俳優・映画人コラム

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2019年05月21日

“セカチュー”から15年!今が最強の長澤まさみ

“セカチュー”から15年!今が最強の長澤まさみ

今年2019年の上半期だけで3本の出演映画が公開される長澤まさみ。東野圭吾のベストセラーミステリーを豪華キャストで映画化した『マスカレード・ホテル』では木村拓哉とダブル主演で仕事に厳しいホテルのフロントクラークを演じています。


そしてGWを挟む形で公開される『キングダム』では山の民の美しき王・楊端和に扮し、主演した月9ドラマの劇場版でもある『コンフィデンスマンJP』では引き続き、欲望に暴走する詐欺師ダー子を演じています。



(C)2019「コンフィデンスマンJP」製作委員会


昨年も『嘘を愛する女』『50回目のファーストキス』『BLEACH』の3本の映画に加えて、舞台では劇団新感線の「メタルマクベス」、ドラマでは「コンフィデンスマンJP」に主演と今まさに、脂がのっている状態といっていいのではないでしょうか?

『世界の中心で、愛を叫ぶ』で大ブレイクも…。


長澤まさみは第5回(1999年度)東宝シンデレラオーディションでグランプリ(当時最年少の12歳・小学6年生)を受賞して芸能界入り。2000年の映画『クロスファイア』でデビューしました。

その出自らしく同じオーディションで審査員特別賞に選ばれた大塚ちひろと共に『ゴジラ☓モスラ☓メカゴジラ 東京SOS』と『ゴジラFINAL WARS』でモスラを守護神として崇める妖精“コスモス”を演じたりもしています。

そして、一大転機となったのが2004年公開の『世界の中心で、愛を叫ぶ』です。

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森山未來、大沢たかお、柴咲コウといった人気俳優に囲まれながら、白血病に倒れるヒロインを熱演。副作用で髪の毛を失う展開に合わせて、実際に髪を剃ったことは大きな話題になりました。

『世界の中心で、愛を叫ぶ』は“セカチュー”という愛称と共にこの年の実写邦画の1位の大ヒットを記録、社会現象となります。

原作は300万部を突破し、平井堅の歌う主題歌「瞳をとじて」もミリオンセラーを記録します。のちにドラマ版も製作されました(この時のヒロインはその後『海街diary』で姉妹役を演じることになる綾瀬はるか)。

本作で大ブレイクした長澤まさみのもとには“セカチュー”のイメージを踏襲したような正統派企画が次々と舞い込み結果として、彼女は『タッチ』で浅倉南を『ラフ ROUGH』で二ノ宮亜美、そしてテレビドラマ「セーラー服と機関銃」で星泉(役名でCDデビューも…)という、すでに強烈なパブリックイメージのある役を演じていきます。

“セカチューでブレイクした若手女優長澤まさみ”を正統派として売り出すには悪くないチョイスです。

ただ“正統派売り”のためのキャスティングのはずが、いつの間にか、“正統派な役どころ”ができたので“長澤まさみに回すという風に思考の順番が逆転してしまう現象が起こり始めました。

妻夫木聡と兄妹役を演じた『涙そうそう』や黒澤明監督の名作をリメイクした『隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS』はまさにその流れの順番が入れかわってしまった例だと思われます。

むしろ、“セカチュー”の陰に隠れがちですが、その前後の『ロボコン』(その後共演が続く小栗旬との初共演作品)や香里奈や大森南朋などと共演した『深呼吸の必要』などのような濃淡のあるキャラクターの方が活き活きとして見える気がします。

その後も共演が続くことになる山田孝之と初共演の『そのときは彼によろしく』などは役柄に濃淡をつけることを試みた作品といっていいかもしれませんが、残念ながら原作の設定から大きく年齢を下げたことで物語に無理をきたして、映画自体をいびつなものにしてしまい、メインキャストの変に無理をした背伸びだけが目につきました。

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