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2020-11-28

邦画実写

吉沢亮、"容姿だけじゃない"魅力、映画『さくら』で感じたコト

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(C)西加奈子/小学館 (C)2020 「さくら」製作委員会


(C)吉住渉/集英社 (C)2018 映画「ママレード・ボーイ」製作委員会 

吉沢亮といえば二次元実写、二次元実写といえば吉沢亮。

あらためて語るまでもなく、吉沢亮の美しさは周知のことでしょう。『斉木楠雄のΨ難』や『ママレード・ボーイ』『キングダム』など、さまざまなマンガ原作の実写映画に出演している事実からも、二次元を三次元足らしめるのに耐えうるポテンシャルのある俳優です。

そんな彼が出演した映画『さくら』(2020年11月13日公開)において、ある激震が走りました。どこに?私のなかにです。

二次元実写化=吉沢亮から脱却した『さくら』

西加奈子による小説「さくら」を原作に制作、公開された映画。幼少期から容姿端麗で人気者の長男・一(はじめ)、ストーリーテラーである次男・薫、ワガママで自由奔放な長女・美貴の3人兄妹が主人公。飼い犬・サクラを中心に家族が離れたりまとまったりする様を描く、心の芯にグッと触れつつも爽やかな後味を残す作品です。



吉沢亮が演じるのは、人気者の長男・一。これまで通りその容姿を生かし、順調に人生をこなす様子を上手く表現しています。

弟の薫とともに、新しく生まれる妹・美貴へ贈る花を探すため遠くの公園へ冒険に出るエピソード(幼少期を演じたのは子役)。美貴に「お兄ちゃんと一緒に寝たい~!」と駄々をこねられ弱る姿。はじめての彼女ができて浮かれる様子……。

まさに人生イージーモードで生まれてきた一、吉沢亮のルックスがよりその順風満帆さを加速させるかのようです。

急転直下、その人生に暗黙垂れ込めるきっかけとなったのが、とある事故。半身不随となってしまい、その美しい顔にもおどろおどろしい爛れた痣が残ってしまいました。明るい家族、とくに一際ハツラツな美貴のおかげでポップな印象に留まりますが、文字に起こしてみるとなかなかハードな事件です。ゲームの設定をいきなりイージーからハードに変更させられたかのよう。



吉沢亮といえば、先述した『斉木楠雄のΨ難』や『ママレード・ボーイ』キングダム』以外にも、『銀魂』シリーズや『オオカミ少女と黒王子』など数々のマンガ原作作品でイケメン役を演じています。

もちろん演技力あってこそですが、そのルックスにたくさんのファンがいるのも事実。二次元を三次元にしても耐えうる俳優としても知名度のある吉沢亮にとって、あからさまに「容姿を崩す」役は初めてに近いのではないでしょうか。

交通事故を境に人生が180度様変わりする、長谷川家の長男・一。これまでの「二次元実写といえば吉沢亮」から脱却すべく新たな役どころに挑戦した吉沢亮。



現状を受け入れられない絶望と、自分の意思とは関係なく無情に過ぎていく日常……。双方に板挟みになりながら、ひとつの選択をするしかなかった一。その限られた選択肢を前にした懊悩を見事に演じきった吉沢亮の真骨頂が見られた『さくら』でした。

伏線だった「半沢直樹」『青くて痛くて脆い』

「二次元実写=吉沢亮」を脱却する伏線として、2020年の吉沢亮は密かに仕掛けていました。注目したのはドラマ「半沢直樹」スピンオフと映画『青くて痛くて脆い』です。これまでマンガ原作の実写化作品が多かった吉沢亮にとって、このふたつの作品はどちらも小説が原作。元のキャラクターにビジュアルイメージがないのが共通点でした。



「半沢直樹」は池井戸潤原作、堺雅人主演の日曜劇場ドラマ。銀行を舞台に繰り広げられる男同士の騙し合い&足の引っ張り合いのオンパレードに、ある種のお祭り感を味わった方も多いでしょう。

吉沢亮が出演したのは「半沢直樹」のスピンオフ作品である「半沢直樹II・エピソードゼロ〜狙われた半沢直樹のパスワード~」。ドラマオリジナルキャラクター、主人公である新人プログラマーの高坂圭を演じています。ルックスに焦点を当てた役柄ではなく、作内でも容姿に対して評価するコメントや態度は一切みられません。新人でありながらセンスと凄腕を披露、窮地を脱するキーパーソンではあるが、決して「イケメン役」ではない。



住野よる原作の『青くて痛くて脆い』も同様、演じたのは主人公であるただの大学生・田端楓。容姿はもちろんのこと、突出した才能があるわけでもない、まさに平凡な大学生といった役どころ。むしろ勝手な嫉妬と思い違いによって友人・秋好寿乃(杉咲花)を貶める、人としてはあまりお近づきになりたくない性格の持ち主として描かれています。醜い感情を全面にさらけだす、まさに「カッコ悪くて、痛い」役……。吉沢亮が演じてきたなかでは稀有なキャラクターといえるでしょう。

二次元実写といえば、吉沢亮。私たちは、これまでそう思ってきました。しかし2020年の吉沢亮は、ひとつのジャンルから抜け出そうとあがいてきたんです。その痕跡が「半沢直樹」に始まり、『青くて痛くて脆い』そして『さくら』に残されています。



現実離れした浮世の存在から、より私たちに近しい存在になりつつあるのではないか……。私はそう思っています。

『AWAKE』「青天を衝け」途切れない待機作

2021年の吉沢亮はどんな表情を見せてくれるのか、いまから楽しみで仕方がありません。2020年は映画『AWAKE』で幕を閉じ、そしていよいよ来年2021年には大河ドラマ「青天を衝け」がスタート(大河ドラマは例年1月2週目から放送開始ですが、2021年は2月14日スタートなのでご注意を)。記念すべき大河ドラマ第60作の主役を演じます。



『AWAKE』では、AI研究会に所属しコンピュータ将棋のプログラミングに精を出す大学生・英一役。大河「青天を衝け」では日本資本主義の父・渋沢栄一役。どちらも例によってマンガ原作ではありません。よってビジュアルイメージもなく、「二次元実写=吉沢亮」の方程式からはズレた作品です。


 (c)NHK 「青天を衝け」より

2021年で27歳になる吉沢亮。マンガから飛び出てきたような容姿端麗なキャラクター像からは一歩も二歩も離れ、唯一無二の役者として独り立つタイミングなのかもしれません。2021年の活躍もともに応援しましょう。

 (文:北村有)

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