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人生に迷ったら鑑賞すべし!『迷子になった拳』は世界一危険な格闘技ラウェイに挑む人々を描く



現代社会では、安心・安全は絶対的に正しいこととされています。

食の安全、交通の安全、タバコの副流煙を吸わない安全など、安心・安全の健康志向が世の中全体で高まり、それを妨げるものはどんどん社会から姿を消しています。

それはスポーツの世界でも例外ではなく、例えばサッカーではヘディングが人体に与える悪影響があることが取り上げられ、ヘディングを禁止にすべきではという議論も持ち上がっています。

確かに、安全・安心であることが良いことであるのは否定できません。しかし、この世の中には、安全な場所では充実した生を実感できない人が一定数いることもまた事実です。

ドキュメンタリー映画『迷子になった拳』はそういう人々の物語と言えるでしょう。本作は、ミャンマーの伝統格闘技で「世界一危険な格闘技」と言われるラウェイに挑む日本人ファイターたちの姿を捉えた作品です。



ラウェイでは、拳に着けるものはバンテージのみ。通常格闘技では反則とされるような行為もほとんどルール内で許されています。当然流血は日常茶飯事で、かなり血なまぐさいのですが、一方で1000年以上の伝統を持つ神事としての側面もあり、宗教的な荘厳さも感じさせます。試合前には祭壇に祈りをささげ、試合中はミャンマーの伝統楽器の演奏で試合を盛り上げています。

映画の中心人物となるのは、2016年から本場ミャンマーでラウェイに挑む金子大輝選手と、2017年から日本国内のラウェイの大会に挑む渡慶次幸平選手の2人。金子選手は、かつて体操選手を目指していたが怪我で断念、渡慶次選手は一度格闘技を引退したものの復帰するなど、いずれも人生をやり直そうとしてラウェイの道を歩んでいます。

毎回、試合後にはボコボコの顔になりながら、2人は過酷な戦いになぜ挑むのか。それは言葉では明確には語られません。しかし、リングの上の彼らは確かに生きているという充実感に溢れているように見えます。拳がむき出しなので、時には指が目に入って失明の危険もあるそうですが、彼らは確かにそういう場所で「生を実感」をしているように見えるのです。

ラウェイのリングにある、宗教的な厳かさと血なまぐさい戦いは、人間のプリミティブな姿を呼び覚ますような感覚を覚えます。人間の根源的な生のあり方を、現代人に強烈に突き付ける衝撃の一作です。人生の迷子になっている人に、ぜひ観ていただきたい一本です。

映画『迷子になった拳』公式サイト

(文: 杉本穂高)

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