R-18、R-15、PG-12などはどうやって決められている?映画レイティングの深いお話
境目はどこに?
近年の邦画の話題作・ヒット作で一般的に暴力性・犯罪性の度合いの強い作品を10本ピックアップしてみます。
『東京喰種 トーキョーグール』
『ミュージアム』
『寄生獣』
『クローズZERO』
『脳男』
『闇金ウシジマくん』
『アイ・アム・ア・ヒーロー』
『神さまの言うとおり』
『告白』
『悪の教典』
作品をご存知の方からすると「どれもR-15相当では?」と思われるかもしれませんが、ある部分で線引きがされます。
Photo credit: _Krikke_ via VisualHunt / CC BY-NC-ND
PG-12作品
『東京喰種 トーキョーグール』
『ミュージアム』
『寄生獣』
『クローズZERO』
『脳男』
『闇金ウシジマくん』
R-15作品
『アイ・アム・ア・ヒーロー』
『神さまの言うとおり』
『告白』
『悪の教典』
特に『寄生獣』はR-15指定を受けないように映倫と綿密にやり取りをしたとのこと。そこでよく言われたことが“過程”を綿密に描く指摘を受けやすいということだそうです。
とんでもないことが“起こるぞ!起こるぞ!”という前振りのところから一気に“起きた!”に持っていくとPG-12で納まることが多々あるそうです。
『寄生獣』の場合は、胴体が切断される直前までを描きながらも切断の描写はなし。次のカットでは既に切り離されているというかなり高度な調整が図られています。切り離された後であれば内臓が出ていてもR-15指定とならないということが『寄生獣』で証明されました。
レイティングのメリット・デメリットとは?
レイティングのメリットってなに?と思われる方も多いでしょう。ここまでの話を見れば、そもそもその映画を見ることができる人が減り、さらに作品についてネガティブなイメージがついてしまいます。さらにソフト販売・レンタルの制限やテレビ放映、海外上映などの際に指定を受けているばっかりに支障が出ることもあります。
しかし、指定はあくまでも公開前に受けるものであって、公開前に修正することも可能なわけです。それでもなお指定を受けたまま公開するということは、裏を返すと作品のテーマに真摯に向き合った結果、審査に引っかかるような表現を削るわけにはいかなかったという作り手の意思表示でもあるのです。
例えば『凶悪』や『さよなら渓谷』『虐殺機関』はその根幹の部分の表現を弱めたりすれば映画の本質が大きく下がってしまいます。
ブラジルの犯罪多発地帯のストリートチルドレンの姿をリアルに描くことを目的にした『シティ・オブ・ゴッド』にはR-15の暴力描写が必要だったのです。
映画レーティングは普段映画を見る側からすると既に決まっているものでしかありませんが、その裏にはこのように様々な決まりや区分、そしてドラマが存在するのです。
(文:村松健太郎)
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