映画コラム
『ブレイブ -群青戦記-』から連想される国産タイムスリップSF映画!
『ブレイブ -群青戦記-』から連想される国産タイムスリップSF映画!
■増當竜也連載「ニューシネマ・アナリティクス」
2021年3月12日より公開された『ブレイブ -群青戦記-』は笠原真樹の「群青戦記グンジョーセンキ」を原作に、戦国時代に学園ごとタイムスリップしてしまった高校生たちの運命を描いた本広克行監督のSFアクション大作です。
そもそも日本映画はタイムスリップをモチーフにした作品を制作することが多々見受けられ、その意味でも本作はその流れに沿った作品の1本とも捉えられます。
では、これまで日本映画はどのようなタイムリップを描いてきたか、少しばかり振り返ってみましょう!
NHK少年ドラマシリーズと
ジュヴナイルSF
『ブレイブ -群青戦記-』は高校生がSF的設定に巻き込まれていくことから、ジュヴナイルSFのジャンルに入れることが大いに可能です。
このジュヴナイルSFこそは、日本のSFを語る上で外すことのできない要素でもありますが、その原点はNHKの《少年ドラマシリーズ》にあるといっても過言ではないでしょう。
《少年ドラマシリーズ》は1972年から1983年までNHKの主に夕方枠で放送されていた主に中高生を主人公としたドラマで、その中にはSFも多分に含まれています。
何よりも記念すべき第1作が、筒井康隆の「時をかける少女」をドラマ化した「タイム・トラベラー」(72/最終回のみ現存)で、これが同シリーズの方向性を決定づけることになりました。
「続タイム・トラベラー」(72/原案・筒井康隆)を経て、少し時を置いて発表された1974年の光瀬龍の「夕映え作戦」を原作とする「夕ばえ作戦」は、不思議な機械(タイムマシン)で江戸時代へ行き着き、風魔一族との戦いに巻き込まれていく中学生の運命を描いたものでした。
その後もSF作品としては「まぼろしのペンフレンド」(74)「なぞの転校生」(75/原作・眉村卓)「明日への追跡」(76/原作・光瀬龍)「11人いる!」(77/原作・萩尾望都)「未来からの挑戦」(77/原作・眉村卓「ねらわれた学園」「地獄の才能」)「幕末未来人」(77/原作・眉村卓「思い上がりの夏」「名残の雪」)「七瀬ふたたび」(79/原作・筒井康隆)「ぼくとマリの時間旅行」(80/原作・小松左京)などが製作。
この少年ドラマシリーズ、当時の少年少女を大いに魅了するとともに、ひいては映像クリエイターの道を歩むことになった者も多数いるのでした。
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(C)2021「ブレイブ 群青戦記」製作委員会 (C)笠原真樹/集英社