2017年11月05日

「ラストレシピ」「ナラタージュ」「先僕」など、今こそ俳優としての嵐メンバーに注目!

「ラストレシピ」「ナラタージュ」「先僕」など、今こそ俳優としての嵐メンバーに注目!

ラストレシピ ~麒麟の舌の記憶~ ロゴ


(C)2017 映画「ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~」製作委員会 (C)2014 田中経一/幻冬舎


11月3日より公開中の映画『ラストレシピ〜麒麟の舌の記憶〜』。偶然、公開日が主演を務めた二宮さんの所属する、嵐のデビュー記念日だったそうですね。

そして、10月から上映が続いている『ナラタージュ』で松本潤さん、現在放送中の連ドラ『先に生まれただけの僕』(日本テレビ、土曜22時〜)で櫻井翔さんと、嵐メンバーのお芝居がまるっと堪能できるタイミングなのです。

グループでの活動はもとより、個人としてもそれぞれに役割があり、特徴がある嵐。今回は、この3人が出演する作品を通して、役者としての違いについて考えてみました。

二宮和也主演『ラストレシピ〜麒麟の舌の記憶〜』


2016年の『暗殺教室-卒業編-』以来の映画出演となる二宮さん。嵐5人が出演した『ピカ☆★☆ンチ LIFE IS HARD たぶん HAPPY』(2014)を除けば、主演作は『プラチナデータ』(2013)ぶりとなります。

「嵐のニノ」と言えば、ゲーム好き、作詞作曲ができてピアノやギターが弾ける、仲が良いのは年上…などいろいろありますが、同じジャニーズの岡田准一さんに次いで第39回(2016年)日本アカデミー賞最優秀主演男優賞(『母と暮せば』)を受賞したときから、特に俳優としての認識が広がったかもしれません。

母と暮らせば


(C)2015「母と暮せば」製作委員会


以前から、ジャニーズの中でも演技派の立ち位置を築いてきたと言われています。倉本聰さん脚本作品に参加したり、クリント・イーストウッド監督の『硫黄島からの手紙』(2006)に出演したりと硬派な作品への出演が目立ちます。山田洋次監督『母と暮せば』(2015)もそのひとつです。

一方で、映画『GANTZ』(2010、2011)や『プラチナデータ』(2013)、『暗殺教室』(2015、2016)や、ドラマ『南くんの恋人』(2004)、『山田太郎ものがたり』(2007)、『流星の絆』(2008)、『フリーター、家を買う。』(2010)、『弱くても勝てます』(2014)といった現代劇や漫画・小説を原作にした実写化への出演経験も豊富です。

今回の「ラストレシピ」は、そのちょうど間の位置にある作品です。

ラストレシピ ~麒麟の舌の記憶~ 0703新ビジュアル


(C)2017 映画「ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~」製作委員会 (C)2014 田中経一/幻冬舎


1930年代と、2000年初期(現代)の2つの時代を行き来した描き方になっているので、二宮さん主演とはいえ、1930年代パートに出てくる西島秀俊さんと横並びの扱いと言って良いでしょう。さらには、綾野剛さん、宮崎あおいさん、竹野内豊さんなど主役級の役者が揃っているので、ものすごく際立っていたかというと、そうでもありません。

筆者は、嵐のメンバーが出演する作品を観るときに、「ほかのメンバーでも演じられるだろうか」ということを一つの基準として考えるのですが、これまでの二宮さんの出演作に比べて「ラストレシピ」は「他の4人でも演じられる」気がしたのです。

つまり「ラストレシピ」の主人公・佐々木充は、それほどにキャラクターが掴みづらく、最後の結末を知るまで特徴が見つけられません。あるいは、1930年代パートのインパクトが強烈だとも言えます。(1930年代パートに登場する、ジャニーズの後輩にあたる西畑大吾くんのお芝居も素晴らしかった!)

でもだからこそ、佐々木充は二宮さんが演じるべきだったのでしょう。

「ラストレシピ」は1作品のなかで時代の行き来をしていますが、二宮さんの出演作を並べても、時代の行き来があります。「ラストレシピ」はまさに、二宮さんの出演作を総括したようなつくりの作品になっているのです。

そして二宮さんのお芝居の特徴として、作品のなかに「普通」に存在していることが挙げられます。溶け込む、馴染むとはまた違って、圧倒的な個として成立しているけれど、違和感がなく、悪目立ちしないところが素敵です。「他の誰かでも良い気がする」ところに説得力を持たせ、観た人に「ニノじゃなければ」と充足感を与えてくれるのもまた、二宮さんです。

こういうことから考えても、今回の『ラストレシピ〜麒麟の舌の記憶〜』は、役者・二宮和也にとってひとつの集大成であったと考えて良いのかもしれません。

2018年公開予定の映画『検察側の罪人』では、木村拓哉さんとの共演が決定しています。グループで確固たる地位を築いて以降、“先輩”と共演する例はほとんどありません。新しい取り組みをしていることも含め、役者・二宮和也の第2章がはじまる気がして楽しみです。

松本潤主演『ナラタージュ』


ナラタージュ 有村架純 女子大生 JD


(C)2017「ナラタージュ」製作委員会


一方、松本潤さんが主演する上映中の映画『ナラタージュ』は、『花より男子』の道明寺司のような“松潤らしさ”こそ見当たらないけれど、「松本潤だからこそ」の作品でした。

すでに、松本さんのお芝居については、こちらの記事で存分に語っていますが、大胆なラブシーンを演じたことは、新たな挑戦だったと言えます。

月9『失恋ショコラティエ』(2014)でも、ゴールデンタイムの民放にしては際どい描写もありましたが、松本さんが演じた小動爽太の妄想部分がほとんどで、生々しく切実な思いが伝わってくるものではありませんでした。

とはいえ、これまでにもラブストーリーには多数出演し、キスシーンも多分に演じてきました。色気を漂わせた作品が多かったなか、今回はどうしようもない欲に突き動かされる場面も多かったですね。実際、演じた葉山先生も総合的には好感に持てる男性とは言い難く、ラブストーリー、ラブシーンと一口に言っても、かなり毛色の違う作品でした。

「役者・松本潤」として新たな挑戦をした作品になっているのかもしれません。

櫻井翔主演ドラマ『先に生まれただけの僕』


ドラマ 「先に生まれただけの僕」 オリジナル・サウンドトラック



二宮さん、松本さんに対して、“THE櫻井翔”な一面を見せているのが、ドラマ『先に生まれただけの僕』です。

ドラマ『家族ゲーム』(2013、フジテレビ)では過激な家庭教師を演じているので、はじめての教師役というわけではありませんが、今回は校長、それも経営の立て直しのための異動によって就いた役職です。

そもそも、ほかの嵐のメンバーに引けを取らないドラマ・映画の豊富な出演経験がありますが、それほど演技のイメージは強くありません。ニュースキャスターとして、バラエティ番組のMCとして、あるいは雑誌で建築の連載をする意外な部分も持っています。

だからこそ、ドラマで「櫻井くんらしいな」と思えるのは観る人にとって、とても貴重な体験です。

また、2018年公開予定の映画『ラプラスの魔女』は東野圭吾さんの小説が原作、三池崇史監督作品と、これまでの出演作とは毛色が違うかもしれません。こちらも楽しみですね。

嵐としてはもちろん、俳優としても目が離せないメンバーたち!


今、同時に3人のお芝居が観られる絶好のタイミングなので、こうして比較してみましたが、同じ嵐でありながら、役者としての方向、進度はそれぞれであることがわかりました。

誰がいい、悪いということではなく、アイドルとしてさまざまな要素を持つ彼らのお芝居ひとつを取っても、個性があるということです。

ただ嵐という存在をほんとうに多くの人が知っている分、演じる難しさは同等にあるでしょう。作品のなかで「ちゃんと役柄として立っていた」という評価こそ、演者を強く意識している証拠だなと思わされます。

検察側の罪人 文庫 (上)(下)セット

奇しくも、今回取り上げた3人は、すでに次のお芝居が観られる機会が決定しています。二宮さんは映画『検察側の罪人』(2018年公開予定)、松本さんは2018年1月スタートの連続ドラマ『99.9-刑事専門弁護士- SEASON Ⅱ』、櫻井さんは映画『ラプラスの魔女』(2018年GW公開予定)です。

つい先日、嵐デビュー15周年をハワイでお祝いしたかと思えば、20周年がもうすぐそこまで来ています。ふたたびお祝いムードに向かっていくなか、当の本人たちは着実に変化していて、それを見逃すまいと決意を固めました。嵐としての活動はもちろん、役者の部分からも目が離せませんね。

(文:kamito努)

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