2020年 映画産業分析:コロナに耐えた東宝&配信を巡る「2つ」の現象
2021年興行の鍵を握る3本
さて、2021年の映画興行はどうなるでしょうか。少し展望を考えてみたいと思います。1月に緊急事態宣言が一部の都府県に出され、飲食店は20時以降の営業を止め、映画館も20時以降の営業を控えるよう「お願い」された結果、現在は短縮営業を余儀なくされています。単純な営業時間以上に、感染拡大による不安の増大が映画館へ向かう人の足を鈍らせており、興行の方は決して好調とは言えない状況となっています。
ハリウッド話題作の公開は目処が立っておらず、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』などいくつかの邦画の話題作も公開延期が発表されています。今年もコロナの感染状況に大きく左右されることになるでしょうが、ズルズルと長引くと昨年以上の大きなダメージを負うことも考えられます。
昨年は『鬼滅の刃』の大ヒットに救われましたが、あのようなヒットが二年続けて生まれることは考えにくいですから、今年は『鬼滅の刃』抜きで、そして、もしかしたらハリウッド映画も抜きで何とかしないといけない可能性もあるわけです。
そんな今年の映画産業の鍵を握るのはこの3本でしょう。
『シン・エヴァンゲリオン劇場版』
1本目は、やはり『シン・エヴァンゲリオン劇場版』でしょう。旧作のテレビシリーズから数えて25年にもわたった同シリーズの完結編は多くの人が待ち望んでいます。謎の多い作品なので多くの人が考察合戦を繰り広げることになるでしょうから、リピーターも多いかもしれません。本作も多くの配信サイトで旧作を展開していますので、大ヒットで話題になれば、『鬼滅の刃』のような劇場と配信の相乗効果を発揮するかもしれません。
『名探偵コナン 緋色の弾丸』
2本目は、『名探偵コナン 緋色の弾丸』。本来は昨年4月の公開予定でしたが、緊急事態宣言で全国の劇場が休館となったため、1年延期となりました。近年、コナン映画は興行成績を上昇させ続けており、いよいよ大台の100億円突破が見えてきていた状況で、無念の1年延期となりました。1年待たされたファンの想いが爆発すれば、大きな成績を記録するのではと思っています。
『シン・ウルトラマン』
3本目は、企画・脚本庵野秀明、監督樋口真嗣による『シン・ウルトラマン』です。『シン・ゴジラ』を大ヒットに導いた2人ですが、その再現なるか注目です。先日公開された予告編はファンの期待を高める素晴らしい出来でしたので、大ヒットを期待したいです。
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。