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「淵に立つ」「ANTIPORNO」、女優 筒井真理子。語る、語る、語る。

昨年「淵に立つ」の演技で、各種の主演女優賞を獲得した女優・筒井真理子が、28日から公開される「ロマンポルノ・リブート・プロジェクト」の1本「ANTIPORNO」で大胆な演技を見せている。園子温監督の演出のもと全裸もいとわぬ、しかも相手役の冨手麻妙とはSM的な関係で、この描写もかなり過激だ。

劇団「第三舞台」の看板女優から映画デビュー。現在では芝居、映画、テレビに加えてお笑いコンビ「つつまつ」を松本明子と結成するなど新たな魅力を見せる、今をときめく女優にインタビューを試みた。



「1日24時間じゃ、足りません!!」


-先日「3月のライオン」という映画を見たのですが、前編のほうで出てらっしゃいましたよね。カラオケ・スナックのママ役で。

筒井 はい。ほんの一瞬ですけど。ワンシーンだけの役であっても、スケジュールが空いている限り、オファーはお受けします。というか、シナリオが送られてきて、それを読むと「面白い!!」と思っちゃうんですね。そうなったら、もうダメ(笑)。シナリオを読むのも好きですし。ですから、時々困ります(笑)。以前お話のあった役で、ストーリーを追っていくと、人格的にまとまりのない役でしたが、こういう役こそ腕の見せ所!と、色々プランニングをしました。でも結局スケジュールが合わずに出演出来なくて。ですから、もう1日24時間じゃ足りません!! もっと時間が欲しいと思います。シナリオを読んで、頭の中で色々と組み立てるのが好きなんですよ。ここはこうしたら面白くなるぞ、とか。とにかく準備するのが大好きです!

-小さな役でも、シナリオが面白ければどんどん出る。主役でなきゃイヤだとか、どうしてもこの役をやりたいから、自分で取りに行くということは、今までなかったんですか?

筒井 それは全然ないです。主役でなくても面白い役であれば。



「どこでも良いから、私を誉めて!!」


-でも、映画デビューは主役ですよね(と、1994年に公開された筒井真理子主演「男ともだち」のチラシを見せる)。

筒井 懐かしい!!! そうそう、そうなんです。いきなり主役の話が来たんですよ。それで撮影して、ラッシュ試写を見たんですが、ショックで倒れそうになりました。もうまったくダメ(笑)。「明日から撮影に行けない」とさえ思いました。それでその日はマッサージに行って、気を取り直してから周囲の人に言ったんです。「すいません。どこでも良いから、私を誉めて下さい」って(笑)。記録さんは誉めてくれたんですが、プロデューサーが私の肩にぽんと手をかけて「君のこの肩に、億のお金がかかっているんだからね」って言うんです。あの時は、自信喪失して落ち込んで、本当に木っ端微塵でしたよ。せめて「眉毛の形がいいね」だけでも誉めてもらいたかった(笑)。でもあの現場では鍛えられました。その後自分のことを、だんだん客観的に見られるようになってきました。

-それからキャリアを積んで、現在に至ると。

筒井 今までたくさんの仕事をさせていただきましたが、満足した役ってひとつもないんですよ。でも、どこが気に入らないのかは他人には言いません。秘密です。



「淵に立つ」で最優秀主演女優賞を受賞したことよりも、最優秀作品賞をもらったことのほうがうれしい!


-今年に入って、「淵に立つ」の演技で、数々の主演女優賞を受賞されていますが、以前と比べて身の回りのことは変わりましたか?

筒井 何も変わりません。それよりもうれしかったのは、高崎映画祭で「淵に立つ」が最優秀作品賞をいただいたことです。最優秀主演女優賞の受賞も確かにうれしいのですが、最優秀作品賞をいただくことは、映画そのものが評価されたからですよね。私は自分だけよりも、作品が誉められたことのほうがうれしい。みんなでお祝い出来ます。

-「淵に立つ」では、見知らぬ乱入者に翻弄される主婦を演じるため、肉体改造までされたと聞きました。

筒井 ひたすら食べましたね。3週間ぐらい経つと、手が震えてくるんですよ、食べ過ぎで。生命の危機を感じました(笑)。でも身体が変わることで、気持ちも変わりますからね。それからあの主婦を演じるために、同じような経験をされた方にお会いして、お話を聞きました。やはり自分で作っていくだけではダメ。自分の想像力だけじゃダメなんです。自分の脳味噌だけで考えることなんて、小さな事に過ぎません。具体的には終盤のシーンのために、とにかく太りました。1日おきに近所の担々麺店さんに行って、担々麺と水餃子を食べて。私、おかしな人と思われていたかもしれない(笑)。それを元に戻すためには、断食しましたよ。ちょうど年末年始だったので、忘年会のお誘いとか全部断って。



「ANTIPORNO」出演にあたって決めた“3つの覚悟”


-日活ロマンポルノの新作「ANTIPORNO」ですが、園子温監督とは、以前お仕事をされていますよね?

筒井 はい。「希望の国」と、世界の新進監督6人に短編をそれぞれ撮らせるオムニバスで「Love of Love」という15分の作品に主演しています。

-いつものように、このお話もまたシナリオが送られてきたんですか?

筒井 園監督から「この役を、ぜひやって欲しい」というオファーをいただきました。シナリオを一読して思ったのは、これは園さんの悲鳴であり、もの凄い本気感を感じましたので、このお話は受けなくては!!と思いました。

-ですが、ヌードシーンはあるし、SMまがいのシーンもある。それは抵抗なく受け入れられましたか?

筒井 役柄としては抵抗ありません。ただ、家族には一言話しておかないと行けないと思い、姉に相談しました。両親はもういないので、姉が母親のような存在で、彼女はとても固いタイプの人です。でも「人間は細胞分裂で生まれてくるんじゃないんだから、本当のところを描かないと、ちゃんと見えて来ないこともある。必要であれば良いんじゃない」と気楽に言われて吹っ切れました。あ、でも兄にはまだ言っていません。作品を見たら、卒倒するかも(笑)。

-そこまでして、この役を演じたいと思われたのですね。

筒井 この映画は園さんの叫びですから、出演しないという選択肢はありません。その上で、3つの覚悟を決めました。1つ目は、このお仕事を引き受ける覚悟です。映画の最後で私が演じる秘書が話す長い台詞。あれをどうしても言いたかった。ただ、あの台詞を言うためには、人としての覚悟がないとダメなんです。そういう覚悟がないのなら、これから先も役者をやって行く意味もないとさえ思いました。とはいえあの台詞を言うシーンの撮影前夜は眠れなくて、翌朝、日活撮影所に到着して、所内に鳥居があるのですが、そこにお参りして「助けてください!」とお祈りしました。

-あと2つの覚悟というのはどんなことですか?

筒井 2つ目は、社会的なリスクに対する覚悟ですね。それと3つ目は家族。完成した作品を見て、まるで他人を見ている感じがしました。自分なりのダメ出しもあります。そもそも園監督は演技指導を細かくする方ではありません。誉めてもくれなければ、叱ってもくれません。監督のイメージと違えば、「こんな感じでやってください」とは言いますが。私としては監督が何を望んでいるのだろう?そこを1ミリでも超えて、それを演技で表現することを心がけました。とにかくこの映画は園さんのストレートな叫びですから、監督も殺気だってましたし、現場もテンション高かったですよ。今回は予算も限られているし、撮影期間も長くはありませんので、スタッフは皆、不眠不休でしたが、よく頑張ったと思います。

-今後、どんな役を演じてみたいですか?

筒井 どんな役をやるのも大好きですが、気持ち悪いほど優しい人。逆に凶悪事件の犯人の役とかやってみたいですね。面白い役で面白い監督と、面白い座組でやりたいですね。それからコメディをやりたいですね。私、第三舞台ではコメディエンヌでしたから。映画ではコメディやったことないんですよ。

(取材・文:斉藤守彦)
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