『七つの会議』の「7つ」の魅力


魅力5:大きな発見、文字通りの紅一点朝倉あき


メイン処にオーバー40の大物男優陣が並ぶ中で文字通り紅一点という形で素晴らしい輝きを見せたのが、及川光博が演じる原島とともに謎解き役の浜本優衣を演じる朝倉あきです。



©2019映画「七つの会議」製作委員会 


昨年の主演作『四月の永い夢』が国際的に評価されて一気に注目を浴びた女優ですが、意外な秘密と鍵となるアイテム“ドーナツ”を片手に八面六臂の活躍を見せます。

元々、原作ではワンポイントの登場でしかない優衣役が映画に合わせてボリュームアップされ、大きな役割を果たすキャラクターに変更。その大きな役を見事に演じ切りました。



魅力6:視点がバラバラなオムニバス形式の原作を見事にアレンジした脚本
&魅力7:地味な会議をダイナミックなエンターテイメントにした福澤監督演出


今回メガホンをとる福澤克雄監督以下、本作のスタッフ陣は『半沢直樹』『ルーズヴェルト・ゲーム』『下町ロケット』『陸王』と日曜劇場の池井戸潤原作ドラマの演出を手掛け続けてきた、言わば“池井戸潤文学の映像化の達人”です。

そんな製作陣が手掛けた映画『七つの会議』。

池井戸潤の原作小説は今までの映像化作品と違い、視点がその都度変わり、八角に迫っていくオムニバス形式の小説でした。

今回、映画化するにあたって、探偵役を原島と優衣に集約させる形で視点をまとめ一本筋の通った物語になっています。また視点が一つになったことでより八角という人物の陰と陽の魅力が際立つ形になりました。

凄まじい熱と圧をはらんだ“正義を問うドラマ”のラスト、野村萬斎が一人語りで“日本の会社社会の正義”について語るシーンを受けて流れる主題歌がノーベル文学賞受賞者にまでなった現代音楽の探究者ボブ・ディラン『メイク・ユー・フィール・マイ・ラブ』。

アコースティックギターの素朴さが逆に際立ち、爽やかな“物語の締め”になっています。

(文:村松健太郎)

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