インタビュー

2019年02月20日

『仮面ライダー555』半田健人があのレジェンドの道を歩む宣言!?「パラダイス・ロスト」上映イベントレポ

『仮面ライダー555』半田健人があのレジェンドの道を歩む宣言!?「パラダイス・ロスト」上映イベントレポ



左から、プロデューサーの白倉伸一郎、半田健人

2月17日(日)、東京・渋谷TOEIにて『劇場版 仮面ライダー555 パラダイス・ロスト』(2003年/監督:田﨑竜太)がリバイバル上映され、主演を勤めた乾巧(いぬいたくみ)/仮面ライダーファイズ役の半田健人さん、東映の白倉伸一郎プロデューサーによる舞台挨拶が行われた。

このイベントは『平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER』の公開を記念し、1月18日(金)~1月30日(水)に同作の公式サイトで実施された『平成仮面ライダー映画・あの名作をもう一度!キャンペーン』の一般投票の結果を受けて開催されたもの。平成仮面ライダー映画40作品の中から『もう一度スクリーンで観たい映画』の第1位に選ばれたことで、実現した。

「パラロス」はすごい映画




『劇場版 仮面ライダー555 パラダイス・ロスト』上映後のステージに半田さん、白倉プロデューサー(以下白倉P)が、会場からの大きな拍手に迎えられて登場した。
MCの言葉で、会場の観客たちから「たっくーん!」と劇中での愛称で呼びかけられた半田さんは「16年後、こうなりました」と照れくさそうな笑顔を浮かべつつ、「こうしたイベントに呼んでいただくたびに、自分はいくつになっても"たっくん"でいなきゃいけないな、という自覚のようなものをひしひしと感じます」と続けて、会場の声援に応えた。




改めて、今作が『もう一度スクリーンで観たい映画』の第1位に選ばれたことへの感想を求められた半田さんは「やっぱり、映画っていうものはスクリーンで上映される事を前提に作られているものなので、(今回のように)スクリーンでご覧いただくというのが、制作陣からしても一番望ましい形だと思う。(1位に選んでもらえたことは)本当に光栄なことですし、(こうした機会は)滅多にないことですからうれしいです」と、感謝の気持ちを表した。

続けて白倉Pは「3年ほど前に日本映画監督協会のイベントがあって、そこでも(この映画が)上映されたんです。そのときに10数年ぶりにこの映画を観て『すごい映画だな。スクリーンで観るべき映画だな。(田﨑)監督すごいね!』と他人事のように感心してしまった」と、長い時間を経て客観視できる状態になっても、この映画が色褪せていない事をアピール。

1万人のエキストラが完璧過ぎた




今作の見どころでもある、一般公募のエキストラ1万人が参加した埼玉・さいたまスーパーアリーナでのクライマックスシーンを振り返って半田さんは「僕は、当時19歳になったばかりで、芸歴も1年に満たないころだったんです。そんな頃に1万人ものエキストラの皆さんがいる中でいつも通りの芝居をしろというのがムリな話ですよ。あとで田﨑監督に聞いたら『あの現場でいつもとまったく同じ芝居をしていたのは(園田真理役の)芳賀優里亜だけだ。あの女はすごい!』とおっしゃっていましたよ」と、非常に緊張感のある撮影だった事を強調。続けて「(エキストラの)皆さんの協力体制が素晴らし過ぎて、(演技も)完璧なんですよ。だから、僕らがNG出すわけにはいかないってプレシャーがすごかったです」と、1万人のエキストラを賞賛するとともに、そのことで更なる緊張に追い込まれていたことを明かした。ここで、白倉Pが「ちなみに、その時の1万人の中にいた方はいらっしゃいますか?」と会場に問いかけると、数名の観客から手が挙がり「すごい! ありがとうございます」と16年を経た再会のような状況に感激の様子だった。




続けて、白倉Pは1万人のエキストラにまつわる話として、全員の名前をエンドテロップに載せた事に触れて「名前をネット上で登録して頂いたかは覚えていないんですが、だとするとコピペのはずなんです。それでも名前を並べるだけで6時間ぐらい掛かった。そこから『THANK YOU!』の文字を描くためのプログラムを組むのにさらに何時間か掛かって、結局1日がかりだったのを覚えてます」と、当時の苦労を振り返った。

超過酷な撮影スケジュールを乗り越えて


映画撮影時の印象的なエピソードについて半田さんは「いっぱいありますが、撮影初日に大遅刻をかましました。ちょっとの遅刻じゃありません。3時間以上です。理由は寝坊です」と、軽やかな口調で告白して会場を沸かせると「ところが、"巧くん"が現場に居ないというのは事実なんですが、同時に"巧くん"の(撮影に必要な)あるモノも現場に来ていなかったおかげで、僕が時間通りに行っていても結局撮影は出来なかったということで、責任が分散されて助かりました」と続けて会場の笑いを誘った。




さらに「いろいろありましたね。ロケ地で遊園地行ったり。さいたまスーパーアリーナは5日ぐらい借りての撮影で、僕は初日と最終日しか参加してないんですが、芳賀さんは出っぱなしだったので大変だったんですよね。初日はまだ元気があったんですが、5日目ともなると(疲労で)目も合わせてくれないというね(笑)」と、冗談めかしつつ当時の過酷な撮影スケジュールを振り返ると、白倉Pが「テレビ版と同時並行での撮影だったので、昼間テレビ版を撮影して夜、映画版を撮影するといったフォーメーションになっていて。最長72時間なんてこともあって、キャストによっては寝られない人が出てきたりしたんですよ。そんな中、この映画の制作発表があって、夜から明け方ギリギリまで映画の撮影をして、半田健人、芳賀優里亜を拉致するように車に乗せて会見場に向かいました」と、さらに過酷な状況を告白して会場を驚かせた。

今だからこそ


続いてテレビシリーズへと話題が移ると、『仮面ライダー』というヒーローを演じる上で当時気をつけていたことを質問された半田さんは「当時は思考自体が若かったので気をつけるレベルが甘かったと思います。(ヒーローに)ふさわしくない部分もあったかもしれないですし、ご挨拶ひとつにしても、ちょっとトガってた部分もあったかなと思います」と、若さゆえの甘さを反省しつつ「逆に15年以上経った今、まだこうしてリクエストしてもらえば1位に選んでいただけるような立場、あるいはそういう目で僕をとらえていただいているということのほうが重要。だから、これからのほうが振る舞いや自分がやっていくべきことに『仮面ライダー』をやった自分が影響してくるんじゃないかなと考えています」と、現在の胸の内を明かして会場からは大きな拍手が起こった。




また、人間とオルフェノクを単純に善と悪に分けられない奥深いストーリー展開についても「正直に言うと、経験が浅かったので、善悪が何であるかとかテーマどうこうといったところを考える以前に、その日のスケジュールこなすであったり、セリフを覚えるであったりといった表面的なとらえ方で仕事に向かっていた。今年に入って自分のブログで『ファイズ』のレビューを書くにあたって、1話から観直すことによって客観視ができるようになって、こういうことを描きたかったんだなといった部分をようやく分かるようになってきたと思う」と分析しつつ、「夢を持ってこの世界に飛びこんだ自分は、『俺には夢がない』という巧とは真逆の人間だったので当時はあまり共感できなかったけど、この歳になって『こういう時ってあるよね』と理解できようになった」と、演じていた当時から時を経たからこその自身の変化を語った。

仮面ライダーとして生きていく運命




自身にとって『仮面ライダー555』はどんな存在か、という質問に対して半田さんは「人生単位で考えた時に“自分がやりたいこと・やろうと思っていること”と自分の人生に託された“やるべきこと”は違うと思う。『仮面ライダー555』の乾巧というのは後者であると、最近ひしひしと感じるようになりました」と、感慨深げに語ると「白倉さんに選んでいただいたところから始まり、今日もこうして熱いご支持をいただいているというのはもう『仮面ライダー』として生きていく運命だなと思います」と、続け「それを大事にして、自分が乾巧という役を演じることで何かを感じてもらえる方が全国にいらっしゃるのであれば、自分の長い話が何かハートの力になれるのであれば、そういうことを積極的にしていきたいと思っています」と、これからも『仮面ライダー』としてファンの期待に応えたいという熱い気持ちを語って会場を唸らせた。




その思いを聞いた白倉Pからの「まさに藤岡さん(藤岡弘、さん)の道を歩む宣言だね」とのフリに半田さんは腕組みをして目を細めながら「いやぁ、そうかもしれないね〜」と、見事な藤岡さんのモノマネを披露して会場を大いに沸かせた。

打倒『パラロス』、乾巧として生きていく




最後に白倉Pは「本日は半田健人の長い話に付き合っていただいてありがとうございます」と、冗談で会場の笑いを誘いつつ「『パラダイス・ロスト』は本当に自分自身心から大好きな作品で、こうして1位に選んでいただいたことはものすごくうれしいです。ただ、うれしいと同時に悔しい気持ちもあって、なかなかこの『パラダイス・ロスト』を超える作品を作れていないと思う部分もあります。私だけでなく東映としても頑張って、もっともっといいものを作って、打倒『パラダイス・ロスト』を目指してやっていきます。とりあえず、我々は今年の夏に公開されるであろう目の前の『ジオウ』劇場版を、どういう映画にしようかというネタを死ぬ気で考えて“打倒『パラロス』”でやっていきます」と、今作への熱い思いとそれを超える作品への意欲を語った。




一方、半田さんは「僕も15〜16年この仕事をやってきて、このファイズを超えたものがどのぐらい自分の中にあるかと考えると難しいところがある。そのぐらいこの『仮面ライダー555』というものは、長きに渡って応援していただいて、すごくたくさんのファンがいてくださるということだと思う。だから、それを超える功績を残さなきゃいけないなと思う一方で『だったらもうファイズでよくね?』と思う気持ちもあるんです。(役者として)やりたい事、観てもらいたいものというはみんなそれぞれあるんですけど、観てもらえない事のほうが多い訳で、1個のコンテンツでこんなに熱く支持されているものを大事にしていくほうがよくないですか? というのが私の最近の悟りです」との思いを語りつつ「だから、僕は、ファイズとして、乾巧として、生きていきます!」と、ファンにとって心強いコメントで締めくくり、会場は割れんばかりの拍手に包まれた。

(写真・取材・文:いぢま)

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