映画限定! 昭和と平成の融合ライダー『仮面ライダーZO』【篠宮暁の特撮辞典・第50回】
■オジンオズボーン・篠宮暁の特撮辞典
映画1本でしか見られないヒーロー
『仮面ライダーZO』は1993年の作品で、テレビでのレギュラー放送はされていません。映画、しかもこの1本のみでしか活躍を見ることができないのです(もちろん、後の全ライダーが集合する作品では見られるのですが)。
“東映スーパーヒーローフェア”と題した、春の映画でスーパー戦隊の『五星戦隊ダイレンジャー』、そしてメタルヒーローの『特捜ロボ ジャンパーソン』と共に上映され、大ヒットしました。
今では当たり前のように、大型休暇期間のたびに、ライダーやスーパー戦隊の映画が公開されていますが、この当時は久しく映画で特撮をやっていなかった時期で、その飢えもあり、ヒットしたのだと思います(当然クオリティが高かったことも含め)。
昭和と平成、両方の空気を感じられる作風
「ZO」は今になってから位置付けを確認してみると、ちょうど昭和ライダーシリーズと平成ライダーシリーズの間にあたる作品です。
作風も唯一無二ながら、両シリーズの空気を感じることができ、40数分しかない上映時間の中で「今までいろんな仮面ライダーが出てきたけど、仮面ライダーとはこれだ!」という仮面ライダー1号・本郷猛の悲哀と苦悩を、「ZO」も見事に取り入れています。
初期の仮面ライダーを見ていた人はその作風を思い出し、見ていない子どもは「なんか怖いけど、でもやっぱりカッコいい」などと感じていたことでしょう。
当時の僕は、小学5年生で1号もビデオで見たりしていたのですが、「ZO」を見たとき、すごく大人な空気を感じて「これ、今まで見てきたライダーと少し違うぞ」と思っていました。直接的ではないのかもしれませんが、実はこの空気感こそが、後の『仮面ライダークウガ』に繋がったのではないか、そんな気がしています。
約2分間カット無し! 驚愕のアクションシーン
見どころは、まず冒頭。
ドラスという怪物が街を爆破して壊すシーンがあるのですが、セットを思いっきり爆発させているのです。今だったらCGで処理してしまうのでしょうが、CGでは出せない生の迫力を見ることが出来ます。
そして「ZO」で絶対に見逃せないのが、終盤のZO対ドラスの約2分間カット無しでのアクションシーン。これはもうすごすぎて、特撮ファンの間ではかなり有名なシーンなのです。
呼吸のしづらいマスクをつけてアクションするというのは、ただでさえしんどいのです。それを2分間もぶっ通しでやるなんて人間業じゃないのです。でも、それをZOのスーツアクター・岡元次郎さんはやっちゃっているのです。
子どもの時は何気なく見ていましたが、大人になって改めてすごさを知りました。そしてさらにすごいのが、このドラスに入っていたのが“ミスター平成ライダー”の高岩成二さん。
高岩成二さんは、15年後の映画『劇場版 さらば仮面ライダー電王 ファイナル・カウントダウン』でも、長回しアクションをされています。そして酸欠でぶっ倒れたのは有名な話。
そんなZOを見てカラダZOくZOく震わせてください。
客演も豪華で、『宇宙刑事ギャバン』の大葉健二さん、『特警ウインスペクター』のファイヤーこと山下優さん、『特捜エクシードラフト』のキースこと榊原伊織さん、『宇宙刑事シャイダー』のアニー、僕の世代は『時空戦士スピルバン』のヘレンこと森永奈緒美さんが出ていて、そこでもグイッとテンションがあがります。
(文:オジンオズボーン・篠宮暁)
※この記事は、WEBサイト「WB」にて以前連載していたものを、再編集したものです
以前の記事はこちらから
【オジンオズボーン・篠宮暁の“特撮”向上委員会】も連載中!
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