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田辺誠一 出演オススメ映画「厳選3選」|魅力は何よりも「誠実さ」

(C)2008 FUJI TELEVISION, ALTAMIRA PICTURES, TOHO, DENTSU



NHK大河ドラマ「青天を衝け」より ©NHK

たくさんの映画・ドラマで活躍する俳優・田辺誠一の魅力をご紹介しましょう。

放送中の大河ドラマ「青天を衝け」でも好演されている、どちらかと言えばバイプレイヤーという印象も強い田辺誠一ですが、主演作または重要な役を担っている映画を観てみれば、さらにその俳優としての実力と面白さを気づけるお方でもあったのです。

そして、いずれの役でも何よりも先に「誠実そうだ」と思える説得力があり、かつ「それだけはない」と思わせるだけの演技力やポテンシャルが、それぞれのキャラクターを豊かに奥深くしているのだとも気づきました。厳選3作品から、そのことを解説してみます。

1:『ハッピー・フライト』
生真面目さと不器用さが入り混じった可笑しさと愛おしさ



本編の大筋は「旅客機が機体異常を起こしたため引き返えそうとする」というもの。航空パニック映画の中でもひときわ地味な(そもそも航空パニック映画とも呼べない)内容なのですが、クセの強いキャラクターたちがみんな印象的で、何気ないセリフや行動が伏線として回収される気持ちよさもたっぷりの、痛快愉快な群像劇コメディに仕上がっていました。何より、航空会社で働く人たちの奮闘を通じて、仕事をしている人すべてに通ずるエールになっているのが素晴らしいです。さすがは『ウォーターボーイズ』や『ダンスウィズミー』などの矢口史靖監督、「大きな事故とかが起こっていないのにこんなにも面白い!」映画になっていることを賞賛すべきでしょう。

田辺誠一の面白さが最もわかりやすく伝わるのも、この映画なのではないでしょうか。劇中で彼が演じるのは、機長昇格訓練中の副操縦士。彼が厳しい指導教官の時任三郎の言動の一つ一つに恐れおののきつつも、乗客の命を預かる自分の使命を全うしようとする生真面目さと、それでもあわててしまう不器用さが入り混じりったキャラクターにハマりまくっており、可笑しくも愛おしくなることでしょう。ドジっ子だけど頑張る新人CAに扮した綾瀬はるかもとってもかわいく、その他の豪華キャストの七転八倒ぶりを眺めているだけでも多いに楽しめるはず。万人向けの娯楽映画としておすすめします。

2:『ライアーゲーム ザ・ファイナルステージ』
信頼できそうだけど「裏の顔」もあるかも…?



マンガ原作の人気ドラマ、その最終章(後に『ライアーゲーム 再生(リボーン)』も作られましたが)にあたる劇場版です。ドラマ版から続投しているキャラクターもいますが、基本的には物語は独立しており、全編で1種類の心理ゲームが展開しているので、予備知識なくいきなり観ても問題なく楽しめるでしょう。演出はドラマ版と同じくケレン味たっぷり、スピーディーに二転三転していくため、「映画で少しでも退屈すると飽きてしまう」という方にもおすすめできる一本です。

本作は豪華キャスト陣が演じるキャラクターが軒並み「裏の顔」を持っており、それぞれの「豹変」ぶりも大きな見どころです。田辺誠一が演じている役も同様で、初めこそ「信頼できそうな仲間」として登場するものの、その後すぐに「もう限界ですよ~」「どうやって勝つって言うんですか!」など状況にしどろもどろになる頼りなさを見せます。しかし、やがて彼の存在がゲームの行方を大きく左右することになります。ネタバレになるので詳細は避けておきますが、終盤のまさかの大活躍、特に「冷静でいられなくなった瞬間」や「笑顔の理由が変わる瞬間」は田辺誠一の演技力、カメレオンぶりをまざまと思い知らされました。

3:『ハッシュ!』
優柔不断だけど、父親になれそうな青年



ゲイのカップルが、独身女性から「結婚や付き合うのではなく、子どもがほしい」という相談を受けたことから動き出す物語です。2001年製作の作品ですが、ゲイへの誤解や当事者の悩みは現在でもほとんど変わらないだろうと思えるリアルなものであり、かつ過度に悲劇的にも楽観的にもなっていない、彼らの等身大の日常をユーモラスかつ真摯に見つめている作品の姿勢が素敵でした。橋口亮輔監督は『ぐるりのこと。』や『恋人たち』など、作品ごとに高い評価を獲得しながらも、ほぼ7年間隔でしか長編を世に送り出さない寡作な作家でもあります。だからこそ、それぞれの人間の生き様が凝縮されたような、濃密な映画が出来上がるのでしょう。

田辺誠一が演じるのは、ゲイであることを周りに隠している青年であり、優柔不断を絵に描いたような性格です。想いを寄せられている同僚にはっきりとした態度を示さず、その後も相談をしてきた女性となかなか打ち解けようとはしません。だけど、それは重要な決断について悩みに悩んでしまうという「誠実さ」の裏返しとも言えます。そんな彼は、相談をしてきた女性に「父親になれる目をしているって思った」と、それだけだと素っ頓狂にも思えることも言われるのですが、本当に父親になれそうだと映画を観ている側も思える、優柔不断であっても包容力や優しさのある人間であるということを、田辺誠一は見事に体現していました。

まとめとおまけ:言葉で場所の魅力を紡ぐ、『椿の庭』の役も要チェック!

この他、田辺誠一の役で、出演時間が短くても印象に残るのは、映画『紙の月』や『斉木楠雄のΨ難』などの、「絵に描いたようないい夫(父)」の役でした。前述した『ハッシュ!』と同様に「父親っぽさ」があるのは、彼の元々の人柄によるところも大きいでしょう。

もちろん、その「良い人そう」な雰囲気に止まらず、『ハッピー・フライト』の「あわてる姿が愛おしい」というコメディとの相性の良さ、『ライアーゲーム ザ・ファイナルステージ』における「こんな人だとは思わなかった!」な意外性にも説得力を持たせているのは、卓越した演技力の賜物です。


(C)2020 “A garden of Camellia” Film Partners

そして、2021年4月9日より公開の映画『椿の庭』でも、田辺誠一は出演時間はごく短くても、やはり印象に残る役を演じています。

『椿の庭』の舞台はほぼほぼ「古民家を移築した一軒家」のみ。夫を失った老婦人と、その孫娘、周りの人々が織りなす静かなドラマが紡がれています。ゆったりしたテンポで、四季折々の風景を美しく切り取りながら進行していくため、「浸れる」環境の映画館で観てこその感動があるでしょう。富司純子、鈴木京香、シム・ウンギョンと、それぞれの世代の女優たちの存在感および演技アンサンブルも大きな見どころでした。

そして、田辺誠一の役は、その一軒家に訪れて、「庭の手入れが行き届いて、とても気持ちがいい。それに、海がこんなに綺麗に見えるなんて」と、その舞台の魅力を言葉にもしていました。なんてことのないシーンに見えるかもしれませんが、「ものや場所には人の記憶が宿っている」ことを主張する本作にとっては、その「言葉にする」こともまた重要であり、それを言うのが「誠実さ」そのものを体現するような田辺誠一であることも必然性があったと思うのです。

(文:ヒナタカ)

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