映画コラム
『パイレーツ・オブ・カリビアン』の作曲家が1作目だけ違う“驚きの理由”
『パイレーツ・オブ・カリビアン』の作曲家が1作目だけ違う“驚きの理由”
※文末にて『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』に向けての復習ポイントも記載しています。
「パイレーツ」シリーズ、作曲者の謎
「パイレーツ」シリーズは新作の5作目を含めると全部で3人の作曲家が担当されています。
パイレーツオブカリビアンシリーズの音楽担当、
1作目『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』
=クラウス・バデルト
2作目『パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト』
3作目『パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド』
4作目『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉』
=ハンス・ジマー
新作5作目『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』
=ジェフ・ザネリ
新作含めて、これには“大人の事情”と“友情ゆえの事情”があります。
1作目も、実質ハンス・ジマー
『ライオン・キング』でアカデミー賞作曲賞を受賞し、最近ではクリストファー・ノーラン監督作品の『ダークナイト』トリロジーや『インセプション』『インターステラー』などを手がける名作曲家です。
そのハンス・ジマーが、あの有名なテーマ曲「彼こそは海賊」の原曲を作曲されているのです。
となると、疑問に思うのが以下のこと。
なのにどうして1作目の作曲担当はクラウス・バデルトなのか?
実はハンス・ジマーの作曲したデモサウンドを編曲して、『パイレーツオブカリビアン 呪われた海賊たち』の音楽にしっかりと当てはめた人物がクラウス・バデルトなのです。
『パイレーツオブカリビアン 呪われた海賊たち』は元々別の作曲家が担当だったのですが、折り合いがつかずに途中で降板。そこでハンス・ジマーに急遽依頼がいきました。しかし、ハンス・ジマーはその時あの『ラスト・サムライ:の担当中で、契約書で「他の作品と同時進行しない」という約束をしてしまっていたのです。
そこでハンスは約4分のデモサウンドを作曲。 彼の作曲家としての弟子に当たるクラウス・バデルトにそれを託したのです。
たった4分のデモサウンドをあの壮大なスケールの音楽に昇華させたクラウス・バデルトの功績は言うまでもありませんね。
ちなみに、その時のデモサウンドは後に私たちにも公開され、「パイレーツ・オブ・カリビアン オリジナル・サウンドトラック・トレジャーズ・コレクション」という総集編サウンドトラックに収録がされています。
ちなみに曲のタイトルは「Pirates, Day One, 4:56AM」
午前4時56分にできたのでそういう名前のようです。まあデモサウンドですのでご愛嬌でしょう(笑)
こんな大人な理由でドタバタの状態で「パイレーツ・オブ・カリビアン」の伝説は始まったわけです。
5作目のジェフ・ザネリも関係者
ちなみに7月1日に公開される『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』の作曲者はジェフ・ザネリ。彼もハンス・ジマーの弟子分で、今までのシリーズの音楽も手伝っておりますので、正当な後継者となります。(詳細は明らかになっておりませんが、今年はクリストファー・ノーラン監督の新作もあるのでハンス・ジマーはそちらを優先させたものと推測されます)
既に最新作『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』を鑑賞させて頂きましたが、5作目の音楽は集大成的な音楽となっておりとても感動的で個人的にはベスト・オブ・ベストでした。
ところで、『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』に向けての復習ポイントは?
今回はあくまでも音楽のお話でしたので、軽めにしておきますが、『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』に向けて最も内容を覚えておきたいのは3作目の『パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド』です。これだけ押さえておけば混乱することはないでしょう。
ただし、この『パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールドエンド』は、1作目、2作目の延長線上の話ですのでやはり1と2も見ておきたいところ。
となると、テレビ放送、DVD/ブルーレイ、配信サービスなどで全て鑑賞しておきたいところですね。(4作目もブラックパール号のエピソードなどがつながっています)
「パイレーツ・オブ・カリビアン」をお楽しみの際は、是非音楽にも注目してみてくださいね。
それでは!!
(文:柳下修平)
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