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2021-02-09

心の余裕がない時、映画館に救われた話

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人生には、わけもわからないほど忙しい時期というものがある。
数年前、広告制作の仕事でほぼ毎日終電という生活をしていた。
テレビを見る暇はほぼなく、ピコ太郎のPPAPを初めて見たのは年末年始の休みで。

もともと休みはほとんど出かけているタイプだったのに、疲れ果てて寝て過ごすことが多かった。出かけたとしてもいつ仕事の連絡が来るか気にしなければいけなかった。

そんなある日、気になる映画があって映画館に足を運んだ。
これが、思った以上によかった。



作品自体ももちろん素晴らしかったが、「劇場で映画を観る」という行為がストレス発散になり、満足感を得られることに気づいた。すっかりハマってしまい、1か月で3~4本映画館に行った。

何が良かったのか?

それは「映画を観る以外できない状況で観ること」だった。
家でも配信やDVDで映画を観られる今、どうしても観たいもの以外は映画館でなくてもいいかも、という気持ちが当時は少しあった。

だが、全然違った。これは今の自分に必要な体験だったんだと気づいた。

家で観ると他のことをしながらになったり他の事情で中断したりして、あまり集中できていなかったことに気が付いた。他のことをできる状態だと、集中しようとしても何かしら映画以外のことにも気がいってしまうのだ。

映画館では作品に没頭でき、物語がより自分の中に入ってくる。状況把握や感情移入も深まるし、セリフを聞きのがすこともない。画面も大きく音質もいい状態で、全身が作品に向く。



またその間、自分の仕事や生活にまつわることから一旦線を引いて外に出られる。もちろん映画鑑賞中に思い出すことはあるかもしれないが、一度置いておけるのだ。映画の主人公である自分ではない誰かは、何かしらの問題を抱えたり出来事に出会ったりしながら、次へ進んでいく。映画館でなくとも同じことと思うかもしれないが、自分の物語を置いて他の物語に入りこむことが、ずっと自分に関することを考えなければいけない状態だった自分を解放してくれる。作品を観ている間だけは、主人公の人生を一緒に生きられる。

そして観終わった後、あらためて自分の物語をもう少し頑張ろうという気になる。
格段に高い質で作品に触れられるのだ。

そんな体験をしてから、年間30~40回は映画館に足を運ぶようになり、予告を観て気になったものはほぼ観逃がさなくなった(2020年はさすがに難しかったが)。

疲れたな、ちょっと余裕がないなと思っている方は、騙されたと思って一度映画館に行ってみてほしい。

(文:ぐみ)

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