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2018年08月04日

まるで『ダイ・ハード』か『死亡遊戯』な、劇場版『僕のヒーローアカデミア』!

まるで『ダイ・ハード』か『死亡遊戯』な、劇場版『僕のヒーローアカデミア』!



(C)2018「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE」製作委員会 (C)堀越耕平/集英社 



漫画原作の映画化は昔も今も多数ありますが、正直やはり実写版よりもアニメ版のほうがファンとしては安心して見ていられることでしょう。

2014年7月より「週刊少年ジャンプ」で連載開始された堀越耕平の『ぼくのヒーローアカデミア』も2016年4月よりTVアニメ・シリーズが始まり、好評を博しています。

当然ながらにその劇場映画版もめでたく制作されたのですが……

《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街325》

映画『僕のヒーローアカデミアTHE MOVIE ―2人の英雄(ヒーロー)―』は原作&アニメ・ファンのみならず映画ファンもプログラムピクチュア感覚で大いに楽しめる逸品に仕上がっていました!

テロリストに占拠された島を救うため
超高層タワーを上る生徒たちの闘い!


原作やアニメを未見のかたのために、まずは『僕のヒーローアカデミア』の基本設定をお伝えしますと……舞台となるのは、総人口の8割が超常能力“個性”をもって生まれる世界です。

そこでは人々と社会を守り、時に個性を悪用する犯罪者の「敵(ヴィラン)」の魔手に立ち向かう職業“ヒーロー”を夢見る若者たちが名門校・雄英高校に毎年競うように集まってきています。

主人公のデクこと緑谷出久(声/山下大輝)もそのひとり。

ただしデクは個性を持たずに生まれてきた2割の人間“無個性”であり、それでもヒーローへの夢をあきらめず、また秘めたヒーローとしての資質を№1ヒーローのオールマイト(声/三宅健太)に見出され、彼から代々受け継がれてきた力を蓄えて譲渡できる「ワン・フォー・オール」の個性を授けられたのでした。

かくしてデクはヒーロー科1年A組のメンバーとともに、ヒーローになるべく日々学び勤しむのでした……。

そして今回の劇場版は1学期の期末試験を終えて夏休みの林間合宿を控えた雄英高校メンバーたちが、海上に浮かぶ巨大人口移動都市《I・アイランド》を舞台に大活躍!

そこでは世界中の科学研究者たちの叡智を結集させた《I・エクスポ》が開催されています。

アイランドを訪れたデクはオールマイトの旧友デヴィッド・シールド博士(声/生瀬勝久)の愛娘で無個性の少女メリッサ(声/志田未来)と知り合います。

しかし、そんな中、アイランドの警備システムがテロリストにハッキングされ、島内全ての人々が人質にされてしまいます。

オールマイトも身動きが取れません。

かくしてダクたちヒーロー科の生徒とメリッサは、そのハッキングを解くために超高層タワーの上層部まで登っていきます。

しかし、そこには当然ながら敵のテロリストが待ち構えているわけでして……!



劇場版ならではの
熱い映画的ダイナミズム!


少年ジャンプが創刊当初から長年掲げ続ける「友情・努力・勝利」のモットーを楽しく受け継ぎつつ、今の若者たちのニーズに応えて好評を博す『僕のヒーローアカデミア』ですが、その劇場版ということで、ここではさらに映画的な仕掛けが多分に用意されています。

中でも超高層タワーがテロリストに占拠されるという設定は、映画ファンなら誰しも『ダイ・ハード』を想像してしまうことでしょう。

つまり今回はジョン・マクレーンならぬヒーロー・アカデミアの生徒たちが『ダイ・ハード』さながらの舞台に置かれたら? という設定の下、さらには彼らが上へ上へと登りながら敵と戦い、危機を突破していくという、いわばブルース・リーの遺作『死亡遊戯』クライマックスに倣った趣向でデクたちの活躍をダイナミックに魅せていくのです。

そして上階に上ってからの壮大かつ熱いクライマックスの成り行きなどは、もうネタバレになるので書けないにしても、銀幕の大画面を駆使した大迫力‼ またそこに至るまでの過程で、デクはもちろんのことメンバー個々のキャラクターも大いに引き立つ結果となっています。

もちろんオールマイトも!

ゲスト声優陣も生瀬勝久&志田未来ともに安定した声の供給で、顔出しタレントがシリーズの世界観を阻害してしまう要素など微塵もありません。
(特に志田未来は上手いですね)

さらに今回は原作の堀越耕平がキャラクター原案&総監修も兼ねているだけあって、どこかアメコミ風の作品世界を巧みに継承し、映画ならではの面白さを満喫させつつ、本来のファンはもちろん、シリーズ未見の人でも割かしスムーズに入り込める逸品となっています。

やはりこういった類のものを作らせたら、日本のアニメはピカイチですね。ハリウッドの実写に負けずとも劣らず!

そのクオリティの高さを存分にお楽しみいただけたらと思います。

(文:増當竜也)

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