橋本マナミ、映画『光』の“凄まじさ”について語る
(C)三浦しをん/集英社・(C)2017『光』製作委員会
11月25日より公開となる大森立嗣監督最新作『光』。三浦しをん原作のサスペンスドラマで、過去の忌まわしい記憶に翻弄される3人の幼馴染の姿を通して人間の心の底を描き出していきます。
今回シネマズでは主人公信之の妻南海子役を演じられた橋本マナミさんへインタビューを実施。映画の公開を迎えた今の心境や演技についてなどを伺いました。
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──今映画の公開を迎えて、率直にどんなお気持ちですか。
橋本マナミさん(以下、橋本):この日を迎えられて凄く嬉しいです。
この映画は本当に凄まじい映画です。なので演じる時はものすごいエネルギーが必要でした。撮影中は大変なシーンも多かったので、どんな映画になるのか正直想像が出来ませんでした。
完成した映画を試写で見たら「想像以上にものすごい映画になったな」と思いました。見ていて休ませてくれない、息を呑むシーンの連続。本当に凄まじい、凄い、そんな言葉がぴったりの映画になりました。
お客さんにやっとご覧頂けるということで、凄い嬉しいという気持ちもありますが、まだ現実じゃないような、客観的にはまだ捉えられていない感じですね。
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──大森立嗣監督のワークショップに通われていたとか。憧れの監督とのお仕事が決まった時率直にどんなお気持ちでしたか。
橋本:最初お話を頂いた時はもの凄く嬉しかったです。
キャスティングが決まってから小説や脚本を読んだのですが、南海子という役がはとても重要な役だとわかり、私にできるかなという不安やプレッシャーも感じました。
大森監督のワークショップは8年ほど前に通っていました。一番信頼できる大好きな監督さんの一人なので、大森さんとならこの不安やプレッシャーも乗り越えられるかなとポジティブな気持ちを最初から持つことができました。
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──実際に脚本を読まれて、どう役を作られていきましたか。
橋本:小説には様々な感情描写が書いてあったので、それを参考にさせて頂きつつ、南海子はこういう時にこう感じるんじゃないかということなども想像しながら役作りをしました。
私は子供を持ったこと無いので、子供を持つ親御さんと遊ばせて頂いたり、実際に子供を演じてくれた早坂ひららちゃんと遊んだりして気持ちを作りました。
──大森監督から役作りについては何かリクエストはありましたか。
橋本:大森監督からは、“役を作る”とか、そういうのはしないでくれと言われました。そのままいてくれと。外見を作るよりもその場にちゃんと役として生きることを求められました。
(C)三浦しをん/集英社・(C)2017『光』製作委員会
──南海子は一言で表しにくい人物ですが、あえて一言で言うならばどんな人物でしょうか。
橋本:南海子はもの凄いコンプレックスが強い人物だと思っています。
南海子の理想は、程々の暮らしをして、良き夫がいて、子供も平和にすくすくと育ってほしいとう感じだと思います。いたって普通の幸せを求めている感じですね。でも様々な出会いから歯車が狂っていきましたね。
──電車での無言の演技が個人的にはとても印象に残っています。
橋本:電車に乗っているシーンの演技は確かに独特だったかもしれません。
普通だったら電車に乗って撮られてるってわかったら、景色を見なきゃいけないのかなとか考えちゃいますし。でも南海子は何もしなかったんですよね。
大森監督は「ただ、そこにいて」と言いました。そのままでと。要するに引き算の芝居ですね。
南海子は普段からそんなに楽しいことがない役ですから、虚無みたいな、心に穴が空いた人を考えた結果、あのような演技になりました。
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──具体的な演技指導などは多かったですか。
橋本:特にはありませんでした。シーンによって、感情がうまく乗らなかったり、私自身悩んだシーンがある時に、監督がアドバイスをくださるような良い距離感でサポートをいただきました。
──濡れ場のシーンも同じような感じですか。
橋本:そうですね。濡れ場のシーンは南海子としては最も本能を出せるシーンです。生活とか何も考えず、ただただ自分を吐き出せる場所。そう思ったので一番大胆にしようと思って、その気持を乗せる演技をしました。
──映画のテーマでもある“無意識の暴力”について、橋本さん自身はどう思いますか。
橋本:実際日常に頻繁にあると思います。ちょっとした一言が凄い相手の心を傷つけてしまったりとか。特にお付き合いしている人に対してが最も当てはまると思いますね。
でも、そこって直すものでもないと思いますし、人の振り見て我が振り直せみたいな感じで、仕方ないのかなとも私は思ってたりもします。
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──井浦新さんや瑛太さんとの演技に関するやり取りについて教えてください。
橋本:井浦さんとはびっくりするくらい特に話しませんでした。距離感のある夫婦でしたから、ある意味普段から距離感を作っていたような。ずっと信之そのものでいてくれたので演技はとてもやりやすかったです。
瑛太さんとは逆に様々なコミュニケーションを取りました。感情を露わにするシーンや濡れ場のシーンもありましたので。身を委ねると自然とリードをしてくださったのでかなり助けられた部分が多かったです。
──お子さんを演じられた早坂ひららちゃんはいかがでしたか。
橋本:ひららちゃんとは遊んで仲良くなりましたね。
4歳の女の子ですが、ものすごく勉強家で将来はお医者さんになりたいそうです。
お芝居に関しても監督から言われたことを全てできる子。私が凄い怒るシーンも普通の子だったら嫌だという表情が不意に出ると思うのですが、全然動じていませんでしたね。
子役というより、一人の役者さんとご一緒したなという印象の方が強いくらいです。
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──撮影中、夜はどう過ごされていましたか。
橋本:一ヶ月間の撮影で、ほぼ他の仕事を入れないようにして頂きました。友達とも会わないようにして、楽しいことを一切なくして、気持ちが切れないようにしていました。
──“女優 橋本マナミ”として今後の目標はありますか。
橋本:本当にお芝居が好きなんです。お芝居はもっとやっていきたいですね。もっと精進して、色んな役をやらせたいなと思ってもらえるような女優に成長していきたいです。
──橋本さんにとっての映画『光』とは、何でしょうか。
橋本:とにかくエネルギーが物凄い映画だなと。役者もエネルギッシュで芝居合戦のような感じです。色んな力強さとかエネルギーが発散されている映画ですね。みなさんにもそれを感じてほしいです。
映画をご覧になって頂けたら、是非どう捉えたかを見た方同士で話し合ってほしいですね。それぞれ捉え方が違うと思いますので。
映画の体験やそういった話の体験がみなさんの人生に何らかの影響を与えられたらとても嬉しいです。
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(取材・文:柳下修平/撮影:いぢま (井嶋輝文))
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