映画コラム

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2016年01月28日

『道頓堀よ、泣かせてくれ! DOCUMENTARY of NMB48』、アイドルになったとしても「勝った」とは限らない

『道頓堀よ、泣かせてくれ! DOCUMENTARY of NMB48』、アイドルになったとしても「勝った」とは限らない

シネマズ編集長の柳下修平です。「編集長の新作映画レビュー」、今回は第6弾。アイドルグループNMB48のドキュメンタリー映画、 『道頓堀よ、泣かせてくれ! DOCUMENTARY of NMB48』をご紹介します。

 

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(C)2016「DOCUMENTARY of NMB48」製作委員会



NMB48とは?から描く万人向け映画


秋元康がプロデュースするアイドルグループAKB48から始まった「DOCUMENTARY of」シリーズ。昨年はSKE48と乃木坂46が映画化。1月29日からは今回ご紹介するNMB48以外に、HKT48のドキュメンタリー映画も公開されます。

アイドルグループの映画やアーティストの映画となると、そのファンが中心に楽しむものと思っている方も多いはず。しかしそれは非常に勿体無い誤解です。本作以外の「DOCUMENTARY of」シリーズもそうでしたが、ファンでない方こそ非常に見応えある作品です。

「DOCUMENTARY of」シリーズは名前の通りドキュメンタリー映画。アイドルたちの可愛い面だったり、魅力的な楽曲やダンスを見せる要素はありません。むしろ描かれるのはその真逆で、「ここまでしてるのか」と思い、「ここまで見せるのか」と胸が痛くなることもあるほどです。

今回の『道頓堀よ、泣かせてくれ! DOCUMENTARY of NMB48』もその方向性は踏襲。しかし作品のテイスト自体はまた新たな「DOCUMENTARY of」となっていました。

もし、みなさんが、「映画気になるけど、NMB48って名前しか知らなくて…」であってもこの映画は混乱しません。どうやってグループができ、どうやって活動し、どこへ向かっているのかをしっかりと描いていきますので。

アイドルになったとしても「勝った」とは限らない


乃木坂46のドキュメンタリー映画、『悲しみの忘れた方 DOCUMENTARY of 乃木坂46』について友人と議論したことがあります。

私はその映画で、傷つきながらも前を向いて進むメンバーたちに涙しましたが、友人は泣かないどころか冷めた目で見たと言いました。理由を伺うとそれは納得出来るものでした。

「そもそも、アイドルに合格してる時点で勝ち組だし、その上で苦労しようがどうでもいい。冷めた目でしか見れない。」

私は、「そういう見方もあるし、その面では確かに勝ち組かも。」と意見の多様性を認め、それはそれで納得しました。

しかし、その先で『道頓堀よ、泣かせてくれ! DOCUMENTARY of NMB48』を見て、そこに「勝ち」は無いと痛感しました。

シングル(選抜メンバー)に選ばれないメンバーは優劣に置いて、必然的に劣とされます。これは明確に勝ちではありません。

しかし人気上位のメンバーたちはメンバーたちで悩みを多く抱えていました。エースの山本彩然り、渡辺美優紀然りです。

そんな中でも印象的だったのが矢倉楓子。矢倉楓子はNMB48ではセンターも経験したことのある上位メンバーの1人です。しかしそんなメンバーであっても「これからどうするべきか」「何をしたら良いのか」に悩み、涙するのです。

人生は壁を乗り越えても、また別の壁が出来るもの。「勝ったら終わり」では無いのです。

アイドルになったとしても「勝った」とは限らない

この映画を見て改めてそう思いました。非常に胸が締め付けられる映画でもありました。

しかし、それでも挑戦し続ける彼女たちを応援したくなる気持ちも強くなります。そして何よりも、映画を見終えた後の自分自身の人生をもっとチャレンジングに頑張ろうと言うカンフル剤になる映画でもありました。これ程に価値を感じる映画も、そうはありません。

編集長個人の感想ブログはこちらにも。合わせてお楽しみください。

『道頓堀よ、泣かせてくれ! DOCUMENTARY of NMB48』は1月29日より全国公開です。

(文:柳下修平)

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