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息をするのも忘れて見入る『新聞記者』。シム・ウンギョンと松坂桃李の表情と表現力が実に見事!

■橋本淳の「おこがまシネマ」

誰よりも自分を信じろ!

そして、誰よりも自分を疑え!

どうも、橋本淳です。

37回目の更新、今回もよろしくお願い致します。

役者という仕事をやっていると、とことん自分との戦いだなと感じることがあります。もちろん相手役や演出家、沢山の人々が関わって一つの作品を作るのですが、自分の役を捉えて向き合い掘り下げていく土台作りは、自分だけの作業。そこから現場では、相手役との呼吸や、様々な外的な影響で如何様にも変化していく。

役の土台作りをしている時は、本当に孤独な戦いだなと感じます。正解はなくゴールもなければ間違いもない。この視界が霧で囲まれている状態が楽しくもあり怖くもあるのですが、、、ですので、どこまでやるかは自分次第で、甘やかすことも厳しくすることも出来るわけです。人間というものは、誘惑には弱いところがあり、気を許すとすぐに楽をしようとする。「ここまででいいかな」と歩みを止めようとする。これとの戦いが一番大事なような気がするのです。

ジャッジメントは自分、肯定も否定もする。そのさじ加減は一生掴めないのだろうなと日々感じ、それを追求・探求することが楽しくて、辞められない原因なのかもとも感じます。

この映画を観ていたら、
ある方も発していた言葉が出てきて、
身も、気も、引き締まりました。

『誰よりも自分を信じろ!
そして、誰よりも自分を疑え!』

仕事というより、きっと生きる上で大事なことなのでしょうね。

そんなところで、今回はこの作品をご紹介。

『新聞記者』





文科省元トップによる女性スキャンダルが発覚する。マスコミはこぞって疑惑を報道していく。その社会的信用を失墜させるその情報がはたして真実なのか、裏取りも検証もろくにされない。東都新聞社会部の記者 吉岡エリカ(シム・ウンジョン)はそんな状況に危機感を抱きつつ、ニュースを追いかけている。日本人の父、韓国人の母、アメリカ育ちの彼女は、記者クラブ内の忖度や同調圧力にも屈しない。

ある夜、東都新聞社に"医療系大学の新設"に関する極秘文書が匿名ファックスで届く。認可先は文科省ではなく、内閣府だった。そのファックスの1枚目の表紙には、眼が真っ黒に塗りつぶされた羊のイラストが描かれていた。それは内部からのリークか、それとも誤報を誘発させる罠か、上司の陣野(北村有起哉)から書類を託され吉岡は真相を追い求め取材を始める。

内閣情報調査室、通称・内調で働く杉原拓海(松坂桃李)は外務省から内閣府に出向したエリート官僚。杉原は内調での仕事に葛藤していた。彼に与えられていた仕事は、現政権を維持するための世論コントロールだった。公安と連携し文科省元トップのスキャンダルを作り、情報を拡散させたのも、実は内調だったのだ。上司の多田(田中哲司)は官邸に不都合な事実をもみ消すためなら民間人を陥れることも厭わない。杉原にはもうすぐ子供が生まれる、強い疑問を抱きながらも上からの指示を粛々とこなす。

吉岡は、許認可先の内閣府を洗い始めていると、神崎(高橋和也)という人物が浮かびあがる。接触しようとした矢先、神崎は投身自殺をしてしまう。

外務省時代の尊敬する上司 神崎の死を知った杉原。さらに杉原は官邸の驚愕の計画を知ることに。
様々な圧力がかかる中、取材をしていく吉岡と、妻子を抱えながら自分の中の矜持で、葛藤していく杉原、、二人の取る選択は、、、




最近の邦画で、ここまで見入る映画はなかなかありませんでした。よく「まばたきを忘れるほど、、」とか「息をするのも忘れて、、」などの謳い文句的な感想は目にしたことはありますが、まさかこれを自分が実感してしまうとは。。といった感じでした。

緊張感の保たれたシーンの連続。各人物のやり取り、呼吸、間合い。2時間弱という時間、見事にのめり込んでしまいました。そして、ラストに向かうW主演のシム・ウンギョンと松坂桃李の表情と表現力、実に見事でした。

本作を監督したのは、藤井道人。

14年に『オー!ファーザー』で長編デビューを果たし、『幻肢』にて第9回アジア青少年映画祭最優秀脚本賞を受賞。そして『7s』『光と血』『悪魔』『青の帰り道』などの作品を手がけ、山田孝之がプロデュースし、話題となった映画『デイアンドナイト』の監督も務めた。

是非映画館で観ていただきたい作品でありました。あのヒリヒリした感覚、時間は体験するものだと確信します。

政治的な批判や現政権への思いなどに目が行きがちですが、きっちり練り上げられ、各セクションのエネルギーや勢いがこれでもかと詰まったフィクション映画。とても完成度の高い、政治サスペンス。

政治に無関心な若者や、日常に刺激が少ない人々、色んな方に見て欲しい。この映画を観て、そして大きな議論が生まれればいい。それが映画という"自由な表現の場"として、正しい位置なのではないかなと思います。

鑑賞後あまりに良くて、思わず周りの人たちにメールして勧めてしまったほどでした。。

では、今回も、
おこがましくも紹介させていただきました。

(文:橋本淳)

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