『マイル22』感想、壮絶非情なまでに面白いエンタメを求めるならコレ!
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正月第2弾作品が続々と公開され始め、ついに2019年がスタートしたのだなといった感慨に浸る今日この頃ですが、その中で今月もっとも強くお勧めしたい作品をストレートにご紹介したいと思います……
《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街355》
ピーター・バーグ監督×マーク・ウォールバーグ主演と、Wバーグ(?)コンビ4度目のタッグとなる壮絶非情なミッションを描いたノンストップ・スパイ・アクション巨編『マイル22』です!
危険物質をめぐる重要参考人の
熾烈な護送ミッション!
『マイル22』はCIA最強の地上実戦部隊×完璧な頭脳戦略チーム“マザー”で組まれた機密特殊ユニットによる護送ミッションの脅威的顛末を描いたものです。
世界全体を危機にさらす危険な放射性物質セシウムが盗まれ、その奪還のためにシルバ(マーク・ウォールバーグ)率いる部隊は、東南アジアの政情不安な国インドカーに潜入。
やがて部隊は、セシウムの在処を入れたハードドライブを開くパスワードを知る地元警官ノア(イコ・ウワイス)の要求で、彼を重要参考人としてアメリカへ亡命させることに。
アメリカ大使館からノアを空港まで護送するまでの距離は22マイル(35.4キロ)。
しかし、インドカー側はノアの国外脱出を阻止すべく官憲その他、暗殺チームまで総動員する準備を整えていました。
かくしてアメリカはノアの護送を、部隊とビショップ(ジョン・マルコヴィッチ)率いるマザーの機密特命ユニットによる「オーバーウォッチ作戦」として発令。
ちなみにオーバーウォッチ作戦に従事る者たちはアメリカ政府から解任され、アメリカ国民ですらなくなります。
これによってユニットは既存のルールに縛られずに行動できる代わりに、アメリカは彼らの行動に関して一切関知しないと言い張ることができるのです。
オーバーウォッチ作戦の遂行はこれが初めてではないシルバたちではありましたが、今回のミッションはインドカー保安局長アクセル(サム・メディーナ)指揮下の猛攻によって熾烈な戦いを強いられていきます。
しかもシルバたちにそのつど戦略指示を与えていくマザー以外に、なぜかロシアの政府高官ヴェラ(ナターシャ・グブスカヤ)らを乗せた偵察機が、インドカー国の上空からミッションの模様を監視し続けていて……。
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監督主演の名コンビ
4度目の見事なタッグ!
本作の魅力は何といってもアメリカと東南アジア某国、そしてロシアの三つ巴のスパイ合戦をスリリングに、そして非情なまでのダイナミズムで活写し続けていくところにあります。
特に中盤からミッションが開始されて以降は、ポップコーンもドリンクも口にするのを忘れてしまうほどのノンストップ・アクションが繰り広げられていきます。
そのストーリー展開の面白さと、それに見合った諸描写のすさまじさ!
監督のピーター・バーグと主演のマーク・ウォールバーグはこれまでに『ローン・サバイバー』(13)『バーニング・オーシャン』(16)『パトリオット・デイ』(16)と組み続けていますが、4作目のタッグとなる本作での徹底的にクールな緊迫感の描出は、監督と主演俳優のあうんの呼吸みたいなものまで感じられる素晴らしさです。
実際、この4作でマーク・ウォールバーグはどれひとつ似たキャラクター造形がなく、毎回違った一面を魅せてくれていますが、特に本作の冷徹な風情はまさにスパイ・アクションものの主人公の鑑ともいえる優れもので、とにもかくにも余計なドラマなど介入させず(それでいて各キャラの素性や心情なども、さらりと描かれている上手さ!)、ひたすらミッションの脅威と過酷さのみを描いていく姿勢にも潔さを感じます。
このところ流行りの音楽映画やファンタジー・シリーズ、はたまた親の遺恨が息子たちに受け継がれるボクシング映画など、2019年1月の映画館も多種多彩ではありますが、その中で個人的にはこの作品をトップに強く推したい所存ではあります。
お正月ののんびりほえっとした気分を抜けて、そろそろピリッとしたい向きにも絶好の作品といえるでしょう。
とにもかくにも冒頭から一瞬たりも気を休めることのできない作品ですので、そのあたりはお覚悟のほどを!
(文:増當竜也)
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