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2020-11-26

邦画実写

『アンダードッグ』レビュー:誰も負けてほしくない!夢追い人と夢老い人のボクシング映画



ボクシング映画と聞くと人のよって様々思い浮かべる映画は異なることでしょう。

『ロッキー』『レイジング・ブル』『ミリオンダラー・ベイビー』『クリード チャンプを継ぐ男』など枚挙に暇がありません。

「日本のボクシング映画は?」と問われると、安藤サクラ主演『百円の恋』を思い浮かべる人もいるのではないでしょうか。

今回紹介する『アンダードッグ』は、まさにその『百円の恋』を手掛けた名コンビ武正晴監督と脚本家の足立紳さんによるボクシング映画です。



しかも、この映画は前後編合わせて276分という大ボリューム!そういえば最近似た構成のボクシング映画があったような……と余計な事を思いつつ、『アンダードッグ』は全8話の「配信版」ドラマもABEMAプレミアムで配信されるというオプション付き!

監督は「映画版」と「配信版」の演出を現場で同時に進めたそうで、2020年に入ってすでに『嘘八百 京町ロワイヤル』『銃 2020』『ホテルローヤル』の映画3作が公開されている事を考えると、もはや武正晴監督は2人存在するのではないかと思ってしまうほどの多忙っぷりです。

今回はそんな『アンダードッグ』(前後編)がより楽しめるポイントを2つ挙げていきたいと思います。

ポイント1:夢追い人と夢老い人の物語



この映画の主人公・末永晃(森山未來)は、かつてチャンピオンの座を掴みかけたものの挫折し妻とは離婚。さらには、お酒とギャンブルに溺れる父(柄本明)の面倒を見ながらデリヘル嬢の運転手の仕事で生活費を稼ぐプロボクサーです。そしてこの映画のタイトル通り、晃は若い選手を引き立たせるためのかませ犬(アンダードッグ)でもあります。

そんな生活を送りながらもボクシングにしがみ続ける晃に対して専属のコーチからでさえ「もう1度輝きたいなんて思ってねぇだろうな?」と、ボクシングを辞めるよう促されてしまいます。そんな晃の前に若き天才ボクサー大村龍太(北村匠海)が現れ物語は動いていきます。



夢を追いかけるキラキラした若者に対して周囲はあたたかいエールを送るものです。しかし、夢を追ったまま老いてしまった【夢追い人】ならぬ【夢老い人】に対して周囲の目が冷たくなるのは世の常です。

本作は【夢追い人】と【夢老い人】の物語を描いた映画なのです。

夢に向かい何度も倒れ、老いていく主人公の人生に意味はあったのか。その答えが明らかになった時、誰もが奮い立ち、たとえ負けるとしても戦うべき試合があることを強烈に感じるのです。

ポイント2:誰も負けてほしくない!
全員を応援してしまう意地悪な構成!



「そんな力説されたって上映時間が長いからちょっと…」と思ったあなた。

この長尺にはしっかりと意味があります。276分、つまり4時間36分もの時間をかけて物語を描くことで登場するメインの3人のボクサーへ完全に感情移入してしまうのです。


もう一度輝いて息子にカッコ良い背中を見せたい森山未來演じる落ちぶれ夢老いボクサー 末永晃



父親が有名芸能人だったために「つまらない2世タレント」と揶揄される勝地涼演じる芸人ボクサー宮木瞬



過去に闇と罪悪感を抱えながら、新しい人生を歩みだそうとする北村匠海演じる悲劇の天才ボクサー・大村龍太



劇中でそれぞれのバックボーンがじっくり丁寧に描かれることで、全く違った立場の3人を応援したくなります。

そんな3人がそれぞれが拳を交えることになります。

 
すると、何が起こるのか?


「全員勝って!」という矛盾した気持ちが生まれてしまうのです。しかし、泣いても笑ってもこれはボクシングですから結果が出ます。勝者と敗者が生まれます。

前編も後編もそんな矛盾した応援試合がクライマックスでやってくるのです…。

じ〜っくり時間をかけてからやってくる手に汗握るクライマックス!あなたならこの結果と彼らの人生をどう受け止めますか?

皆さん、ご覚悟を!

(文:映画チンピラ・ジャガモンド斉藤)

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(C)2020「アンダードッグ」製作委員会