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『デッド・ドント・ダイ』レビュー:おとぼけだけど意外に怖いゾンビ・コメディ!



ゾンビ映画に新風を吹かせる
幻惑的イマジネーション


こうして筋だけ書くと、どこにでもありがちなゾンビ・コメディのように勘違いされがちですが、本作の面白さはストーリーそのものよりもむしろゾンビをめぐるさまざまな設定のユニークさにあると言ってもいいでしょう。

最初にダイナーを襲ったゾンビ・カップル(イギー・ポップ&サラ・ドライヴァー)は生前コーヒーが好きだったという設定です。

つまり本作のゾンビたちは生きていたときの趣味やら嗜好、習性などを赤裸々に体現しながら蠢きまわっていくのでした。

ギター・ゾンビにサッカー・ゾンビ、Wifiゾンビ、ブルートゥース・ゾンビ……などなど、ちょっとオシャレなもの方なんじゃそれ?と突っ込みたくなるものまで、実にバラエティ豊かなゾンビたちが田舎町を徘徊していきます。

そこに3人の警察官はどう対処していくのか? が本作のメインストリートになっていきます。

と同時に、ひとり、何とも不可思議なキャラクターが登場します。

それは葬儀場のミステリアスな女主人ゼルダ(ティルダ・スウィントン)で、どうやら剣の達人でもあった彼女は、道着姿で日本刀を手にゾンビたちをバッサバッサと切り崩していくさまが圧巻! なのですが、実はこれ以上書くと大きなネタバレになってしまうのでやめとかないといけないものすごいものが……。

名優であり怪優でもあるティルダ・スウィントンですが、彼女はジム・ジャームッシュ監督の吸血鬼映画『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』(13)出演中、彼に次はゾンビ映画を撮ったら? と提言したのことで、まさに本作の仕掛人でもあったのでした!

そもそもオフビートのオシャレでユーモラスな映画作りに長けるジム・ジャームッシュ監督ですが、その『オンリー・ラヴァーズ~』で彼が意外やホラー好きだったことに驚かれたファンも多かったと思われますが、今回はさらに磨きをかけて、世界の終焉を目前に控えたかのようなゾンビ映画に新風を巻き起こしています。

それと同時に、出だしこそコミカルな要素が強く、そこに時折ゾンビ・ショック描写が入るといったテイストだったのが、次第に笑いと恐怖が同居し始めていき、見ている側は笑っていいのか恐れていいのかわからなくなるという、実に幻惑的な想いに囚われていきます。

その意味でも本作はまさにジャームッシュ監督ならではの他の追従を許さない独自の、そして結構正統派なゾンビ映画として屹立しています。

ちょっとマニアックなキャスティングや音楽の使い方なども、いつもながらのジャームッシュ作品。

笑って、怖がって、その豊かなイマジネーションをとくとご堪能ください!

(文:増當竜也)
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