映画コラム

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2019年03月01日

『スパイダーマン:スパイダーバース』が大傑作となった「8つ」の理由!全人類必見!

『スパイダーマン:スパイダーバース』が大傑作となった「8つ」の理由!全人類必見!



7:存在意義を見つける尊い物語!
コミックへの愛を肯定する素晴らしさもあった!


フィル・ロードとクリス・ミラーの作家性は、前にも少し触れた通り“ふさぎ込んでいた主人公が自分の本当の役割や可能性に気づき、そして自己実現をしていくという物語が紡がれている”ということにもあり、言うまでもなく『スパイダーマン:スパイダーバース』でもそれは共通しています。事実、2人は本作について以下のようなコメントをしています。

「この映画は、スーパーヒーローの体験を新鮮な角度から探求しながら、大人になること、行動を起こすこと、この世における自分の存在意義を見つけることといった、大きくて普遍的なテーマを扱っているんだ」

映画本編を観てみれば、本作はクモのスーパーパワーを持つスパイダーマンという架空のヒーローの活躍を描きながらも、同時に“ヒーロー”という概念を極めて普遍的かつ、限定されていない広義的な意味で使っていることに気づくでしょう。もっと言えば、「誰でもヒーローになることができる」という現実に根ざしたメッセージ性をも備えているのです。

さらに、フィル・ロードとクリス・ミラーは本作の主要テーマの1つとして「僕ら全員がパワーを持っていて、誰もが自分の追うべき責任をちゃんと果たさなければならない」ということを挙げています。それはスパイダーマンの映画シリーズで繰り返し強調されていた「大いなる力には、大いなる責任が伴う」という言葉につながっているのです。現実に根ざした“ヒーローとしての存在意義(および自己実現)”を示しながら、それがスパイダーマンという作品の根底にある精神性にリンクしているというのも、本作の美点でしょう。

それらは「コミックや創作物を愛することを肯定する」ことの尊さにもつながっていきます。並行世界のスパイダーマンたちが集結するということ、画風さえも異なるキャラたちが共に戦うというのは荒唐無稽ではあるのですが、本作ではそれを“コミックを再現したアニメ”という“これでしかできない”表現をして、それらのキャラが大活躍することで、全力で肯定してみせるのです。

スパイダーマンを、アメコミを(バカバカしくもある荒唐無稽も含めて)愛していたという方にとって、これほどに感涙できるプレゼントがあるのでしょうか!その嬉しさは、アメコミやスパイダーマンを知らないという方にも、きっと通じるはずです。



8:ありがとう、スティーブ・ディッコとスタン・リー


本作『スパイダーマン:スパイダーバース』は、2018年6月29日ごろに亡くなったスパイダーマンの原作コミックの共同クリエイターであるスティーブ・ディッコに捧げることになっていました。そして、本国での公開日の約1ヶ月前の2018年11月12日には、同じくスパイダーマンのクリエイターであるスタン・リーも亡くなりました。結果として、本作はスパイダーマンを生み出した2人の偉大なクリエイターに捧げられた作品になったのです。

2人がこの世にもういないことが寂しくて仕方がありませんが、これまで以上にスパイダーマンへの愛に溢れた、名実ともにスパイダーマン史上最高傑作が生まれたということ、この後も素晴らしいスパイダーマン映画が生まれていくであろうこと(『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』は2019年夏公開予定)が嬉しい限り。ぜひぜひ、『スパイダーマン: スパイダーバース』を劇場で観て、最高の映画体験をしてください!

(文:ヒナタカ)

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