映画コラム

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2020年08月14日

『弱虫ペダル』、永瀬廉&伊藤健太郎が放つ大いなる魅力

『弱虫ペダル』、永瀬廉&伊藤健太郎が放つ大いなる魅力



(C)2020映画「弱虫ペダル」製作委員会 (C)渡辺航(秋田書店)2008 



渡辺航の累計2500万部突破のベストセラーコミックが遂に実写映画化されます。

今までもアニメやドラマ、2.5次元ステージなどなど幅広いメディアで展開されてきた「弱虫ペダル」が待望の実写映画化です。

主役の小野田坂道には主題歌も担当しているKing&Princeの永瀬廉。共演に『今日から俺は‼劇場版』も大ヒット中の伊藤健太郎と橋本環奈、これに竜星涼や柳俊太郎、菅原健などなど話題作・ヒット作が続く面々が揃いました。

全員20歳以上、アラサー組もいますが、それぞれキャラクターが立っていることもあって、高校生にしっかり見えてくるから不思議ですね。

『弱虫ペダル』のストーリーは?


https://www.youtube.com/watch?time_continue=1&v=xZ1AEanexp0&feature=emb_title

地元・千葉から秋葉原に電車賃を節約するためにママチャリで通う、運動が苦手で友達がいないアニメ好きの千葉県立総北高校生・小野田坂道。

高校では、念願のアニメ研究部に入ろうとしていましたが、部員数減少のため、休部を知りショックを受けます。 そんな時、坂道の自転車の走りを見た同級生の今泉俊輔から自転車レースの勝負を申し込まれます。

初めて感じた自転車で走る楽しさ、充実感を味わった坂道は、秋葉原で出会った同級生・鳴子章吉に誘われて自転車競技部に入部することになります。
坂道はマネージャーの寒咲幹や部長の金城真護、巻島裕介、田所迅ら尊敬できる先輩たちとの出会いによって、 自転車選手としての思わぬ才能を発揮すること・・・。

そして、男子インターハイ予選・千葉県大会に出場するチーム総北のレギュラーメンバーに選ばれた坂道は、自分の限界や壁を越え、 初めてできた「仲間」とともに、レースで走る喜びを見出していきます。

青春時代を大肯定!!




(C)2020映画「弱虫ペダル」製作委員会 (C)渡辺航(秋田書店)2008 




映画『弱虫ペダル』は恥ずかしくなるくらい、青春時代と人の秘めたる可能性を全力で大肯定してみせている映画です。

青春時代を描くときは恋愛系・キラキラ系も含めて、たいていの場合、青春のほろ苦さや、挫折のようなものを描いてみせるものですが、この映画は逆に(?)青春時代の爽やかさを大肯定してみせます。

映画『弱虫ペダル』は、友達が一人もいなかった小野田坂道が自転車競技と出会い、友達を見つけ、役割を得ていく様を、そして、そのことで坂道が大きな喜びと希望を感じる姿を、時には見ているこちらが少し照れ臭くなるほど正面から直球どストレートに描いています。

この映画のスタイルは途中で変にすかされたりもせず、最後の最後まで貫き通されているので、見終わるころにはいっそ清々しく、なんとも言えない気持ちの良さが残ります。

映画全てを乗せた圧巻のロードレースシーン


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過去にも独特な競技に励む学生の姿を描いたものはありました。男子シンクロナイズドスイミングを描いた妻夫木聡の出世作『ウォータボーイズ』や競技かるたに挑む高校生の姿を3部作で描いた広瀬すず主演の『ちはやふる』などがありました。

この競技の部分はもちろん映画用の演技の延長にあるものですが、ここにすごしでも“嘘”が感じられてしまうと途端に見ている側は醒めるものです。
そんな『弱虫ペダル』のロードレースシーンは見応えに溢れ、迫力のある本物を見ることができます。

また、演者たちが口をそろえて(肉体の)限界を超えたという特訓の成果である、自転車シーンは映画の大半を占め、登場人物たちの思いや感情を表現する場にもなっています。

スポーツ青春モノは大きな大会や、強大なライバルのような目標に向かっていくスタイルのもの主流ですが、こういった作品は“それまでの過程”を重視していたように思います。

それに対して『弱虫ペダル』は物語も登場人物の思いも全て競技の中に乗せてきています。

ペダルを漕ぐことと喜びや希望を感じることを同時に描くことで、彼らの中でどれだけ自転車競技が大きなものになっているかが自然と伝わってきます。

“漫画的”をこなした永瀬廉、受けの達人伊藤健太郎


主人公の小野田坂道は、いかにも漫画的なキャラクターです。

電車賃を浮かせるために、毎週アキバにママチャリで往復(なんと90キロ以上!)していくうちに自然と自転車競技の適正と能力を身に着けた…。

いかにも漫画的です。こういう設定で、かつ主役ある場合にはやはりジャニーズ・アイドルは欠かせません。

その存在については賛否が分かれるところでしょうが、現実とファンタジーの橋渡しをするキャラクターには“アイドル”という職種の人間が最適でしょう。

この永瀬廉演じる坂道に触発され、先頭を走ること、勝利することへの強い思いを抱くようになる“もう一人の主人公”今泉俊輔を演じるのは伊藤健太郎。



(C)2020映画「弱虫ペダル」製作委員会 (C)渡辺航(秋田書店)2008 




『今日から俺は‼劇場版』『のぼる小寺さん』『宇宙でいちばんあかるい屋根』などなど、今年も多くの映画に出演している若き技巧派は、今回は自転車競技部の濃いキャラクターを“受ける側”に回って、ポイントポイントで映画をしっかりと絞めてくれます。

監督の三木康一郎とはリメイク版の『東京ラブストーリー』で組んだことで、信頼関係もあったのでしょう、伊藤健太郎一人に“受けて役”を任せた形になっています。

冷静な大人から見てしまえば、それに何の意味があるのか分からないことに夢中になる“青春時代”。映画『弱虫ペダル』はそれを正面から描いて、潔いほど全面的に大肯定しています。

少し気が早いのですが、早くも全国大会を描くであろう続編が見たくなっております。

(文:村松健太郎)

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