「スター・ウォーズの日」に見たい『ファンボーイズ』!『レディ・プレーヤー1』の源流も
5月4日は、『スター・ウォーズ』シリーズの名ゼリフ「May the force be with you(フォースと共にあらんことを)」にちなんで、「スター・ウォーズの日」として記念日となっています。
今年の5月4日(祝・金)には、東京・新宿で「STAR WARS DAY TOKYO 2018」と題したイベントが行われますが、今回は今年の「スター・ウォーズの日」に見るのにふさわしい、『スター・ウォーズ』以外の映画をご紹介します。
現在公開中の『レディ・プレイヤー1』で、原作/脚本を務めたアーネスト・クラインが脚本を担当した、『スター・ウォーズ』ファンを描いたコメディ映画『ファンボーイズ』(2009)です。
『レディ・プレイヤー1』でも、映画、アニメ、コミック、ゲームなど幅広いジャンルへの愛とオタク賛歌が描かれていましたが、『ファンボーイズ』にその源流を見ることが出来ます。
余命わずかな友達に、死ぬまでに『エピソード1』を見せるべく
スカイウォーカーランチへ!
(C)2008 The Weinstein Company,LLC. All rights reserved. Artwork (C) 2009 Weinstein Company.All rights reserved.
『ファンボーイズ』の舞台は、全世界の『スター・ウォーズ』ファンが16年振りに公開される新作『エピソード1/ファントム・メナス』(1999)の公開を今か今かと待ち焦がれていた、1998年秋。
主人公エリック(サム・ハティントン)も、そんな『スター・ウォーズ』ファンのひとりでしたが、ある日ファン仲間であるライナス(クリス・マークエット)がガンで余命わずかであることが判明。
「死ぬ前に『エピソード1』を見たい」というライナスの願いを叶えるため、ルーカスフィルムの本拠地であるスカイウォーカーランチまでアメリカを横断する仲間たちの旅を描くコメディ・ロードムービー、それが『ファンボーイズ』なのです!
この『ファンボーイズ』は2009年のアメリカでの公開時には日本公開の予定がありませんでした。私は当時、この映画がどうしても見たい!と思い、日本公開を目指す署名運動を主宰し、その後2010年に日本でも公開されました。
本稿では、日本公開を目指す署名運動を主宰した私が『スター・ウォーズ』の新作映画が続々と公開されるようになり、『レディ・プレーヤー1』が公開中の今だからこそ見て欲しい、『ファンボーイズ』の見どころをご紹介します!
『スター・ウォーズ』シリーズのキャストも!豪華なカメオ出演
この『ファンボーイズ』、本家『スター・ウォーズ』キャストもカメオ出演として顔を見せているので、『スター・ウォーズ』ファンは注目です。
まずレイア・オーガナ役を演じ、遺作となったシリーズ最新作『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(2017)でも印象に残る演技を見せてくれたキャリー・フィッシャー。キャリー・フィッシャーは女医役として出演しており、あの名シーンの再現までやってくれています!
ランド・カルリジアンを演じたビリー・ディー・ウィリアムスは、ラインホルド検事役で出演。俳優のジャッジ・ラインホルド(ジャッジ=検事)と掛けたネタが仕込まれている役名であり、『バットマン』(1989)でハービー・デント検事を演じたことも彷彿とさせます。
さらに、ダース・モールを演じたレイ・パークも出演。スカイウォーカーランチの警備員役で出演したレイ・パークは、ダース・モールさながらのアクションをちょっとだけ見せてくれます!
このほか、ダニー・トレホ、『スター・ウォーズ』ファンとしても知られる映画監督のケヴィン・スミス、そして「スター・トレック」のカーク船長として知られるウィリアム・シャトナーまでもが本人役でカメオ出演!
『スター・ウォーズ』と双璧を成すSFシリーズである「スター・トレック」シリーズの主役キャストが、一体どのように登場するのかはぜひ本編をご覧頂きたいのですが、『ファンボーイズ』では『スター・ウォーズ』ファン VS 「スター・トレック」ファンのオタク同士の抗争も見どころのひとつ!
『ファンタスティック・ビースト』や『アナ雪』も!
大作映画への出演を果たしたメインキャスト
『ファンボーイズ』は小規模な作品ですが、全米公開から今までの9年の間に大作映画に出演するメインキャストも出てきました。
まず、ハン・ソロをバカにされると激怒するハッチを演じたダン・フォグラーは、『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』(2016)にジェイコブ・コワルスキー役で出演。「ハリー・ポッター」シリーズへの出演を果たしました。
2018年11月に公開される続編『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』にも出演します。
また仲間たちの紅一点で、男よりも男らしい言動でありながら、『007』のすべての悪役を把握し、「ゼルダの伝説」を全作遊ぶようなオタクのゾーイを演じたクリスティン・ベルは、あの『アナと雪の女王』(2013)でアナ役を演じました。
オタクらしいオタクであるウィンドウズを演じたジェイ・バルチェルも、『ヒックとドラゴン』(2010)シリーズの主人公ヒック役のほか、『魔法使いの弟子』(2010)ではニコラス・ケイジと共演しています。
コメディ&エモーショナルなストーリーで、笑ってしんみり
『ファンボーイズ』の魅力のひとつは、上記のカメオ出演に代表されるように、ファンならば思わずうなずき爆笑する『スター・ウォーズ』ネタが散りばめられているパロディ&コメディ要素! 男友達同士で繰り広げられるような下ネタもあります!
パロディや引用については、元ネタが『スター・ウォーズ』に限らず幅広いジャンルとなっている点は、今なら『レディ・プレーヤー1』も思い起こさせられます。
数々のギャグに笑いつつも、「死ぬ前に『エピソード1』を友達に見せてやりたい」というエモーショナルなストーリーラインは、何かを好きになってファンになった経験を持つ人には、心に残るはず。
脚本を務めたアーネスト・クラインは、1998年のハロウィンパーティーに「『エピソード1』の前にこのまま死んじゃったらどうしよう」と考えたことに着想を得たそうです。
「どうしても見たい」と思うほど好きなものが、生きている間に見られないかも知れない……。それほどまでに好きなものがあることは、彼らにとってただの映画以上のかけがえのない存在であることが語られるのは、映画ファンならば共感する方も多いのではないでしょうか。
そして、『スター・ウォーズ』の新作映画がこれからも作り続けられることが決まっている今、「死ぬまでに『スター・ウォーズ』の新作が見たい」という願いは他人事ではなく、いつか自分の身にも起こることなのかも知れません。
実際に2015年には、アメリカの『スター・ウォーズ』ファンであるダニエル・フリートウッドが、余命わずかながらも当時公開前の新作である『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(2015)を見たいという願いがSNSで拡散し、マーク・ハミルやジョン・ボイエガ、ピーター・メイフューといった『フォースの覚醒』のキャストたちにも応援されながら、ついには亡くなる前に未完成版を特別に鑑賞させてもらえたという、『ファンボーイズ』を現代にアップデートしたような出来事もありました。
また、コミックアーティストになる夢を持ちながらも、父親の経営する中古車店で働くエリックにかけられる「お前のデス・スターを見つけろ」という言葉は、スカイウォーカーランチへの旅のように困難なことでも、何か大きいことをやってみよう!と背中を押してくれます。
こうしたストーリーのバックボーンがしっかりしているので、そこまで『スター・ウォーズ』を知らない方でも青春コメディ・ロードムービーとして楽しむことが出来るはず。
『ファンボーイズ』を見る方法
現在この『ファンボーイズ』を見るには、セルDVDの購入、またはレンタルという2つの方法があります。少し前までは様々な動画配信サービスで展開されていたのですが、現在は配信されておらず、もともとTSUTAYA独占だったレンタルが一番手軽な方法となっています。
『ファンボーイズ』の舞台である1998年が20年前という、結構な過去になってきましたが、当時から映画を見る方法としておなじみのレンタルビデオ店にも、まだ大切なものがきっとあるはずです。
『レディ・プレーヤー1』に熱狂した人も、「スター・ウォーズの日」に盛り上がりたい人にもおすすめの1作!
(文:藤井隆史)
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