『ハルチカ』前田航基インタビュー、キャストたちとは音楽が共通点
『ハルチカ』で吹奏楽部の片桐部長を演じる前田航基さん。今回はトランペットにも初挑戦されています。もともと音楽好きで、いまも練習しているとか。
そんな前田さんに、主演の橋本環奈さんや佐藤勝利さん、共演した同世代のキャストとのエピソードを聞いてみました。
──前田さんが演じられた役柄について教えて下さい。
前田 片桐といって、廃部したときの吹奏楽部の部長をやっていて、チカ(橋本環奈)を中心に吹奏楽部を再興していくなかで、また部長として皆をまとめていく役どころです。
──初挑戦のトランペットはいかがでしたか。
前田 高い音を出す練習からはじめて、慣れていくにつれ口の筋肉のどこを使っているかが分かってきたので、徐々にその加減を調整して低い音も出せるようになってきました。いまも練習しています。
トランペットは肺活量がいる楽器で、高い音は特に肺活量が最大限に使われるので、高い音を出した後はフラフラします。
──ハルチカのキャストで演奏会みたいなことをやったと伺いました。
前田 コンクールのシーンが最後に撮影されたシーンだったのですが、実は撮影終了後に撮影を止めてただ純粋に演奏をするという機会をもらい、皆で楽しく演奏できてすごく感動しました。撮影が終わった直後ということもあり達成感があって、いままで頑張ってきた集大成のように感じて涙しながらの演奏会でした。また音楽で皆と1つになるという演奏会ができたらと思ってます。
──誰かに聞かせたいという気持ちはありますか。
前田 聞いてもらいたいというより、皆で合わせることが意義だったり、頑張ってきたことを皆で感じるといった感じでしたね。
──主演の橋本環奈さんの印象を教えてください。
前田 前回共演した『セーラー服と機関銃』のときと同じで、今回も主演という位置でしたが、皆の心の支えで、いつも場の空気を明るくしてくれて、皆が頑張れるようにしてくれていました。
(C)2017「ハルチカ」製作委員会
──前田さんが思う『ハルチカ』の魅力は何でしょう。
前田 原作が小説で漫画化やアニメ化もされているし、恋愛もののイメージがあるかもしれませんが、それとは一味違います。学園・青春物で、皆の苦悩とか、苦労が実ったりする所を独特の撮影方法を交えて、面白い表現をしています。大人の方は昔感じた甘酸っぱさなども感じてもらえるかなと思います。
最後の大円団のシーンや、練習しながら皆で踊ったりするシーンは面白いシーンになってるので楽しんでいただけたらと思います。
──市井監督の演出で印象に残っていることはございますか。
前田 監督は「かっこよく、かわいく撮るから信用してくれ」と仰っていて、完成した作品を試写で見て、本当に皆のいい所を映してくださったんだなと思いました。
「無駄なものを抜いて自然に、何か乗っかっていたらそれを省いてほしい」と仰っていたので常に心がけていました。
一番印象的だったのは、草壁先生役の小出恵介さんに本読みのとき「棒読みでやって欲しい」と仰っていたことです。棒読みでやって欲しいという指示は初めてだったので凄いなという印象でした。
あと「自分自身を役として、自分のキャラクターを信じてやって欲しい、皆を信じてこっちは選んでるから、それを出してくれたら変な味付けはいらない」と仰っていました。
僕が演じた片桐 が悩むシーンで、ジャンプして腕組みしながらあぐらをかいて着地するという変わったシーンがあるのですが、最初はただ部屋の隅に行くだけのシーンでした。でもそれでは面白くないということで、メリハリというか、遊べるところというか、ふざけて許されるところは楽しく撮影する方が面白いんじゃないか、ということでそうなりました。
──とてもいいシーンでした。
前田 なかなかないですね。ファンタジーな表現で、監督はそのファンタジーをよく「カオス」という風に表現されていました。(笑)混沌とした楽園というか、そんな表現を楽しんでいただきたいです。
──もう一人の主演である佐藤さんや、他の共演者の印象を教えてください。
前田 年上の勝利くんは先輩って感じで、優しくてかっこよかったです。小出さんは、大人のキャストということで緊張することもありましたが、面白くて、撮影最終日は小出さんを中心に皆で盛り上がって楽しかったです。
──市井監督の印象ははいかがでしたか。
前田 コレというものがあり、普段はそれを口にすることもなく、僕たちがそれを気づけるように手を差し伸べてはくださるのですが、決して答えをいうことはなくて、僕たち自身がそれを引き出すことに徹してくださっていて、監督に支えられてるなと毎日感じてました。奥ゆかしさを持っていながら、熱さを秘められていて魅力的な方だと思いました。だから『ハルチカ』は完成したんだなと思いました。
──ハルタとチカの距離感が面白いと思いました。
前田 見ててもどかしくもあり、意図せず抱き合ったりして、二人のファンの方は興奮したり、ときめいたりするんじゃないかなと思います。試写で見たときは、いいな、学園感あるなと思いました。
(C)2017「ハルチカ」製作委員会
──トランペットは唇が疲れると伺いました。
前田 口は疲れるし、肺も疲れます。唇にマウスピースを強く押し当てて唇の揺れを伝えて音を出す楽器なので、基本的に痺れたような小刻みに震わせるので、ずっとやってると唇が腫れます。市井監督も昔トランペットをやられていたようで、現場で一度演奏してらっしゃいました。
──撮影中に面白かったエピソードはありますか。
前田 毎日が楽しかったです。僕が結構汗っかきなのですが、それが役にも取り入れられていて、実は劇中でタオルを付けているところが毎回変わります。なので、どこに付けているか注目して見ると面白いかもしれません。
──今後はどういう役に挑戦してみたいですか。
前田 殺人犯とか犯人とか人間が普段あまり抱かない感情を出す役をやってみたいです。あとはコミカルな「リーガル・ハイ」みたいな面白いことを自然にできる役をやってみたいです。見てて明らかに面白いのですが、どこか自然で嫌味じゃなく心地いいみたいな感じのものをやってみたいです。そういうものには挑戦したことがないので、できたらいいなと思います。
──キャストの方は同世代が多いと思いますが、オフの日に遊びに行かれたりはするのですか。
前田 たまにカラオケに行ったりしています。仲がいい現場だったのでよく連絡を取り合っています。仕事の話とかは、あまりしませんね。
楽器の経験者が多くて音楽がひとつの共通点。『ハルチカ』という映画で出会いましたが、音楽で団結したという認識でもあるので、カラオケは共通することが多いかなと思います。
──今後ジャズやロックみたいな音楽映画も出演してみたいですか。
前田 もちろん。今回で音楽の力や楽器の力を知れたので、機会をいただけたらぜひ。
ギターに昔挑戦してみたのですがFコードに躓きました。それからのトランペットだったので、最初は大丈夫かと思いましたが、教えていただけたのもあり、楽しくできました。今度はまたギターも挑戦してみたいです。ギターができると音楽いろいろなものができると聞くので、できたらいいなと思いますが、いかんせん難しいです。
──逆に恋愛ものとかは。
前田 やらせてもらえるのであれば挑戦してみたいですが、需要はあるのかな?と思います(笑)
──最後に、『ハルチカ』を期待してる方々へ一言お願いします。
前田 混沌とした空気感が流れるところや、一回では見つけられないような遊びであったり、伏線があったりするので、ジロジロ見ていただければ嬉しいです。皆が楽しんで作った作品なので、空気を楽しみつつ、楽しんでもらえたらなと思います。
(取材・文:波江智)
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。