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2020-02-24

コラム

『チャーリーズ・エンジェル』現代版にアップデートした「3つ」の見どころ!




2000年と2003年に劇場版が制作された、70~80年代の人気海外ドラマシリーズ『地上最強の美女たち! チャーリーズ・エンジェル』。

今回キャストを一新し、女性監督を迎えた新作映画『チャーリーズ・エンジェル』が、2月21日から日本でも公開された。

旧劇場版の派手なアクションやパロディが印象に残っているだけに、今回の新作ではキャスト陣の大幅な若返りに加えて、エンジェルたちをどのようにして現代に蘇らせるのか? 個人的にも大いに興味のあった本作。

果たしてその内容と出来は、いったいどのようなものだったのか?

ストーリー


国際機密企業チャーリー・タウンゼント社で特殊訓練を受けたエリート女性エージェント組織、通称"チャーリーズ・エンジェル"。ある日、天才プログラマーのエレーナ(ナオミ・スコット)は、自身が開発した新エネルギー源"カリスト"を、会社が兵器として軍事利用しようとしていることに気づき、エンジェルたちに調査を依頼するが、それがきっかけでエレーナは命を狙われることに。司令官のボスレー(エリザベス・バンクス)は、変装と潜入を得意とするサビーナ(クリステン・スチュワート)、元MI6で銃器のエキスパートのジェーン(エラ・バリンスカ)と共に、エレーナを護衛しながら調査を開始するのだが…。


予告編




見どころ1:OPタイトルに込められたメッセージに注目!



往年の人気シリーズを現代向けにリブートするにあたって、本作の監督・脚本を務めたエリザベス・バンクスは、より現実に根ざした内容を目指したという。

過去作の基本的な設定を踏襲しながらも、監督の狙いどおり現代的な要素を盛り込むことに成功している、今回の『チャーリーズ・エンジェル』だが、中でも本作のテーマが一番強く描かれているのは、やはりOPタイトルに登場する、人種も年齢も違う女の子たちが、様々なスポーツやアクティビティに挑戦する姿だろう。

なぜなら、ここに描かれているのは、男女の性差によって将来が左右されることなく、誰もが"なりたい自分"になれる理想の社会であり、同時に女性たちが持つ無限の可能性や能力だからだ。

そう、まさに本作のタイトル部分こそは、様々な抑圧や偏見から解放された女性たちのエネルギーが集約された名シーンであり、これから始まる『チャーリーズ・エンジェル』は、女性に対する新しい価値観や自由な発想によって作られている、そんな力強い宣言に他ならないのだ。

この素晴らしいOPタイトルに続き、新生エンジェルたちの活躍が存分に楽しめる作品なので、全力でオススメします!

見どころ2:現代を反映した新生エンジェルたち!



2000年代に制作された劇場版は、テレビシリーズを踏襲したキャラクターたちが、ワイヤーアクションや派手な爆破と共に大活躍する、パロディやコメディ要素満載の内容だったが、前述した監督の狙いどおり、今回の劇場版では現実に根ざした内容となっている。




例えば、男性と互角に渡り合うエンジェルたちの見事な闘いっぷりや、逆にコメディ的役割が主に男性キャラクターの側に割り振られている点などは、まさに現代の社会情勢を反映した趣向と言えるだろう。

加えて、エンジェルたちの拠点に、様々なサポート(料理やファッション選びにマッサージまで!)をしてくれる男性スタッフが常駐していたり、エンジェルの証として通信装置代わりのタトゥーを入れるという点も、女性の社会進出や、過去の常識に縛られない自由な選択を表現していて、実に見事!

中でも一番感心したのが、映画の冒頭に登場するサビーナのアクションシーンにおいて、なぜ女性が男性に格闘で勝てるのか? その根拠が彼女の口からセリフで説明される点だった。

このシーンで語られる根拠は、確かに観客に「なるほど」と思わせるのだが、この説明があるのと無いのとでは、後半の激しい肉弾アクションへの説得力が大きく違ってくるだけに、こうした屈強な男たちと互角に闘う女性像が不自然に見えない工夫には、やはり女性監督ならではのこだわりを感じた次第。




更に、個人の特技や活躍で事件解決に向かうのではなく、3人がお互いに協力することで、より大きな力を発揮する本作の展開は、ネットでの書き込みや呼びかけが大きな力となって世の中を動かす、近年の社会状況を思い起こさせるものとなっているのだ。

単に男性に負けない強い女性が活躍するだけではなく、優れた能力を持つ女性たちの横の繋がりや団結力が、男性社会を覆す大きなムーブメントとなる! そんなテーマを踏まえて本作を観れば、ラストの展開にもきっと納得して頂けるのではないだろうか。

男性優位の社会や企業において、女性たち一人一人の行動が結びついて、はるかに大きな影響力へと成長することがビジュアルで示されるその名シーンは、ぜひ劇場で!

見どころ3:実は女性が輝ける理想的な職場の物語だった!



チャーリーと名乗る謎の存在によって運営される探偵社の調査員として、様々な事件を解決するエンジェルたち。

実は今回の劇場版では、この基本設定を更に一歩進めた現代風の設定が用意されており、テレビシリーズから劇場版に至る長い歴史を踏まえた、見事なアレンジとなっている。

例えば、テレビシリーズや旧劇場版では、チャーリーやボスレーの指令など、男性からの命令系統によってエンジェルたちは行動していたのだが、今回の劇場版ではそれを現代的に一歩進め、女性の自立・活躍と団結力を描く展開が用意されているのは見事!




加えて今回の事件の発端となる、エレーナの上司や経営者が私的な目的や欲のために会社を私物化する描写と並び、実はエンジェルたちが勤務するチャーリー・タウンゼント社にも、企業を私物化しようとした人物によって危機がもたらされるという展開は、まさに長期間、男性が権力を握ってきた社会の問題点を見事に表現するもの。

更に、有能な女性がその能力を正当に評価されず、男性上司の不当な扱いにより活躍の場を与えられない状況が、この2つの企業に存在することも、物語が進むに連れて次第に明らかになっていくのだ。

実は本作で描かれるのは、チャーリー・タウンゼント社がこうした問題点を解決して、理想の職場として生まれ変わるまでの物語に他ならない。

社内の問題が解決され、男性社会で不当な評価や扱いを受けていた、素晴らしい能力を秘めた女性たちにエンジェルとして活躍の場を与え、管理職としての昇進はもちろん、服や小物の支給どころかマッサージやメンタルケアのサービスまで整っている、このチャーリー・タウンゼント社こそ、まさに女性が輝ける理想の職場なのだ。




その行き届いた福利厚生に関しては、ぜひ劇場でご確認頂きたいのだが、エレーナがエンジェルとして採用されるための厳しい訓練や、死と隣り合わせの試験の様子がちゃんと描かれているなど、理想の職場の一員となるためのハードルが設定されている点も、現実的な内容を目指したエリザベス・バンクス監督のこだわりと言えるだろう。

なぜならこの描写のおかげで、次回作以降の彼女の活躍にも説得力が加わることになるからだ。

厳しい訓練を経て、晴れてエンジェルの一員となったエレーナたちの活躍に期待しながら、次回作の公開を待ちたいと思う。

最後に



有能で魅力的な女性=エンジェルたちが、危険な任務に立ち向かい見事に解決する! という本道は残しながら、彼女たちが直面する現実的な問題や、超えなければならない男性社会の高いハードルという、現代的な要素を盛り込むことに成功した、この『チャーリーズ・エンジェル』。




キャストの一新や設定の変更など、テレビシリーズや旧劇場版からの大幅なシフトチェンジを図った本作だが、サビーナ=サブリナのように、テレビシリーズのキャラクターを引き継いでいたり、ちゃんとテレビシリーズと旧劇場版の歴史を踏まえた描写が用意されているなど、昔からのファンへの配慮や過去作への敬意を忘れていない点は見事!

更に、テレビシリーズの明るい面を引き継いだ旧劇場版に対し、今回のリブート版では監督の狙い通りの地に足の着いた現実的なアクションが全編に展開する点も、本作の大きな魅力となっているのだ。




ただ残念ながら、女性キャラクターたちの有能さに比べて、出てくる男性キャラクターが、皆どこか抜けているユーモラスな存在だったり、ストーリーの展開上、都合のいい存在として描かれている点には、鑑賞中かなりの違和感を覚えたのも事実。

特に、エレーナの同僚の男性社員がなぜか誘拐されて、最終決戦の場にまで連れて来られている! という展開には、その後に続くラブコメ展開への必要性としか感じられなかった次第。

加えて、せっかく旧劇場版の無口な殺し屋を連想させるキャラクターを用意しているのに、これが期待したほど活躍しないなど、せっかく男性の悪役と互角に闘えるエンジェルたちが登場するのだから、ここはそれを上回るような危険な悪役や凶暴な敵キャラが必要だったのでは? そう思わずにはいられなかった。

とはいえ、シリーズ再始動の1作目としての役割を見事に果たし、今後の展開に期待を持たせる作品に仕上がっている本作。

しかも今後メンバーが変更になったり、チームの人数が増えても大丈夫な設定が用意されている点は、やはり『ワイルド・スピード』のような長期シリーズ化への布石と見ることができるだろう。

ちなみに、エンドクレジットに用意されたある人物のカメオ出演は、テレビシリーズからのファンにとっては最高のプレゼントなので、ぜひ最後まで席を立たずに鑑賞することをオススメする。

テレビシリーズの劇場版や、女性チームが主役のアクション映画という面だけでなく、その裏に隠された現代に生きる女性たちへのメッセージが素晴らしい、この『チャーリーズ・エンジェル』。

その力強いメッセージを、ぜひ劇場で感じていただければと思う。

(文:滝口アキラ)