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どの席に座るべきか?映画館における座席選択問題について


「どんな奴が予約してるんだ」と予想するのは結構楽しい


「ネット予約なんだから周りの人なんてわかるわけないだろ」というのはもっともなご意見だが、予約画面を眺めるだけでも色々な情報がわかる。さらに競馬の展開予想のごとく、リザーブされた席の状況から客層を考えるのも面白い。例えば、二席並びで埋まっていたら友人同士やカップルである可能性が高いし、その並びは朝方ならばシニア割引の、夕方過ぎの回ならば学生の、夜ならば社会人の可能性が高まる。

二席並びならまだしも、四席並びや前後ろで二席ずつ予約されている場合は危険度が増す。ダブルデート、もしくは学生四人といったケースが多いからである。念のために書くが、どんな年齢・職業とて騒ぐ奴は騒ぐし、静かな人は静かである。あくまで体感値だけれども、18時くらいからの回を観ると外れが少ない気がする。

また、前方中央の席を巡るチキンレースは趣深く、三列目くらいのど真ん中をいち早く予約し「俺の周りや前には絶対座んなよ」と予約画面の向こう側から無言のプレッシャーをかける人がいたり、その前列の席に堂々と予約を入れる人もいたりする。すると今度は更にその前、最前列に二席並びでカップルらしき予約が飛び込んできたりするから気が抜けない。体験したことがある方なら「自分が一番前だと思っていたのに、開始直前に前の席に人が座った」ときの、あの何とも言えない哀しみをわかっていただけるはずだ。

これら情報を吟味し、展開予想をし、当日映画館に入って「あのカップルは予約してたな」とか、「予約時には一番前だった人、前に座られちゃったなあ」などと答え合わせをするのは当たっても外れても結構楽しい。



Photo credit: blondinrikard on Visual Hunt / CC BY



最終手段としては、金と時間で解決する方法もある


ここまでデイタイム、通常料金の席に関しての話をしてきたが、本案件の明確な解決方法としては、やはり金と時間を使うのが一番である。金と時間の解決能力はヤバい。世の中にある大体の問題や悩みはそれで解決してしまうのだから、映画とて例外ではない。

隣の人との距離が近いのは嫌だ、近くにどんな人が座ってくるかわからないから映画館は苦手、むしろ同じ空間に一定数の人間がいることすら無理、という方には少々高い銭を払って上級なシートを予約するか、レイトショー、厳密にはレイト以後の深夜回に足を運ぶのが良いだろう。

席に関して例を挙げるならば、109シネマズ二子玉川が誇るエグゼクティブシートはリクライニング機能付きで専用テーブルが設置されており、臨席との間隔が相当広く、ど真ん中で観ても窮屈さは全く無い。というか、ど真ん中で鑑賞するのがベストだろう。値段は2D上映なら2,500円で、一般と700円の違いしかない。ちなみに、6,000円を支払うことにより更に上のグランド・エグゼクティブシートを購入できるが、こちらは座ったことが無いので評価することができない。

TOHOシネマズ六本木ヒルズも数種類の価格帯で座席を用意しているが、プレミアボックスシートは席が「ラグジュアリーっしょ?」と幻聴がするほどの艶を放つ板により、一席ずつ区切られているので完全なるプライベート空間を確保できる。荷物置きスペースもかなりの容量があるので、冬場など荷物が多いときはとてもありがたい。さながら操縦席や秘密基地のような雰囲気なので、その手のスペースがお好きな方はぜひ。通常の料金にプラス1,000円で鑑賞できる。各種割引と併用すれば数百円程度の出費なので、機会があれば使わない手は無いだろう。

レイトショーは時間が合えばおすすめで、バカでかいスクリーンに一人だけの可能性も無くは無い。というか、ある。その場合移動もし放題であり、別の意味で「どの席に座るか」問題が立ち上がるが、映画館を独占した幸運を噛み締めながら大いに悩みたいところではある。問題があると言えば、まだ暗く電車が走っていない時間に外に放り出されるが、これも飲み屋に行く、タクシーを拾って帰るなど、全て金で解決可能である。



Photo credit: M i x y on VisualHunt.com / CC BY-NC-SA



と、ここまで書いて、結局の結論は「好きなところに座ればいいじゃない」である


色々と持論を垂れ流してきたが、行き着くところは「好きなところに座ればいい」であり、それによって隣の奴から迷惑を被るのも自己責任であるし、字幕が見辛かったら次回は違う場所で観れば良い。映画はそんな経験も面白いし、失敗したならそのネタを酒の肴にでもしてあげればもっと面白い。映画の話になったとき、観てもいない作品を薦められたり、けなされたりするよりも、聞いている方としては余程面白いと思うのだが、どうだろうか。

ともあれ隣客が煩い、座った位置が気に入らないなど、「過去に嫌な思いをしたことがあるので映画館には行きたくない」方が多いのも事実で、実際に良く言われたりする。だが、ベストな席を確保できたときには素晴らしい映画体験ができるものまた事実である。だから、最近足が遠のいている方が本コラムを読んで、ちょっとでも映画を観に行ってみようと思ってくれたならとても嬉しい。そしてもし、劇場に足を運んだとき、上述した映画館の右斜め後ろの席でメモを取りながら映画を観ている痩身の男が居たら、それはおそらく筆者だ。もし見かけたら気軽に話しかけてください。メロンソーダくらい奢るから。

(文:加藤広大)
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