映画コラム

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2017年03月09日

『お嬢さん』は題名とは裏腹の超変態映画!エロい言葉と過激SEXが炸裂!

『お嬢さん』は題名とは裏腹の超変態映画!エロい言葉と過激SEXが炸裂!



(C)2016 CJ E&M CORPORATION, MOHO FILM, YONG FILM ALL RIGHTS RESERVED



『オールド・ボーイ』や『親切なクムジャさん』など、毎回観客の予想を覆す作品を世に送り出している、韓国のパク・チャヌク監督が、「このミステリーがすごい!」で第1位を獲得した、サラ・ウォーターズの小説「荊の城」を原作に映像化した問題作。それがこの現在絶賛公開中の話題作、『お嬢さん』だ。

今回は地元千葉のTOHOシネマズ、初日夜の回で鑑賞して来た。R18指定という作品の内容上、さすがに場内満員というわけにはいかないものの、劇場内は5割程度の入り。予想外に女性同士や女性一人での鑑賞が目立った本作だが、果たしてその衝撃の内容とは一体何だったのか?

予告編


ストーリー


1939年、日本統治下の朝鮮半島。スラム街で詐欺グループに育てられた少女スッキ(キム・テリ)は、藤原伯爵(ハ・ジョンウ)と呼ばれる詐欺師から、ある計画を持ちかけられる。それは、莫大な財産の相続権を持つ令嬢・秀子(キム・ミニ)を誘惑して結婚した後、精神病院に入れて財産を奪い取ろうというものだった。計画に加担することにしたスッキは、人里離れた土地に建つ屋敷で、日本文化に傾倒した支配的な叔父の上月(チョ・ジヌン)と暮らす秀子のもとで、珠子という名のメイドとして働きはじめる。
しかし、献身的なスッキに秀子が少しずつ心を開くようになり、スッキもまた騙す相手のはずの秀子に心惹かれていくうちに、事態は予想もしない展開をみせる。


問題は全裸SEXではなく、激しいエロ言葉にあり!


原作小説にある、複数の登場人物の視点で描かれるサスペンスや、女性同士の「百合的展開」はそのままに、舞台設定を第二次大戦中の朝鮮半島に移し、更にセリフの大半が日本語で語られる本作。

今回この難しいアレンジに挑戦したパク・チャヌク監督は、見事にその賭けに勝ったと言えるだろう。
その過激なエロス描写と変態的な登場人物にも関わらず、予想外の展開から迎える素晴らしいラストシーンは、実に爽やかな印象を残すからだ。

その二転三転するストーリーも、もちろん見所なのだが、それ以上に公開前から話題になっていたのは、本作における過激過ぎるSEXシーン!
しかし実際に鑑賞したところ、直接的なSEXシーンは主人公スッキと秀子の女性同士の絡みだけであり、確かに過激(ある意味AVより凄い!)ではあるが、あくまでも綺麗で美しい映像として描かれているので、女性観客でも嫌悪感なく鑑賞できるレベルだと感じた。

では、本作のどこがそんなに問題で凄いのか?
実は、それは3部構成で語られる本作の第2部で炸裂する、「世界の名作エロ小説の日本語による朗読」シーンにあるのだ!

全裸による激しいSEXシーン以上の衝撃を観客に与えるこの「エロ言葉」の洪水により、正に「こいつら全員変態だ!」、としか言いようの無い世界が、スクリーン上に繰り広げられることになる。

残念ながらネタバレになるので、詳しい内容は一切紹介出来ないのだが、日本の撮影現場なら絶対に子役へのセクハラとして大問題になりかねない「エロい言葉」の連呼が炸裂する、とだけ言っておこう。

この部分、ネイティブの日本人ならではの衝撃と楽しみ方ができるので、是非劇場でご確認を!



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最後に


第1部で意味の判らなかった部分が、第2部で別の視点から語られることで、初めてその意味が明らかになるなど、その巧みな脚本と細かな演出の冴えが楽しめる本作。

確かに激しいSEX描写が登場するのだが、全てはストーリー上必要な要素であり、鑑賞中は殆ど恥ずかしさや居心地の悪さは感じないので、ご安心を!

そのシンプルでおとなしいタイトルからは想像できない「ド変態の世界」が体験出来る本作、貴女も勇気を出して是非劇場へ!

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(文:滝口アキラ)

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