映画『99.9』ドラマ未視聴でも楽しめる3つのポイント
>>>『99.9-刑事専門弁護士- THE MOVIE』画像を全て見る
こんなにユルい松潤、見たことない。
恥ずかしながら、その大人気ぶりゆえにドラマシリーズが制作され、劇場版公開にまでいたったマンモス級エンタメリーガル「99.9-刑事専門弁護士-」のことを、筆者はつい最近知った。松潤が主演のすこぶる面白いドラマらしいと噂では聞いていたが、まさかこんなに面白いなんて!
ドラマシリーズの劇場版は、往々にして「ドラマを見てないと訳がわからない」と言われがちである。しかし本作『99.9-刑事専門弁護士-THE MOVIE』は、ドラマ未視聴だった筆者でも十分に楽しめるポイントが詰まっている。
もちろんドラマを見ていたらより理解できる小ネタの数も増えるのだが、いきなり劇場版を見ても楽しめるポイントを3つ挙げつつ、本作の魅力を紹介したい。
【関連記事】映画『99.9』評、松本潤が魅せた「リスタート」
【関連記事】映画『99.9』松本潤が魅せる、深山大翔のキャラクター像
【関連記事】映画『99.9』、ドラマからのファン必見「7つ」の理由
ポイント1:軽快にテンポ良く進んでいく、リズム感ある展開
松本潤演じる弁護士・深山が、一度起訴されたら有罪率99.9%である日本の刑事裁判において、捜査の目から逃げおおせている「0.1%の事実」を追求する点に作品の見どころがあることは、本シリーズを視聴済みの方には周知の事実だろう。
くわえて、ダジャレ好きな深山が空気を読まずにぶっ込む笑えないギャグや、登場キャラ同士で丁々発止と繰り広げられるコミカルなやりとりも、本シリーズの定番らしい。
画面がくるくると小気味よく切り替わっていき、テンポ良く華麗に進んでいく展開に、気づいたら引き込まれている。「99.9ワールドとは、このことか……」と独特な世界観に浸れるのだ。ドラマシリーズから得た情報がなくとも、映画冒頭の数分で本作の空気感がわかる構成になっている。
深山はもちろんのこと、片桐仁演じる明石や、杉咲花演じる河野など、深山をサポートするキャラクターたちも粒揃いで全員濃い。リズム感ある軽快なやりとりに、最初は圧倒されるかもしれないが、気づいたら登場人物全員のことが好きになっているはずだ。
ポイント2:ゆるゆる松潤&キレッキレ杉咲花が見られるだけでも価値がある
本記事の最初に「こんなにユルい松潤、見たことない」と書いた。筆者の松潤に対するイメージは「花男の道明寺」と「2023年の大河主役おめでとう」に集約される。こんなにダジャレで仕上がっているような松潤にお目にかかったことはない。
マイペースを煮詰めて人の形にしたような性格、外界の音をシャットアウトするために両手の人差し指を両耳に突っ込む独特なポーズ、料理をしながら考えを整理する様子、0.1%の事実を見つけたら最後まで手を抜かない職人気質な一面もある深山。松潤にはストイックなイメージもあるが、こんな変な役(良い意味です)むしろ彼にしか演じられないだろうと思わされる。
劇場版では、とあるワイナリーを有する村で起こった事件を軸に、村民全員を巻き込んで何度も事件当時の状況を再現する流れがある(細部までこだわって状況再現をするのも本シリーズのお決まりの展開のようだ)。
普通だったら「何回、同じことやらせるんだよ……」と匙を投げたくなるところだが、松潤演じる深山が相手だと、なぜか皆(渋々ながらも)言うことを聞くのだ。独特のユルさと、一見人懐こそうな笑顔が、相手の心を懐柔するのかもしれない。
そんなユルい松潤を見られるだけでもお得な作品。輪をかけて特徴的なのが、杉咲花演じるヒロイン・河野である。
極度に漫画好きなキャラクターで、ことあるごとに「ビシィッ!!!」と人差し指を突き付けながらセリフを朗々と叫ぶシーンが頻出。杉咲花といえば、最近は日テレ系ドラマ「恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜」で可愛らしい弱視の女の子を演じていたイメージが強い。そのイメージのまま劇場版を見たら「ビシィッ!!!」と人差し指を突き付けられて慌てふためくだろう。
こんなにキレッキレな杉咲花、見たことない。
他の映画やドラマでは絶対に実現しないであろうシーンが目白押しだ。約2時間それを堪能できるだけでも、この作品を見る価値がある。
ポイント3:「諦めたら事実は見えない」王道の一歩先を走るエンタメリーガル
・ダジャレ連発のユルい松潤
・漫画オタク女子キレッキレな杉咲花
・コミカルで軽快なやりとりが魅力の本作
ここまでお読みいただいた方にとって、すっかり『99.9-刑事専門弁護士-THE MOVIE』は面白おかしいギャグ要素満載の作品であるイメージがついてしまっただろう。
あえて最後に、そのイメージを払拭してもらいたい。
これまで書いてきたのは紛れもなく、筆者個人の嘘偽りない感想である。しかし、それを踏まえた上で本作は「王道の一歩先を走るエンタメリーガルもの」なのだと伝えたい。
0.1%の事実を追求するため奔走する弁護士たちの闘い。彼らが最も重視するのは「事実」だ。無実なのに罪を着せられて可哀想だから被告を助けてあげたい! そんな親切心や正義感も確かにあるだろう。
だが、主人公・深山にとっては、事実こそが正義。人の感情などお構いなしで(良い意味である)、空気を読まずに突っ走っていき、時には周りの人をこき使って振りまわす……。そんな彼だからこそ、埋もれかけた事実を掘り出せるのだ。
正直、筆者はこれまで、いわゆる「リーガルもの」が苦手だった。少なからず専門知識を必要とされそうだし、警察や政治家の「汚い裏側」が想起されそうで、食わず嫌いを起こしていたのだ。
『99.9-刑事専門弁護士-THE MOVIE』は、筆者のような多くの食わず嫌いを救ってくれるだろう。ドラマ未視聴の方でも楽しめるポイントが詰まった本作、ぜひ劇場の大スクリーンで堪能してもらいたい。
(文・北村有)
【関連記事】映画『99.9』評、松本潤が魅せた「リスタート」
【関連記事】映画『99.9』松本潤が魅せる、深山大翔のキャラクター像
【関連記事】映画『99.9』、ドラマからのファン必見「7つ」の理由
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。
©2021『99.9-THE MOVIE』製作委員会