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2020-12-28

邦画実写

2020年、傑作日本映画20選!

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2020年は新型コロナウイルスの蔓延により、多数の海外の大作映画が公開延期となりました。日本はまだしも、海外では多くの映画館が閉鎖されたまま。冬になりさらに厳しくなっているという現状では、致し方がないでしょう。



しかし、いつまでも嘆いてばかりはいられません。この2020年は、コロナ禍においても絶賛の声が続々と届いた日本映画が公開されていたのですから。『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』が日本の興行収入記録の歴代1位という偉業を達成した今、アニメ作品以外にも、素晴らしい実写作品が続々と世に送り出されていたということも、ぜひ知ってほしいのです。

ここでは、2020年の実写の日本映画の中から、筆者の独断と偏見で厳選した20作品を紹介します。観逃していたという方は、この年末年始にぜひチェックしてみてください。

1:『サヨナラまでの30分』




1年前に死んだバンドのボーカルと、カセットテープを再生する30分だけ体を借りて入れ替わるという、『君の名は。』も思い起こさせるファンタジー設定の青春音楽映画です。開始5分から既にこだわり抜かれた映像表現、ラストに向けて周到に伏線が積み上げられる構成の上手さ、普遍的な「記憶」というテーマに向き合う物語、北村匠海と新田真剣佑それぞれの抜群の演技力と歌唱力など、あらゆる面で完成度の高い作品に仕上がっていました。

バンドをやったことがある、もしくは現在バンドをやっているという方であれば、劇中のメッセージはきっと宝物になるでしょう。絶賛の声が多かったにも関わらず、公開時にはあまりに話題にならなかった不遇の傑作でもあるので、幅広い方に観ていただきたいです。

2:『37セカンズ』



日米合作の作品であり、日本映画と呼ぶべきかは人によって異なるでしょう。しかし、本作の完成度と、あまりに尊いメッセージ性を思えば、選出せずにはいられません。車椅子生活をしているゴーストライターの女性漫画家が主人公で、演じているのは実際に脳性麻痺の社会福祉士の女性。PG12指定がされており性の話題に赤裸々なところもありますが、それこそが物語において重要でした。

なぜなら、その「性への目覚め」から意外な冒険に出発し、可能性と希望を見つけに行く物語へと転換していくのですから。そこには、障害を持つ方だけに限らない、全ての人に通ずる普遍的な「生きる」理由への問いかけがなされているのです。辛いことがあった時にきっと思い出す、一生大切にしたい映画です。現在は、Netflixで配信されています。

3:『初恋』



まずは、圧倒的なエンターテインメント性の高さを訴えなければならないでしょう。ラブストーリー、バイオレンス、ヤクザ映画、アクション、コメディ、あらゆるジャンルが渾然一体となり、終盤は興奮と感動のつるべうち!ありとあらゆる映画の面白さを直球でぶつけられたような、至福の時を過ごせました。「当たり外れが多い」と言われることも多い三池崇史監督作品ですが、本作はそのぶっちぎりの最高傑作であると断言します。

豪華キャストがみんな素晴らしく、過去最高にカッコいい窪田正孝に惚れ惚れできるのはもちろん、MVPはブチギレ演技をするベッキーでしょう。彼女はスタイルが良すぎたためにスタントが見つからず、自身で激しいアクションをやりきっていたりもするのです。終盤の“ある演出”のトンデモぶりはやや賛否両論を呼んでいましたが、個人的には痛快愉快だったので大肯定します。

4:『his』



男性同士のカップルが、幼い子どもの親権の獲得を目指し、周囲の人の理解も求めていくという物語です。「青年の成長物語」としても「子育て映画」としても「法廷モノ」としても完成度が高く、同性愛への偏見、世間との折り合い方もリアルかつ丁寧に描かれていました。主演の宮沢氷魚と藤原季節が演じる2人が「本当にこの世に存在しているようにしか思えない」ほどの存在感で、心から応援したくなる青年を好演していました。

物語において、「大切な誰かを傷つけてしまった痛み」が描かれていることも重要です。その痛みを抱えて、それでも幸せへの道を一歩一歩歩んでいく様は、確かな感動がありました。ちなみに、今泉力哉監督作品はこの『his』とわずか一週しか空いてないスパンで『mellow/メロウ』という映画も公開されており、こちらは田中圭演じる花屋さんに惚れ惚れでき、それでいてとぼけたギャグに大笑いできるという、やっぱり素敵な作品に仕上がっていました。

5:『前田建設ファンタジー営業部』



アニメ『マジンガーZ』の地下格納庫を現状の技術と材料で建設しよう(でも実際には作らない)!というプロジェクトを頑張る人たちの物語です。なんともムチャクチャなプロットに思えるところですが、これが実話を元にしているのですから驚きを隠せません。『アベンジャーズ』も意識したという、良い意味で無駄に壮大なオープニングから存分にワクワクできるでしょう。

大の大人が、「バカバカしいとも思えることに全力投球する」過程には、それだけで感動があります。例えば、『マジンガーZ』は昔のアニメということもあり、回によっては作画に矛盾が生じていたり、設定に“ゆるい”ところがあったりもするのですが、それらに対するチームメンバーは「この矛盾を解消してみせる!」「ファンが納得できるものを届ける!」と情熱を燃やし、工夫に工夫を凝らして実現しようとするのです。万人向けのエンタメ作品として、大いにオススメします。

6:『許された子どもたち』



中学1年生の少年が同級生へのいじめをエスカレートさせた結果、殺害してしまうことから始まる物語です。その時点で最悪なのですが、少年は一度は犯行を自供したものの、母親の説得のせいで否認に転じてしまい、無罪に相当する“不処分”が言い渡されてしまうのです。それからは最悪のさらなる最悪、文字通りの生き地獄が待ち受けていました。

この最悪のシチュエーション、キャッチコピーにある「あなたの子どもが人を殺したらどうしますか?」の問いかけがされる様は、全ての親にとっての最恐のホラー映画となるでしょう。PG12指定がされていますが、ぜひ劇中の少年たちと同じ中学生にも観てほしいです。いじめについて多角的かつ客観的に考えられるきっかけになり、「加害者側になるかもしれない可能性」を、きっと認識できるしょうから。『リリイ・シュシュのすべて』に匹敵、または超えた「暗黒思春期犯罪映画」の大傑作であると断言します。

7:『のぼる小寺さん』



ボルダリングに一直線な女の子の姿を見た周りの少年少女が、一歩ずつ何かへ進んでいく青春映画です。目玉の1つが、『聲の形』『若おかみは小学生!』などのアニメ映画も絶賛で迎えられている吉田玲子が脚本を担当していること。「がんばること」それ自体の素晴らしさを讃えた、その姿に影響されていく少年少女たちの群像劇として高い完成度を誇っていました。原作マンガからのエッセンスの抽出、エピソードの取捨選択など、実写映画化への工夫も文句のつけようがありません。

また、本作は「映画にした」意義がとても大きいと言えます。なぜなら映画は「見ることしかできない」媒体であり、そのこと劇中で「がんばっている女の子を見ることしかしていない」男の子の気持ちとシンクロするのです。工藤遥をはじめとした若手俳優それぞれが、いつまでも見続けたくなる魅力を放っていました。

8:『アルプススタンドのはしの方』



全国高等学校演劇大会で文部科学大臣賞を受賞した戯曲の映画化作品です。最大の特徴は、「野球が重要なモチーフなのに試合を一切映さない」ということ。描かれるのはスタンドの隅っこにいる少年少女たちで、ほとんどが会話劇。それほどまで描いていることがミニマムであるのにも関わらず、幾度となく涙が頬を伝ってきました。

なぜなら、会話の端端で彼ら彼女らの青春の「痛み」がこれでもかと感じられるから。「会話の全てが伏線」と言っても過言ではないほどに、脚本が練りに練られているのです。「しょうがない」と何かを諦めた人に向けてのエールにもなっているので、コロナ禍で多かれ少なかれ何かを我慢しているという方、特に劇中の登場人物と同じ年代の若者たちに観てほしいです。

9:『ソワレ』



「たまたま」出会った男女が、とある凄惨な事件をきっかけに駆け落ちをするという物語です。男性のほうが俳優では芽が出ずに、オレオレ詐欺という犯罪に加担してなんとか食い扶持をつないでいるという「正しくなさ」を抱えていることも、物語では重要になっていきます。

タイトルの「ソワレ」とは「夜公演」「陽が暮れた後の時間」という意味であり、その意味がわかる瞬間と、とある秘密が明かされていくクライマックスからラストにかけての感動は、もう言葉にできないほど。村上虹郎と芋生悠が一世一代の名演をみせています。画作りもこだわり抜かれており、濃密な「駆け落ちをする2人だけの世界」の儚さを堪能できました。

10:『君が世界のはじまり』



閉塞的な大阪の町で死んでいるように生きている、高校生たちの姿を描いた群像劇です。痛々しい青春に真正面からぶつかっていく様は辛く苦しいものにも見えますが、終盤のショッピングモールを舞台にしたシークエンスは爽快でした。若手演技派女優の地位を確立している松本穂香の「気怠さ」を含めた存在感も格別です。PG12指定相当の性の話題もありますが、それも作品に重要でした。

ふくだももこ監督が書いた2つの小説を脚本家の向井康介がひとつの物語に再編しており、オープニングで提示された殺人事件がどのような意味を持つか、バラバラに見えた物語がどのように交錯していくか、ということにも、ミステリーのような面白さがあります。こちらも、劇中の登場人物と同じ年代の若者たちにこそ観てほしいです。

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