映画コラム

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2016年10月15日

観た人ほぼ絶賛?珍しいタイプのドキュメンタリー『築地ワンダーランド』

観た人ほぼ絶賛?珍しいタイプのドキュメンタリー『築地ワンダーランド』

TSUKIJI WONDERLAND (築地ワンダーランド) メイン


(C)2016松竹


皆様、ごきげんよう。編集部公式ライターのじぇみ じぇみ子です。
いよいよ『築地ワンダーランド』が本日10月15日より全国で公開されます!

舞台となった築地にほど近い東劇で先行公開していた『TSUKIJI WONDERLAND(築地ワンダーランド)』は、観た人のほとんどから絶賛されている珍しいタイプのドキュメンタリー映画です。

ドキュメンタリーが苦手な人にもぜひ観て欲しい“誇り”と“独特な文化”が詰まっています!

『TSUKIJI WONDERLAND(築地ワンダーランド)』ってどんな映画?あらすじは?




ドキュメンタリーなので“あらすじ”というものは本来ないのかも知れませんが、この映画は非常にドラマチックです。

ただの魚介類の流通場所ではなく、日本中どころか世界中から買い付けの注文が来る唯一無二の市場である“築地市場”
ここでは“仲卸(なかおろし)”という卸売業者と小売業者を仲介する業者さんたちが大活躍しています。

築地市場のイメージそのものである仲卸の方々に特にフォーカスがあたっていますが、競りを担当する卸売り業者や小売業者であるお魚屋さんやお寿司屋さんなどの職人さんたちのコダワリまで収められています。

予告に出てくる“人生を懸けて極める《伝統》”と“息づく職人の魂”という一文、本当にそんな映画です!

誇りと信用、職人を支えるのもまた職人


TSUKIJI WONDERLAND (築地ワンダーランド) サブ3


(C)2016松竹


仲卸の方々は単なる仲介というよりは、馴染みの客の注文を出来るだけ良い状態で間違いなく用意する、という役どころも担っているようでした。

東京にはいろんなお店がありますが寿司屋や天ぷら屋など専門店が多く、彼らはこだわり抜いた職人です。(そんなお店がいくつか紹介されるのですが、どこも聞いたことのあるような有名店!本当に美味しそうで美しかった!)

そういった“価格は高くても美味しい旬の魚が欲しい”職人なのか、それとも給食で使うなど“ある程度の価格で出来るだけ美味しい魚で数が必要”なのか、そんなニーズに合わせて魚を用意する仲卸さんたち。

TSUKIJI WONDERLAND (築地ワンダーランド) サブ1


(C)2016松竹


築地にはそれぞれ得意とする専門の仲卸の業者が居て、映画でもマグロ一筋やアナゴだけをずっと見てきたという専門職の方々が登場します。

触っただけで、身の色を見ただけで、どんな魚か分かってしまうようなプロの目を持った職人たちです。“神経抜き”という衝撃の技術も出てくるのですが、当たり前のように皆さんやっています。

こういった職人たちが居るから美味しい魚が食べられるんですね!

美しくカッコイイ映像と見事にマッチする音楽


TSUKIJI WONDERLAND (築地ワンダーランド) サブ4


(C)2016松竹


普通のおじさんが歩いているだけのはずなのに序盤から心を奪われてしまいました。

スローモーションやタイムラプスを取り入れ、明るめで背景が少しぼやけるような、一つ一つがポストカードになるような映像で、魚を触る、卸すなどの所作がより一層かっこよくこれも一つの伝統芸能のようでした。

TSUKIJI WONDERLAND (築地ワンダーランド) 築地市場


(C)2016松竹


また海外を意識してか、ナレーションが英語で字幕になっているのもステキでした。多く登場して解説するテオドル・ベスター教授も英語を話しているので心地よい流れです。
教授はハーバード大学の人類学の権威で、自身も15年も取材して著書『築地』を書きあげています。

音楽を担当したTakahiro Kidoさんはアフターパーティーで大変な仕事であったことを語っていました。(アフターパーティーの様子はこちらの記事でどうぞ

かなり厳しいスケジュールで楽曲制作を担当していたようですが、インストゥルメンタルが見事にマッチして余計に心を動かされました。

彼らの生きている日常は“特別で美しい!”


TSUKIJI WONDERLAND (築地ワンダーランド)


(C)2016松竹


『築地を記録したくて築地を作り上げている人達に密着した。』と監督が語っているように、1年以上築地に密着取材、完成に4年近くかかった本作。

実は完成のためにクラウドファンディングも行っていました。理由は世界一と言われる“築地”の文化を世界中の方々にも観てもらえる映画という形で遺したいというものだったようです。

そのおかげで機材をランクアップさせることが出来たそうで、空撮などを使った景色の映像は本当に美しいものでした。異例の長期密着、そして普通は入れないような場所まで入れてもらえたのは監督の人柄なんだそうです。

TSUKIJI WONDERLAND (築地ワンダーランド) サブ2


(C)2016松竹


“騙し合い”は築地の独自の文化でもあると思います。マンガ等でも描かれていることが多い部分です。

“○○さんのところの欲しい魚はこういう魚”というところまで理解し買い付けに走る仲卸の方々は、注文が殺到すると値段がつり上がってしまうため、毎日顔を合わせる他の仲卸にも“嘘”をつきます。

カメラを忘れた素のやり取りも多く収録されていて、密着取材の馴染みっぷりが凄かったんだろうと思いました(笑)

中の人である仲卸さんたちは移転問題をどう思っているのか


TSUKIJI WONDERLAND (築地ワンダーランド) キービジュアル


(C)2016松竹


日本橋から始まり築地に移転して80年の歴史を持つ市場が移転するということで話題になっていますね。完成披露試写会でもそんな質問が飛び交いました。

登壇していた仲卸の島津さんが答えた一言に本当にしびれました!
「僕らは誇りを持って仕事をしているプロフェッショナルの集団。多分僕らの代わりはこの世の中に存在しない。僕の代わりはいっぱいいるけど、束になった時の築地の仲卸の代わりはどこにもいないので、僕らのいる所が市場になる。」
かっこいいぃぃ!!

そんなプロ集団のことを垣間見える素晴らしい作品でした!
ちなみに私はドキュメンタリーは苦手な方なんですけど、これはそう思っていた映画と全く違うと思いました!

「全員見て欲しいし学校でも見せて欲しい!」と思うくらいお気に入りな私です。ぜひ劇場でご堪能ください!

東銀座からすぐの東劇で早めの上映を見てそのまま築地へ足を伸ばすのもオススメです!

あと公式サイトの充実っぷりが凄まじいのでハマった方はこちらもどうぞ!

『TSUKIJI WONDERLAND(築地ワンダーランド)』公式サイト
http://tsukiji-wonderland.jp/

それでは皆様ごきげんよう!

(文:じぇみ じぇみ子)

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