映画コラム

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2017年03月15日

『美女と野獣』アニメとの違いを考えてみる

『美女と野獣』アニメとの違いを考えてみる

美女と野獣 ポスタービジュアル


(C)2016 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.


4月21日に公開となる実写版『美女と野獣』。不朽のディズニー・アニメーション『美女と野獣』をディズニー自らが実写映画化。

今回は一足お先に鑑賞させて頂きましたので、感想+アニメーションとの違いを書いていきたいと思います。

※ネタバレありです。新たに追加されたエピソードは明かしていませんが、アニメーション版と同じストーリーには言及しております。一切の情報を入れたくない方は、いったんブックマーク頂いて後日またお読みください。

率直な感想:“Beautiful"


"Beautiful"

映画が終わって最初に浮かんだ感想に値するワードはこれでした。

とにかく美しい映画でした。俳優陣やセット・衣装、音楽の美しさはもちろんのこと、物語が美しい。1991年のアニメーション版『美女と野獣』の物語のベースはそのままに、より心にすっと入り込む美しい物語を堪能できました。

出会うはずなかった二人、心を通わせるなんてできないと思った二人。そんな二人に愛が芽生え、困難を乗り越えた先で待ち受けていたもの。「100年語り継がれるエンターテイメント。」というキャッチコピーは決して大げさではなく、まさにその通りと思えた130分の魔法の世界でした。

もちろん映画の好き嫌いは人それぞれですが、予告編等から期待が高まっている方はそれを超える感動を味わえること間違い無し。また実写版『シンデレラ』や『魔法にかけられて』など、ディズニープリンセスの実写映画がお好きな方はそれら作品の上に現れた新たな傑作ですので、是非劇場でご覧頂ければと思います。

と、感想を書いているといつまで語っても書き終わらないので、この辺りにしましてアニメーションとの違いを覚えている範囲でまとめていきたいと思います。

美女と野獣 実写


(C)2016 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.



アニメーション版と同じところ


同じところ1:ストーリーの大枠


大枠のストーリーはアニメーション版とほぼ同じ。「原作の映画化でありつつ、原作と異なる結末で原作ファン激怒」なんてことにはなっていませんのでご安心ください。

各々のエピソードは深掘りされており上映時間は伸びておりますが、物語の着地点は一緒ですのでご安心ください。

同じところ2:ベースとなる音楽


今作のスコア曲を担当したのはアニメーション版と同じくアラン・メンケン。楽曲自体も同じものが踏襲されており、それらがより深く物語に味わいを与えるために少しアレンジされています。

映画が始まる前に「一番最初の展開から全然違ったらどうしよう…」と少し不安になりましたが、あの曲から始まりました。そうアニメーション版のあの曲です。そこが同じだったのですが安心感よりも衝撃が勝ったようで鳥肌になりました。

同じところ3:美術と衣装の大枠


実写化されるに当たって、美術と衣装の美しさがかなり際立っています。それもアニメーション版の世界観を壊さないで現実的なものとなっています。

これでドレスの色とかまで変えちゃうと賛否両論になりそうですが、そんなこともなくアニメーション版をとにかく大切に大切に意識しながらより美しい実写版を作ろうとしたんだなと思えるものになっています。

同じところ4:ベルや野獣などのキャラクター


大半のキャラクターの性格や印象もそのまま。ベルの力強さだったり、野獣の心の繊細さだったりの印象もそのままです。

中でもガストンはまんまガストン。あのままアニメーションから出てきたのではと思えるものでした。ルミエールをはじめとした、お城の使いの者たちのキャラクターもそのまま健在。ルミエールの実写、なかなか面白いです。

と、大半は同じですが1人だけ「アニメーションと違うかな?」と思ったのがガストンと共に行動するル・フウ。彼に関しては「違うところ」で言及したいと思います。

同じところ5:ひとりぼっちの晩餐会(Be Our Guest)


アニメーション版でも人気シーンである“ひとりぼっちの晩餐会(Be Our Guest)”。ルミエールが楽しく歌い踊るシーンですが、実写としての豪華さでパワーアップしながら愉快なあのテイストは健在。

というかよく実写であのテイストを作り上げたなと振り返りながら驚いています。今作の見どころの一つです。

同じところ6:ダンスシーンの美しさと儚さ


『美女と野獣』と言えばやはりダンスシーン無くして語ることなどできません。アニメーション版でもあったあの美しくも儚いダンスシーンはもちろん健在。

ミセス・ポットの声を演じるエマ・トンプソンが「美女と野獣」(Beauty and the Beast)を優しく美しく歌い上げています、

同じところ7:何でも見える鏡


実写になるので、何でも見える鏡どうなるのか気になってましたが、そのまま健在。その使い方もほぼ同じでした。

同じところ8:クライマックスと結末


1とほぼ同じですが改めて。クライマックスと結末に大きな変更は加えられていません。あれ以上ない感動のクライマックスですからね。それがより美しい実写となって楽しめるわけです。

大きな改変はありませんが、より感動するエピソードが少しばかり加えられています。これは「違うところ」にて。

美女と野獣


(C)2016 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.



アニメーション版と違うところ


違うところ1:物語全体の深さ


前述の通り物語に大きな改変はありません。良い部分がしっかりと残されています。

それでありながら上映時間は87分のアニメーション版からかなり伸びて130分に。これは前述の通り、各々のエピソードがより深く追加されているためです。

例えば冒頭の野獣に変えられるシーン。アニメーション版ではステンドグラスを使ったダイジェスト的な説明でしたが、実写版では実写で何が起きたかが描かれています。

他にも内面をより深く描くための追加シーンなどもあり、130分の作品となっています。全く中だるみを感じず、あっという間の130分でしたので長さは全く感じませんでした。

違うところ2:追加の音楽


アニメーション版にはなかった楽曲が3曲追加されています。

「デイズ・イン・ザ・サン~日差しをあびて~」(Days In The Sun)


「時は永遠に」(How Does A Moment Last Forever)


「ひそかな夢」 (Evermore)


この3曲です。(YoutubeはDisneyMusicVEVOのオフィシャルチャネルのものです)

「時は永遠に」はいくつかバージョンがあり複数回かかり、実質今回の実写版のテーマ曲の立ち位置となっています。

違うところ3:ル・フウのキャラクター


前述の通り大半のキャラクターはアニメーション版からそのままです。そんな中ジョシュ・ギャッド演じるル・フウのキャラクターはアニメーション版よりかなり温和になっています。

ちなみにジョシュ・ギャッドは『アナと雪の女王』でオラフの声を担当していた方で、憎めないルックス。ガストンが良くも悪くもあのままガストンなので、その暴走に対する私たち観客の気持ちを代弁するかのような対応をします。

クライマックスの方では少し笑える展開もあり、かなりおいしいキャラクターでした。

違うところ4:ベルの母親のエピソード


アニメーション版では一切話に出てこなかったベルの母親のエピソードが登場。

なぜベルは父親と二人暮らしなのか。ベル自身も当初は昔何があって母親が亡くなったか知らないでいましたが、物語が進むにつれてその真実が明らかに。それが物語にプラスの感動をもたらすものだったため恐れ入りました。親子愛は素晴らしい。詳しくは…劇場でお確かめください!!

違うところ5:終盤の父親の足取り


物語全体に影響を及ぼさない程度にベルの父親の足取りに変更が加えられています。

アニメーション版でベルが“何でも見える鏡”を見た時は父親は病気でした。実写版ではちょっと大変なことになっていて、その前の展開もなかなか大変なものとなっていました。

ただし、これも物語に深みを与えるもの(しかも父親ではなくガストンのキャラクターを際立たせるためのもの)になっていたので良い微修正だなと思いました。

違うところ6:クライマックスの“死ぬ”周辺の展開


アニメーション版のクライマックスではガストンに攻撃されて野獣や一度死んでしまいます。それは実写版でも大きくは変わりないのですが、ここの悲しみがある展開の追加によってかなり重いものとなっています。

アニメーション版と同じでその後復活するだろうと頭の片隅で思っていても、かなり悲しいシーンとなっています。結果的にその後の感動がかなり増幅したので、うまい追加エピソードだなと思いました。

その後の大団円も周辺人物のエピソードがちゃんと描かれ、満足度満点で映画本編はおしまいとなりました。素晴らしい!!

違うところ7:エンドロールの音楽


エンドロールでは3曲の楽曲がかかります。もちろんあの「美女と野獣」(Beauty and the Beast)もかかりますが、1曲目はそれではなく、前述の新曲「時は永遠に」(How Does A Moment Last Forever)でした。

エンドロールがとてもとても美しいものになっており、この楽曲がかなり合うのです。最後の最後まで余韻に浸らせてくれる憎い演出だなとおもいました。(全力で褒めています)


まとめ


という感じで、アニメーション版と同じところ、異なるところを記憶の限りでまとめてみました。冒頭からかなり物語に入り込んでしまったので記憶の抜けがあるかもしれませんので、その点ご容赦ください。

私はアニメーション版の『美女と野獣』が長年大好きでした。今回より美しい実写版『美女と野獣』に出会えた喜びを大きく感じています。これによって、アニメーション版もまた楽しむことができそうで、本当にうまいバランスで仕上がった作品だなと改めて思います。

日本公開は4月21日(金)です。どうぞお楽しみに!!

(文:柳下修平)

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