『ファーストラヴ』で直木賞、繊細な心理描写で人々を魅了する島本理生の映像化作品
「動機はそちらで見つけてください」
――アナウンサー志望の女子大生が父親を刺殺するという衝撃的な導入で始まる島本理生の小説『ファーストラヴ』。
予測不能な結末と、タイトルの裏に隠された濃密なヒューマンドラマは2018年に発表されるや多くの反響を呼び、第159回直木賞を受賞、累計発行部数30万部を超えるベストセラーにとなる。映像化され話題となった直木賞受賞作、恩田陸『蜜蜂と遠雷』や東野圭吾『容疑者Xの献身』などに続き、‟稀代の問題作“とも称された傑作サスペンス・ミステリーが日本映画界を代表するキャスト・スタッフで完全映画化。2021年2月11日(木・祝)に全国公開となる。
主演を務めるのは、人を惹きつける芝居と端麗な容姿で幅広い層から絶大な支持を誇り、映画『スマホを落としただけなのに』の大ヒットも記憶に新しい北川景子。女子大生による動機なき殺人事件の真相に迫る、主人公の公認心理師・真壁由紀(まかべ ゆき)を演じる。
原作のキャラクター設定に合わせ自らの発案で大胆にも髪の毛を 30cm 以上カットしたことでも話題になった。
さらに由紀の義理の弟で、由紀と共に、事件の真相に迫る敏腕弁護士・庵野迦葉(あんの かしょう)に中村倫也。
父親殺しの容疑者・聖山環菜(ひじりやま かんな)には芳根京子。そして由紀の夫であり、迦葉の兄・真壁我聞(まかべ がもん)に窪塚洋介。
その他、木村佳乃、板尾創路、高岡早紀などの演技派から、石田法嗣、清原翔といった気鋭の若手まで豪華な顔ぶれが集い、迫真の演技で物語をよりリアルにエモーショナルに紡いでいく。
監督は『十二人の死にたい子どもたち』をはじめ『TRICK』シリーズや『SPEC』シリーズなど数々のスタイリッシュなサスペンスを生み出してきた堤幸彦。
さらに脚本は、「八日目の蝉」(NHK)や『彼女がその名を知らない鳥たち』の浅野妙子が手掛ける。
原作「ファーストラヴ」で第159回直木賞を受賞し、著書が近年続々と映像化されいずれも大きな話題を呼んでいる作家・島本理生。島本原作には以下の2作品もある。
『ナラタージュ』(17)
2006年版「この恋愛小説がすごい!」第1位に輝いた島本理生の同名小説を、松本潤&有村架純の共演で映画化。『世界の中心で、愛をさけぶ』などで知られる恋愛映画の名手・行定勲が監督を務め、禁断の恋に落ちる高校教師と元生徒が織り成す純愛を描く。
大学2年生の泉のもとに、高校時代の演劇部の顧問・葉山から、後輩たちの卒業公演への参加を依頼する電話がかかってくる。
高校時代、泉は学校になじめずにいた自分を助けてくれた葉山に思いを寄せていたが、卒業式の日に起きたある出来事を胸にしまったまま、葉山のことを忘れようとしていた。
しかし1年ぶりに葉山と再会したことで、抑えていた気持ちが膨らんでいく。一方、葉山もまた泉に対して複雑な思いを抱いていて…。
行定勲監督ならではの美しい映像とともに、島本理生の描く狂おしい恋に落ちる男女の姿から目が離せない一作となっている。
『Red』(20)
センセーショナルな内容が話題を呼んだ小説「Red」を、夏帆と妻夫木聡の共演、『幼な子われらに生まれ』『繕い裁つ人』の三島有紀子監督のメガホンで映画化。
誰もがうらやむ夫とかわいい娘を持ち、恵まれた日々を送っているはずの村主塔子だったが、どこか行き場のない思いも抱えていた。
そんなある日、塔子は10年ぶりにかつて愛した男・鞍田秋彦と再会。塔子の気持ちを少しずつほどいていく鞍田だったが、彼にはある秘密があった。
主人公の塔子を夏帆、塔子がかつて愛した男・鞍田を妻夫木が演じるほか、塔子に好意を抱く職場の同僚・小鷹淳役で柄本佑、塔子の夫・村主真役で間宮祥太朗が共演する。現在と過去が交錯しながら向かう先の、誰も想像しなかった塔子の“決断”とは――。
島本が繊細に描く、主人公塔子の外の世界を望む一方、妻として、母親としての枠に押し込められる“現代女性への呪い”ともいえる描写を夏帆が見事に体現しており、センセーショナルな愛の描写だけではなく主人公の葛藤する姿にもご注目いただきたい。
『ファーストラヴ』は2021年2月11日公開
島本理生のセンセーショナルな小説には、人間の抑えていた感情が溢れていく様が巧みに描かれ、観る者を惹きつける力があるだろう。本作も登場人物たちが抱える複雑な過去の心の傷と向き合った先に、<ファーストラヴ>というタイトルに秘められた事件の真実が紐解かれていく禁断のサスペンス・ミステリー。彼女たちがたどりつく結末、そして迫真の熱演の仕上がりに、是非注目したい。
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©2021『ファーストラヴ』製作委員会