様、彼に不信感を持つ父親とのやりとりには、どうしても笑ってしまいました。

ちなみに、タイトルの「コントラ」は英語の「Contradiction(反対)」からとられており、後ろ向きに歩く男もそうした概念を表現しているそうです。

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そして、本作の物語はインド出身の監督であるアンシュル・チョウハンが、自身の家族を思いながら構成したそうです。

初めは日本で映画化することに戸惑いもあったそうですが、第二次世界大戦時に特攻隊員となった生徒たちの手紙を読む機会に恵まれ、「国が違えど思うものは同じであった」と強く感じ、作品舞台となる岐阜に訪れたことを契機に、自身の人生経験を台本にはめ込め始めたそうです。

そして、アンシュル・チョウハン監督は、ほとんどの資金、生活費を、この『コントラ』につぎ込んだのだそうです。宣伝費用などもほとんど底をついている状態で、支援のためのクラウドファンディングが3月26日まで実施されています


作品に込められた「現代の人々の姿を通じて、戦争の時代に思いを馳せる」という志は、日本人の心に響くでしょう。その上で十分な娯楽性も備えた面白い映画となった『コントラ』は、心から応援したくなる作品でした。ぜひ、贅沢な映像をじっくりと堪能できる、劇場でご覧になって欲しいです。

(文:ヒナタカ)

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