インタビュー

2017年03月02日

『ハルチカ』橋本環奈、市井昌秀監督インタビュー。フルートの本番で腱鞘炎になりながらも成功

『ハルチカ』橋本環奈、市井昌秀監督インタビュー。フルートの本番で腱鞘炎になりながらも成功




『ハルチカ』のW主演の一人である橋本環奈さんと市井昌秀監督にシネマズby松竹は単独インタビューを行い、フルートに初挑戦した橋本さんの感想や市井監督のこだわりのシーンなどお尋ねしました。

──まず『ハルチカ』がどういう作品かを教えてください。

橋本 いろいろ詰まっている作品です。恋人じゃないけれど友達より特別というハルタとチカの関係性で、二人が最初から最後にかけて成長していく物語です。演技はもちろん、フルートも頑張りました。部員が対立するシーンが個人的に好きなシーンで、皆さんアドリブも入ってとてもリアルに仕上がっています。

市井 喧嘩のシーンは部員たちに多少方向性だけを与えて、撮影しました。『ハルチカ』の名の通りハルタとチカが中心ですが、等身大の生きた高校生をしっかり描きたいので、部員たち全員にフォーカスしたシーンです。

──橋本さんの役柄について教えて下さい。

橋本 チカはすごくまっすぐで不器用で、何事に対してもチカなりに考えていて、思い立ったらすぐ行動する子です。いい意味で人を惹きつけるというか、(吹奏楽部を再建するために)部員を集めていくところもチカの魅力があったからだと思います。

ハルタと久し振り再会したのにも関わらず、チカの性格は変わっておらず、傲慢っていうと語弊があるかもしれませんが、ハルタを昔と同じように引っ張っていく強さがあります。

何にでも明るく、ポジティブに捉えて、中学のときに怪我して運動系のクラブを挫折して、高校でフルートをやるのですが、全体的にポジティブな子です。途中フルートでも挫折を味わい、ハルタのことや部員のことなど周りが見えなくなる時がありますが、そういうところは不器用ですが、心根は常に明るく、潔い子だと思います。

──チカの挫折のシーンが大変だったらしいですね。

橋本 フルートが吹けないという挫折なので素直な感情は出せたと思います。『ハルチカ』のテーマ曲になっている曲を、吹奏楽部で演奏するシーンがあるのですが、そのソロパートがとても難しくて、ずっと練習していました。吹けるようになるシーンも、本当に吹ききれないとリアリティが出ないので大変でした。

ハルチカ 橋本環奈 劇中カット1


(C)2017「ハルチカ」製作委員会


──初挑戦のフルートはいかがでしたか。

橋本 音を出すのも難しいし、息の速さで音も変わったりするし、音のキーの数も多くて、指を早く動かさなければいけません。指を動かす練習をしすぎて腱鞘炎になりました(笑)。

実はチカがソロパートを初めてきちんと吹けるようになるシーンがあるのですが、そのとき実は腱鞘炎でした(笑)。

手が動きにくかったけど、吹けてよかったです。1日やらないと鈍るし、完璧にできないと私自身が納得できないし嫌、チカも嫌だと思う。そういう完璧主義っぽいところはチカと私の共通点だと思います。

市井 環奈ちゃんと(佐藤)勝利くんは、楽器の練習を半年以上やっていて、クランクイン前の合同練習で、皆の演奏が合わさって重なったとき、とても心を揺さぶられました。

撮影中の合間も集まって練習していて、感心しましたね。

実は、自分もトランペットを久々に吹いてみましたが、音は出たんですが、長時間練習する苦労を実感しました。

橋本 トランペットって口が疲れません?

市井 疲れる。

橋本 楽器によって疲れる部分が違うんですよ。どの楽器も確かに口の形は大事だけど、ホルンやトランペットだと口が疲れて音が出なくなるんですよ。フルートは指が疲れて動かなくなってきます。

市井 (前田)航基くんも毎回全力でトランペットを吹いていて、最後の方は疲労感一杯でしたが(笑)、本番ではちゃんとやりきってくれました。

──橋本さんの印象を教えて下さい。

市井 環奈ちゃんは、器用なんだけど、不器用なところも恐れず出し切って、背伸びせずにチカを演じていましたね。
完璧主義で、役に向き合う真摯な姿勢や妥協を許さないところなども魅力です。信頼のおける役者だと思っています。




──こだわりのシーンはありますか。

市井 どのシーンも大好き。撮影が楽しくて。原作があるのに、かなり市井節がでてるなと思います。

橋本 あ、分かります。原作とは違った、ストーリーが生まれているというか、撮影初日が始まる前に楽器の演奏もやりましたけど、本読みなどを監督と一緒にやったときに、「とにかく新鮮に」ということを大事にされていました。

市井 映画の中で、本当に生きている人であって欲しい。部員勧誘のシーンで外で演奏して部員が集まってくるところとか、最後の大団円のところとかファンタジックになるシーンもあるんですが、現実とファンタジーの振り幅が非常に大きいです。

橋本 普通の恋愛映画ではないです。ファンタジーに飛ぶところとかも、夢のような世界というか、現実からパっと切り替わるので、試写で見ていて楽しかったです。

──原作と大分変わっている部分もありますが、原作者さんから注文はありましたか。

市井 ハルタとチカと草壁先生がいたら何を書いてもいいと言われました。映画ならではの感じで。ミステリーや吹奏楽部、ハルタとチカ、草壁先生、全てを見せていくことは2時間の枠では収まらないし中途半端になるので、それであれば吹奏楽部に焦点を絞ることを心がけました。

──橋本さんは今後どういう役に挑戦してみたいですか。

橋本 今はどんな役でもやってみたいです。『ハルチカ』のときは等身大で、撮影したとき高校2年生で、もうすぐ卒業。高校生だからこそ、等身大の自分を見せられます。年々、年に合ったものも、合ってないものもやっていきたいです。


(取材・文:波江智)

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