予想以上の興奮!『グレートウォール』はキングコング以上の怪獣映画だった!
(C) Universal Pictures
現在公開中の映画『グレートウォール』。ネットでも意外?な高評価を受けている本作を、今回は取り上げてみたいと思う。今回自分が鑑賞したのは、公開4日目の平日の最終回。鑑賞した劇場では3D字幕版のみの上映だったため、久々の3Dでの鑑賞となった。
予告編やポスターでの印象からは、万里の長城建設に関わる物語を描いた歴史スペクタクル、そんな予想で鑑賞に臨んだ本作。
ただ、一つだけ気になっていたのは、『ワールド・ウォーZ』のゾンビ並みに大群で押し寄せる、何か良く分からない「敵?」の存在。
さて、3Dで鑑賞した本作の内容は、いったいどうだったのか?
予告編
ストーリー
世界を旅するウィリアム(マット・デイモン)ら傭兵部隊は、シルクロードの中国国境付近で馬賊に攻撃された上に謎の獣に襲われる。生き残ったウィリアムとトバール(ペドロ・パスカル)は、禁軍が守る万里の長城にたどり着くものの降伏を余儀なくされる。戦略を担うワン(アンディ・ラウ)によって処刑を免れたのち、自分たちを襲った獣が饕餮(とうてつ)という怪物であり、万里の長城がその群れを都に入れないための防壁だと知るウィリアムとトバール。やがてすさまじい地響きと共に無数の獣が迫ってきた。 果たして彼らはこの怪物を打ち倒すことが出来るのだろうか?
(C) Universal Pictures
難しい歴史スペクタクルじゃない、実は怪獣が大暴れする娯楽大作!
いや、久々に燃えた!
「堅苦しそうな歴史スペクタクル」という予想は見事に覆された上に、そこにあったのが紛れも無い「怪獣映画」だったからだ!
本作に燃える理由、それはズバリ全編に炸裂する「俺の屍を越えて行け!」またの名を「お前の後ろは俺が守る!」的展開にある。
更には、今まで他人を信用しないことで生き延びて来た主人公ウィリアムが、仲間を信用すること、そして個人の欲や命よりも大切な使命感に目覚め、最終的に人間として成長する!この娯楽映画の王道的展開!
正直、ここまで高い娯楽度と燃える人間ドラマを兼ね備えた作品だったとは、まったくの予想外だった。
60年に一度大群を成して襲ってくるという、元々は人間の思いあがりと欲望が生み出した「饕餮(とうてつ)」という怪物。これを食い止めるために作られたのが、あの万里の長城だという設定がまず面白い!
そこに集まるのは、次世代の人々のために今この危機を食い止めようとする中国の勇者たち。私利私欲のためでなく、全員が同じ一つの目
的=「人々の平和」のために、我が身を犠牲として立ち向かう彼らの雄姿と、その硬い絆こそが全観客の共感と感動を呼ぶのだろう。
皆が多分気になっている、今回主役に外国人俳優を起用したという点も、異文化を越えての相互理解と共存というメッセージを伝えるためには、より効果的だったと感じた。(この辺の違和感が気になる方には、日本語吹き替え版での鑑賞がオススメ!)
そして、本作の影の主役である「饕餮(とうてつ)」という怪物にも、予想以上の細かい設定が与えられているため、その数と攻撃力で圧倒的に不利な人間側の攻防戦が、決して一方的にならず最後までドキドキしながら見ていられる点も上手い!
特に「饕餮(とうてつ)」の思わぬ弱点と意外な攻略法への伏線が、ちゃんと冒頭のエピソードで提示されているので、ここは是非劇場でご確認を!
(C) Universal Pictures
最後に
前述した通り、本作成功の大きな要素、それは「饕餮(とうてつ)」という怪物の生態とその存在理由、なぜ人間を襲うのかが描かれている上に、きちんと弱点が設定されている点。ここがちゃんと描かれている点だけでも、『キングコング』で感じた様な不満や物足りなさは、かなり解消できると断言出来る。
その数と攻撃力で、圧倒的に不利な主人公たち人間側。どうすればこの絶望的な局面を逆転して敵に勝てるのか?この辺りの設定はハリウッド大作ならではの得意芸であり、ラストの展開は完全に『インディペンデンス・デイ』を思い出してしまった!
しかし、実は本作の根底に流れるのは、日本人の大好物である「自己犠牲」の尊さと、「大義」への使命感、いわゆる「浪花節」だ。
国民的人気漫画「ワンピース」の世界観に馴染みのある若い観客にも、自信を持ってオススメ出来る作品なので、どうか歴史物や時代劇の堅苦しさは捨てて、是非劇場に足を運んで頂ければと思う。
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(文:滝口アキラ)
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