『万引き家族』でも話題。濡れ場の本質を教えてくれた日本代表女優・安藤サクラ
2018年も上半期が終わりましたが、なんといっても日本は『万引き家族』旋風でしょう。
カンヌを獲り、あのケイト・ブランシェットに褒められた女優が日本にいたでしょうか?
いやケイト・ブランシェットがなんぼのもんじゃいと。安藤サクラはとんでもない女優であるという事を再認識する。
今回はそんな『万引き家族』でなく、大名作『百円の恋』を紹介したい。
『百円の恋』
(C)2014 東映ビデオ
実家でひきこもり生活を送る32歳の一子は、離婚して出戻ってきた妹とケンカしてしまい、やけになって一人暮らしを始める。100円ショップで深夜勤務の職にありついた一子は、その帰り道に通るボクシングジムで寡黙に練習を続ける中年ボクサーの狩野と出会い、恋をする。しかし幸せも長くは続かず、そんな日々の中で一子は自らもボクシングを始める。
松田優作の出身地・山口県で開催されている周南映画祭にて、2012年に新設された脚本賞「松田優作賞」で第1回グランプリを受賞した足立紳の脚本を、『イン・ザ・ヒーロー』の武正晴監督が映画化。不器用でどん底の生活を送っていた女性が、ボクシングを通して変化していく姿を描いた作品となっている。
なかなかできない完全に醜い女
(C)2014 東映ビデオ
まずこの散々超絶賛の映画を、今というタイムラグありありのタイミングでコラムを書く事をお許しいただきたい。
後出しも後出し。
しかしそんな事どうでもいいくらい心の奥を殴られるような作品。
出演者全員がすばらしいのである。
そしてその中でも一際いかつい女優。安藤サクラ。
再三申し上げてます通り、僕にとっては濡れ場と格闘技が映画の中であればもう90点は固いわけです。
(C)2014 東映ビデオ
シャーリーズ・セロンもびっくりの醜い体からのシェイプアップ。
しかもそれを10日足らずであれだけキレのある動きと体型に持っていく。
普通に考えて尋常じゃないです。
女優が醜い役するんだったら…髪伸ばして…とりあえずメガネかけて…変な服着て…
とかじゃない。
完全に醜い。
髪はボサボサを通り越してバサバサ。色はプリンを通り越してポッキーの割合。
不摂生からくる体のたるみ、そしてできもの。見るからに歯周病で臭そうな口。
おる。こいつおる。大阪の十三あたりにいる。
完全にそう思わせる完璧な見栄え。
これを簡単に割り切って出来る女優ってあんまりいないです。
やっぱり綺麗さ残ってたり、綺麗さをわざと残してたり…そう言うのが一切ない。
だからこそ、この女の心情に目が離せなくなる。
(C)2014 東映ビデオ
濡れ場もはっきりいってエロいとかの気持ちは一切無し。
いつの間にか安藤サクラ演じるダメダメな「一子」に、自分の少しの部分を投影させて応援団になってた。
男目線になりがちな濡れ場もきっちり主人公目線で観ることができた。
その上に圧巻のボクシングシーンがある。
もう最高やん…。
ここは観てくれとしか言えませんが、この動きするってことはどれだけハードな練習したんよって話。
映画のストーリーでグッと来て、ここまで持ってくる裏側想像して女優にグッとくる。
これはもう女優の力でしかありません。演技力とかじゃない…もう画面から出るパワーがすごい。
そう…名女優はいつも濡れ場の本質を教えてくれる。
濡れ場の為に映画があるんじゃない。映画の為に濡れ場があるんだと。
『万引き家族』と合わせて是非。
と言うかもう皆観てるだろうけど…。
(文:南川聡史)
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