『ワンダーウーマン』成功の要素はXX映画にあり!皆が知ってるその映画とは?
(C)2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
昨年公開された『バットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生』で初登場し、一気に日本の観客の心を鷲づかみにした、DCコミックスの人気女性キャラクター、ワンダーウーマン!
その単独主演作品が遂に公開されたので、今回はさっそく初日の最終回で鑑賞して来た。実は自分、日本でも放送されていた、リンダ・カーター主演の70年代テレビシリーズ版をリアルタイムで見ていた世代。昔のイメージとは180度違った今回の映画化に、かなりの期待を抱いて鑑賞に臨んだのだが、果たしてその出来はどうだったのか?
予告編
ストーリー
人間社会から隔離された島で、女性のみの一族のプリンセスとして生まれ育った、ダイアナ=ワンダーウーマン(ガル・ガドット)は、自分が育ってきた世界以外の環境を知らず、さらに男性を見たこともなかった。日々、戦士としての鍛錬を重ねる彼女は、自身の成長と共に内に秘められた強大なパワーを感じるようになって行く。そんなある日、彼女は浜辺に不時着したパイロットのスティーブ(クリス・パイン)と遭遇。彼から島の外界の存在と、ドイツ軍の恐ろしい計画を聞かされ、世界を滅亡から救うため立ち上がる。
正にリアル・ワンダーウーマン!ガル・ガドットの魅力に注目。
既に『バットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生』で、そのカッコよさは確認済みのワンダーウーマン。でも本作で描かれるのは、まだヒーローとして覚醒する以前の彼女の姿だ。
「果たして女性ヒーローの単独主演作品って、他のアメコミ作品と比べて大丈夫なの?」
実は今回、鑑賞前のそんな不安は全くの杞憂に終わった。
そう、本作主演のガル・ガドットこそ、コミックに登場するワンダーウーマンその物だったからだ!
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過去のテレビシリーズで描かれた、セクシーで可愛い男性目線のヒーロー像とは異なり、本作のワンダーウーマンは自身の理想と目的を持ち、自らの力で道を切り開く自立した女性として描かれている。
男性以上に能力がありながら、第一次世界大戦中という男性優位の社会では、全く相手にされないダイアナ。最前線の戦場でついにその能力を披露するまでは、彼女がいかにその男社会の中で苦労するかが描かれるのだが、そんな所も女性観客の共感を呼んで、映画の大ヒットに一役買っている様だ。
だが実は本作には、女性の生き方と社会進出への苦労や問題点を描いて来た、過去のある映画群を研究・参考にしたと思える描写があり、その点も本作が女性を中心とした幅広い観客層を魅了している大きな理由だと感じた。
では、本作『ワンダーウーマン』が研究し取り入れた映画とは、いったいどんな映画だったのか?
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『ワンダーウーマン』成功の影に、実はディズニー映画あり!
前述したとおり、本作の魅力は正に原作のキャラクターその物にしか見えない、主演のガル・ガドットの魅力と見事な身体能力にある。
ただ、本作を見て気付いたのは、決してアクションやCG主体の映画では無く、予想外に過去の女性向け映画やヒット作品を研究して作られているということだ。
例えば、既に多くの方々が言及されている様に、ダイアナが駅でアイスクリームを食べるシーンは、オードリーヘップバーンの『ローマの休日』からの引用であり、外界を知らずに育ったダイアナが、現代の服装や社会のルールを教わる部分は、同じくヘップバーンの『マイ・フェア・レディ』だったりする。
それ以外にも、パティ・ジェンキンス監督本人のインタビューによれば、リチャード・ドナー監督の映画『スーパーマン』からも大きな影響を受けているそうで、『スーパーマン 』を見ておくと、本作がより楽しめるのだそうだ。例えばダイアナがメガネをかけるシーンや、回転ドアから出るシーンなどは、確かにリチャード・ドナーの『スーパーマン』を思い出させる。
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だが、実はこれらの作品以外にも、『ワンダーウーマン』に大きな影響を与えている映画群が存在する。
それこそが、ディズニー映画!しかも社会と女性の関係を描いた、『美女と野獣』などのいわゆる「ディズニー・プリンセス」物だ。
実は本作を観て一番に連想したのは、ピクサー初の女性が主人公の映画『メリダとおそろしの森』だった。
馬に乗って失踪するワンダーウーマンの雄姿は、確かにどこかしら主人公メリダを思い出させる。
それ以外にも、例えば海に墜落したスティーブを海中から助けるシーンは『リトルマーメイド』、戦闘訓練中に咄嗟に覚醒してしまった、自身の強大な能力に悩むシーンは『アナと雪の女王』。更には終盤の舞踏会!のシーンに至るまで、過去のディズニー映画の要素を巧妙に取り込んだ点は、女性監督ならではの視点による物なのかも知れない。
思えば本作で描かれた様な、古い固定観念と男性中心の社会的仕組みの中で、自身の理想の生き方を模索するヒロイン像は、近年のディズニー作品お得意の分野だった。そう考えれば、王子様が現れるのを待つだけの伝統的プリンセス像から、自身で行動し運命を切り開くヒロイン像へとシフトさせ、見事に成功したデイズニーのノウハウを、本作「ワンダーウーマン」が研究し取り入れたとしても、何ら不思議は無いと言える。
これから鑑賞される方は、是非こうした点にも注目されてみては?あなだだけの新たな発見に、出会えるかも知れない。
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最後に
本作での重要なテーマ。それは「突出した力を持つ一人のスーパーヒーローの活躍だけでは、世界は何も変えられない」ということだ。
本作でも、一度はドイツ軍の猛攻から救った村が、再びドイツ軍の毒ガス攻撃で全滅したのを見て、「あなたたちが止めなければ救えたのに」と、仲間と自分を責めて苦しむワンダーウーマンの姿が描かれるが、それは理想を追い求める彼女の、一種の「奢り」や「世間知らず」から来る物であり、映画のラストで彼女はある尊い犠牲により、「自分だけでは、世の中は変えられない」こと、そして人間という生き物が持つ可能性と、愛という物を知ることになる。
昨年の『バットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生』でも語られた様に、人間が繰り返す争いに絶望し、もはや傍観者として生きていた彼女を再び正義の戦いに呼び戻した物。それはバットマンとスーパーマンが自身をを犠牲にしてでも人々を救おうとする姿に、かって愛したスティーブを重ねたからに他ならない。
過去に冒してしまった過ちや犠牲への贖罪のために、自身の利益や危険を省みず戦うのは、正にスーパーヒーロー物の王道!
女性を主人公とし、過去の女性向け映画にオマージュを捧げながらも、本作が正統なアメコミヒーロー映画として、今まで以上に多くの観客の支持を得て成功しているのは、やはりこの基本的な部分をちゃんと描いているからだろう。
11月に公開される『ジャスティス・リーグ』では、集結したスーパーヒーローチームの中心人物となるワンダーウーマン。
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過去の苦い経験を乗り越えて、再びヒーローとして生きることを選択した彼女が、果たしてどう闘うのか?是非劇場で見届けて頂ければと思う。
(文:滝口アキラ)
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