内田春菊「パンチが強すぎる作品」切通理作、初監督作の公開日決定

映画批評家や、エッセイ・ノンフィクションの書き手として活動してきた切通理作の初監督作品『青春夜話 Amazing Place』が、2017年12月に公開されることが決定した。

切通理作、初の監督作品『青春夜話 Amazing Place』


青春夜話 Amazing Place メイン



青井深琴と野島喬は同じ高校の卒業生だが、4歳違うため、一緒に居た時期はない。いまは20代の会社員となった彼らはひょんなことから出会って意気投合、男女の仲も意識して、一晩を過ごすことになる。だが喬はラブホテルではなく、通っていた校舎に深琴をいざなう。深琴は次第に、喬が<青春のやり直し>をしたがっていると思うようになる。自身も、学校時代で良い思い出のなかった深琴は、喬とともに、誰も居ない学校を治外法権に「復讐」の夜にしようと盛り上がる。だが母校はその晩ずっと無人ではなかった。「呑みすぎちゃったかな」と学校に戻ってきた当直の女教師・山崎を、裏門で待ち受ける影。いまこの学校は、大人になってしまった者の、一晩だけのAmazing Placeと化そうとしていた――

青春夜話 Amazing Place サブ3



映画『青春夜話 Amazing Place』は、『怪獣使いと<少年>~ウルトラマンの作家たち』や、サントリー学芸賞受賞した『宮崎駿の<世界>』などで知られ、映画批評家を続けてきた切通理作の初映画監督作品。夜の学校を現代の「竜宮城」に見立てて、映画でしか取り返せない時間が描かれる。

青春夜話 Amazing Place サブ1



ウェット&メッシーというアート表現の活動も行う新世代女優・深琴と、塚本晋也監督の『野火』等で印象的な助演を見せ、内田伸輝監督作品『ぼくらの亡命』で初主演した須森隆文が、主人公の2人の男女を演じる。また女性でありジェンダーレスを追求する黒木歩が撮影監督となり、男だけのスタッフではかえって照れてしまうところを思いきって突き抜け、性愛のフェッティッシュな身体感を極限までさらけ出す。

青春夜話 Amazing Place サブ2



今回の情報解禁に併せて、みうらじゅん、中村うさぎ、内田春菊と各界の識者、そして切通理作監督からのコメントがシネマズに到着している。




正直に生きたいなんてキレイごとでしょ。本当は一度でいいから自分の変態性を振り絞って好きなことだけしてみたい。人間だもの。切通監督が映画にそれをぶつけてる。ぶつけてぶつけて、とっても清々しい気持ちにさせてくれるから是非、映画館で観てね!

みうらじゅん/漫画家・イラストレーター


いつまでも忘れられない映画だと思う。
映像の丁寧さ、キャストの演技力、存在感にひきこまれました。夢を夢と意識する冷静さが笑いをうむ。優しくって残酷な一夜だった!

枡野浩一/歌人


奇妙で生々しく、印象に強く残る映画でした。学校のシーン以外のロケーション、最高でした。北野武監督デビュー作の『その男、凶暴につき』を思い出させてくれました。私の印象は切通版『の・ようなもの』です。すごいデビュー作です!

大月俊倫/元映画プロデューサー


とっても素敵な映画だった。主演の2人が映画を生きていた。映画だけが取り返せる青春があった。深夜の学校を舞台に復讐劇に興じる男女のドラマには、観客の側から解釈が膨らむ豊かな時間が行き交っていた。不意に笑えるのもいい。

小原治‏/ポレポレ東中野


映画は学校を殺すためにある。 切通理作に流れる血の結晶が全カットに刻まれた映画『青春夜話』は、一生に一本しか撮れない<通過儀礼>だ。理科室から図書室、用務員室、体育倉庫に至るまで、すべてが穢される。滅茶苦茶に学校を破壊したい! そんな妄執は、フェティッシュな性遊戯の大爆発であるとともに、映画で向き合い、乗り越えなければならないものの象徴だ。 だからこの映画は暗いルサンチマン(恨みつらみ)に陥ることはない。天真爛漫に性遊戯を笑い飛ばすエロティックな喜劇であり、真っ直ぐでハートウォーミングで無垢な青春娯楽ラブストーリーに到達する爽快感が、何よりも素晴らしい!

岩田和明/『映画秘宝』編集長


現在の自分の存在自体が、過去を思うように過ごせなかった自分や周囲への復讐になっていく……という視点が、いままでふわっと自分で思っていたこととぴたっと合致してハッとしました。主演の2人が過去の自分や、謳歌されなかった青春に復讐していくのを「いいぞ〜」「もっとやれ〜」って思って観てました。2人のようなヒエラルキーでかつて生きてきた人は、きっと私と同じように<復讐>というワードが心にとまるような気がするので、そういう人達が映画に興味を持ってくれたら嬉しいです。

上埜すみれ/女優、ノーメイクス


パンチが強すぎる作品です。主演の男優さんがモトカレにそっくりで、あんなことやこんなことはしたことないけど、なんだか当時の性生活を暴露されてるような気になりました。

内田春菊/漫画家・小説家


増村保造監督の『盲獣』をヤバい意味で超えてます。切通さんと知りあって25年くらいになりますが、彼があんな願望やあんな妄想がぎっしり詰まった変態だったとは微塵も想像しませんでした。すごくショックです。ただ正直に言うと、とても大好きな映画なんです。だから皆様にもおすすめするしかありません。

佐藤佐吉/脚本家・映画監督



切通理作監督 コメント


僕は青春映画を見てると、無意識に学生の時の自分に戻っています。「こんな学校に通ってみたいなあ」とか。だけど映画館の場内が明るくなると、白髪混じりの自分が居て、狐につままれたような気分で席を立つしかない。そんな浦島太郎のような体験を、映画にしてみたいという気持ちが、いつからか沸き上がってきました。
自分が映画というものを通して知った、楽しいこと、面白いこと、現実に果たせなかったこと……を一晩に集約した、現代のおとぎ話を目指しました。
時間表現である映画の中で、時の移ろいとともに人が変化していくのを見つめようと<舞台を絞り込んだ上で遊ぶ>と決め、全国から探してロケハンした6カ所でひとつの学校を表現。徹夜に近い日もありながら、撮影を敢行しました。
そこに主人公として、20代半ばになっても成長しきれない、ぼんくら女子とこじらせ男子を放り込みました。「青(性)春のやり直し」をベースにしつつ、フェチ心をそこはかとなくちりばめた映画です。キネマ旬報で「ピンク映画時評」を22年連載している僕が、自分なりに<エロい映画>のありかたを問いかけた一つの結果を、かたちにしたものでもあります。自ら心を閉ざし、ここではないどこかを求めているさまよえる魂に、本当の居場所はここだよと問いかける、まさに映画でしかできない魔法。
そして魔法が解かれた後は、ほんの少し、生きていくことに顔を向けられる。そんな映画にしたく思いました。




映画『青春夜話 Amazing Place』は2017年12月2日(土)より、新宿ケイズシネマほか全国順次公開。

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