「水曜どうでしょう」ファンなら必見!ドラマ「チャンネルはそのまま」の魅力とは?
今や全国的な人気を誇り、大泉洋を北海道のスターから全国区のスターへと導いた北海道テレビ放送(HTB)制作のバラエティー番組「水曜どうでしょう」。
昨年(一部2019年~)2020年にも新作企画が放映され大きな話題を呼びました。なんと言っても今や紅白歌合戦の司会までする大泉洋が番組内では永遠の若手として、こき使われ、ぞんざいな扱いを受け続けるという貴重なことが見られるのは「水曜どうでしょう」だけです。
“どうでしょう”の成功は出演者の大泉洋や“ミスター”こと鈴井貴之だけでなくディレクターの藤村忠寿、嬉野雅道も人気者にし、藤村忠寿は俳優としての顔を持ちます。また「水曜どうでしょう」に出演した大泉洋が所属する演劇ユニットTEAM NACS(森崎博之、安田顕、戸次重幸、音尾琢真)のメンバーも人気者となり、今やドラマ・映画でお馴染みの顔をとなりました。
そんな「水曜どうでしょう」制作・出演陣の通称“どうでしょう班”とTEAM NACSが『踊る大捜査線』シリーズの本広克行監督と組んで2019年に放映されたドラマが「チャンネルはそのまま」です。
「動物のお医者さん」などで知られる人気漫画家・佐々木倫子の原作をドラマ化したものですが、原作には明らかにHTBをモデルにした北海道☆テレビ(=HHTV)が登場。そこに“バカ枠”で採用された雪丸花子の暴走と成功をコメディタッチで描かれます。
ドラマの制作は、ちょうど、HTBの開局50周年&新社屋移転のタイミングと合致。結果、旧社屋(=直前まで使われていたバリバリのテレビ局)をフルに使ったロケーションはこれまでないリアルなテレビ局の裏側を描き出しました(本物をそのまま使っているので当たり前ですが)。
主人公の雪丸花子には芳根京子。そして花子と絡んでくる重要な役どころでTEAM NACSが全員出演。さらに北海道にゆかりのある面々やどうでしょうのディレクター藤村忠寿がエピソードディレクターを、嬉野雅道がプロデューサーとして作品に関り、出演も果たしています。ちなみに、ももいろクローバーZの百田夏菜子がカメオ出演しています。その役どころは“クローバー軒”というラーメン屋さんの店員役です。おそらく映画『幕が上がる』を本広監督が手掛けたことからのつながりではないかと思います。
このドラマはまずNETFLIXで配信作品としてスタート、その後HTB、さらにはHTBと同じテレビ朝日系の系列局で放映され、2019年の日本民間放送連盟のテレビドラマ最優秀賞とグランプリを受賞するとい高い評価を受けました。HTBは周年企画としてスペシャルドラマや舞台を制作。なかなか見る方法が難しいものがありますがどれもハイクオリティの作品ばかりです。
また、「チャンネルはそのまま」で「水曜どうでしょう」ファンが見逃せないのが各エピソードに挿入される「水曜どうでしょう」ネタ。どうでしょう名物“前枠&後枠”の撮影を思わせるシーンが挿入されたり、予定を聞くセリフの中で「水曜はどうでしょう?」というものがあったりと“ニヤリ”が止まりません。
そして何より「チャンネルはそのまま」が魅力的であるのが、そういった小ネタや北海道とのゆかりを無視しても、ローカルテレビ局の内側をしっかりと描いたお仕事ドラマであり、地方農業(リアルな北海道農業)の在り方を描いた真摯なドラマであることです。
「チャンネルはそのまま」は、ただの小ネタ系ドタバタドラマに終わらせず、社会的なメッセージを含めながら、エンターテイメントに昇華しているローカル局、低予算などのハンデを見事乗り切り、時に逆手にとって見事なドラマになっています。全五話と言うこともあって見やすさもプラスポイントです。
(文:村松健太郎)
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