『ズートピア』じっくり観てほしい、あまりにも細かすぎる「5つ」の盲点
3.ライオンハート市長とベルウェザー副市長にはモデルがいた?
本作は世界中にある偏見や差別を描き切った内容であり、劇中の草食動物を白人、肉食動物を有色人種と捉えることができます。
劇中で肉食動物(有色人種)が差別されること、草食動物(白人)の方が肉食動物よりも遥かに数が多いと示されることは、アメリカという国そのものを示していると言ってよいでしょう。
それに転じて、ライオンハート市長はオバマ大統領、ベルウェザー副市長はその昔に副大統領候補だったサラ・ペイリンを指しているとも考えられるのです。
ライオンハート市長はその名の通りライオンで肉食動物であり、それはオバマ大統領が黒人であることに符合しています。
劇中でライオンハート市長は、凶暴化した肉食動物を隠しておくという方法を取っていたのですが、これはオバマ大統領がたびたび指摘されている“引き延ばし”な政策に重なります(例えば、オバマ大統領は米軍のアフガニスタン駐留について2度撤収を延期した後、2016年末に人員を残して撤退規模を縮小すると発表しています)。
ベルウェザー副市長は物語の黒幕であり、肉食動物への偏見を煽ることを企て、自身は草食動物からの票を集めようとしていました。
サラ・ペイリンは女性から票を集められるということで注目を浴びた人物でしたが、その資質にはたびたび疑問の声が上がっていたりもします。
何よりベルウェザーとサラ・ペイリンはメガネをかけていることもあり、見た目がけっこう似ているんですよね(なお、サラ・ペイリンは2016年大統領選にて、ドナルド・トランプ候補の支持を表明していたりしています)。
これらの共通点は、ライオンハート市長とベルウェザーに“モデルがいた”というよりは、現実の政治家にも同じような人物がいるという“くすぐりを入れている”と捉えるべきかもしれませんね。
4.キャラクターの名前に隠されていた秘密とは?
キャラクターのそれぞれの名前も興味深いものになっています。個人的には、その名前(苗字)は“それぞれが目指していたもの”を示しているかのようにも感じられました。
たとえば、ライオンハート市長のフルネームは“Leodore Lionheart”。Lion Heartは、英語の慣用句で“勇敢な心”を指しており、劇中で彼がこそこそと肉食動物を隠していたことと対照的です。
ベルウェザー副市長のフルネームは“Dawn Bellwether”。“Bellwether”とは、羊の群れの先頭にいる“首鈴付き羊”のことで、転じて“先導者”。“Dawn”とは夜明け、転じて物事の始まりを意味します。
この名前自体が、ベルウェザー副市長の“自分が民衆を先導する人物になる”という野心を表していたとも取れるのです(もっとも、その野心は間違った方法へとつながったのですが)。
海賊版のDVDを売っていたウィーゼルトンの本名は“Duke Weaselton”。Dukeとは“公爵”という意味で、この名前はじつは『アナと雪の女王』に登場するウィーゼルトン公爵から取られており、原語でも吹き替え版でも同じ声優が演じていたりするのです。
“公爵”という立派な名前がついているようですが、苗字の一部にある“Weasel”の意味は“イタチ”に転じて“こそこそしたズルい男”という意味があったりもします。これは“らしい”名前ですね。
なお、“Fox(キツネ)”にも“Weasel”のような“ずる賢い”という意味があるのですが、詐欺師のキツネのニックのフルネームは“Nick Wild”であり、Foxという単語は入っていません。 これは“(こそこそとせず)ワイルドに生きたい”というニックの性格が表れているようでした。
警察官のジュディの苗字である“Hopps”も“らしさ”を感じます。日本でも浸透している“hop-step-jump”という言葉があるように、“はじめのひとっ飛び”を示しているようでした。
さらにさらに、ヌーディストたちのコミュニティにいた、ヨガのインストラクターのゾウの名前“Nangi(ナンギ)”は、ヒンドゥー語で“裸”を意味しているそうですよ。
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