映画コラム

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2021年04月05日

『パーム・スプリングス』レビュー:永遠に「今日」を繰り返す男女のファンタなラブコメ快作!

『パーム・スプリングス』レビュー:永遠に「今日」を繰り返す男女のファンタなラブコメ快作!



■増當竜也連載「ニューシネマ・アナリティクス」SHORT

妹の結婚式の夜に知り合った男性ナイルズ(アンディ・サムバーグ)のトラブルに巻き込まれ、おかげで一度眠ると結婚式の朝に時間がリセットされるという、無限のタイムループに陥ってしまったヒロイン、サラ(クリスティン・ミリオティ)の一大受難!

永遠に同じ時間を繰り返す無限地獄を描いたSFやファンタジー作品そのものは特に珍しいものではありませんし、最近も毎日ヒロインが殺される羽目になるブラック・ファンタジック・コメディ『ハッピー・デス・デイ』(19)が人気を博したばかり。

しかし、こちらもなかなかにポップでノーテンキなラブコメ快作として、大いに楽しませてくれます。



そもそもは先に永遠の「今日」を繰り返していたナイルズ(恐らく40年くらいはずっと同じ1日を繰り返している!)の日常に、サラが新たな仲間として加わったという設定がユニークですが、このふたりのドタバタな関係性が、舞台となる砂漠のリゾート地“パーム・スプリングス”そのものの明るさや開放感と見事にマッチし、ふたりのタイムループ脱出作戦の数々が抱腹絶倒の面白さとして快活に機能していきます。

定番と言ってしまえばそれまでの設定ではあれ、脚本のテクニックやそれに準じた舞台設定や役者の個性、そしてもちろん演出の冴えなどによって、映画はいくらでも新しい潤いをもたらすことができるという、好例中の好例。



なぜかナイルズの命を狙う謎の男ロイ(『セッション』で鬼教師を演じたJ・K・シモンズ!)の真実にしても何とも言えない味わいがあり、そうこうしていくうちに主人公ふたりの関係性も含めて、妙にヒューマニスティックな情緒がもたらされていくあたりも絶品です。

この春の肩の凝らないデート・ムービーとしても、最適な1本としてお勧め。

恐らく鑑賞中、誰しも一瞬くらいは「こんな幸せがいつまでも続くのなら!ってほどにハッピーな日であれば、永遠にループしてもいいかな?」なんて気持ちにさせられてしまうこと必至です!

(文:増當竜也)

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