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3度目の緊急事態宣言|映画館への影響は甚大、そして協力金は到底足りない!

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※本記事は2021年4月24日0時現在の情報に基づいて執筆しております。流動的な情勢ゆえ、変更があった場合はご容赦ください。

2021年4月25日から5月11日の17日間、東京都、大阪府、京都府、兵庫県の4都府県に3度目となる緊急事態宣言が出されることになりました。

映画産業への影響は甚大なものになるのは確実です。

「人流の抑制」を目的とした緊急事態宣言

今回の緊急事態宣言は、2度目の時とはやや性格が異なります。2度目の緊急事態宣言時には、飲食店を中心に20時までの時短営業をお願いするもので、これはクラスターが発生しやすい場所のみに絞ってケアするというものでした。(クラスター発生していない映画館には「要請」ではなく、中途半端な「お願い」で協力金も出してくれませんでした)

だが、今回はクラスター発生源のみを潰すことを目的ではなく、徹底した「人流の抑制」が目的です。現在、4都府県の感染者の多くが感染力の強い変異株によるものであり、もうクラスター潰しだけでは拡大を止められないという判断です。

4月23日夜、菅総理は記者会見で、「劇場などはクラスターが発生していない、感染対策をしっかり行っていただいている、けれでも人流を断つために敢えてお願いする」とはっきりと語っていました。映画館や演劇の劇場は、クラスターを出していないことは認識しているのです。それでも、映画館や劇場は人が移動する目的地となるので、休業要請の対象になったということです。

東京都の小池都知事も同日夜の会見で、やはり「人流を確実に抑える、外出せずに徹底したステイホームを」と強調していました。

映画館や劇場だけでなく美術館などの様々な施設、デパートや飲食店なども休業要請の対象となります。昨年の4月のような、街から人が消える事態を目指しているということなのでしょう。

緊急事態宣言の映画館への影響

今回、休業要請対象となる大型の施設は、特措法の基準に従い1000平方メートル以上の施設となります。この休業要請は、ほぼ全てのシネコンに当てはまります。

一方、ミニシアターは1000平方以下のサイズが多いです。しかし、東京都は上述した通り、徹底して人流を抑えたいので、都独自に1000平方メートル以下の小規模の施設にも休業要請を出すことを決めました。

つまり、都内の映画館は全て休業要請対象となります。

今回は、特措法改正後の緊急事態宣言なので、要請に従わない施設には「命令」ができるようになります。命令にも従わない場合は最大30万円の罰金もあります。映画館はどこも従わざるを得ないでしょう。

そもそも、映画館の監督省庁は、コロナ対策の最前線の省庁でもある厚生労働省です。こういう時は従わざるを得ない立場であると言えます。

協力金が足りない

休業要請に応じた施設には協力金が支払われますが、とても十分とは言えません。

1000平方メートル以上の大型施設は最大340万円(4月25日から5月11までの17日間)。施設内のテナントには最大34万円となります。

そして、都独自に決めた1000平方メートル以下の施設に対しては、最大34万円だそうです。つまり、1日2万円の計算です。ミニシアターはこれに該当すると思われます。

この金額の算出は、23日夜の小池都知事の会見によれば「テナントの協力金が1日2万円なので、そこと整合性を取るために設定した」とのことです。つまり、事業者がやっていける金額がどうかを考えたのではなく、みんなと同じにしましたというだけのようです。

これは、とても映画館が運営できる額ではありません。映画の平均鑑賞料金は1200円〜1300円程度ですから、15人程度の入場料金しか賄えない計算です。

すでにアップリンク渋谷がコロナを理由に閉館を発表していますが、これは本当に他の劇場も相当にまずい状況になると思います。

ちなみに、国からの協力金がもらえるのは、国の休業要請の基準である1000平方メートル以上の施設になります。1000平方メートル以下にお金を出すのは東京都だけです。大阪や兵庫、京都は2021年4月23日夜の時点ではそういう決定はしていないようです。

近隣県はどうすればいいのか

今回の緊急事態宣言は4都府県のみが対象ですので、神奈川や埼玉、千葉などは行政からの休業要請の対象ではありません。よって、今のところ、協力金の対象にもなりません。

しかし、このまま営業を続けても影響は甚大でしょう。当然、世間が自粛ムードになれば、映画館に出かける人は減りますから、売り上げダウンは免れません。さらに、『映画クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園』や『アーヤと魔女』のように公開延期を決める作品も出ています。これからも延期を決める作品が増えてくる可能性はあるでしょう。そうなれば、上映作品数が足りなくなります。

配給会社としても東京と大阪の2大都市を欠いては、満足な興行成績を挙げられないので、これは苦渋の決断だと思います。

しかし、協力金もないわけですから、営業を止めるに止められないのが実情ではないかと思います。上映作品が少ないので営業しても地獄ですが、休業しても地獄です。

影響は確実に長期化するので実態に即した補償が必要

昨年の緊急事態宣言は、当初7都府県から始まり、1週間後に全国に拡大されました。そして、当初は2020年5月6日に終了予定だったものを期間延長して最も長い地域で2020年5月25日までかかっています。

今回も延長されない保証はどこにもありません。そうなると映画産業への影響はさらに長期化します。

仮に、最高のシナリオで4都府県の感染拡大が劇的に食い止められたとしても、他の地域では人流の抑制を行っていないですから、普通に感染拡大するでしょう。

5月中旬に東京の状況がよくなって、都内の映画館の営業が再開できる頃に、近隣の埼玉、神奈川、千葉では感染が増え続けて、今度はそっちが緊急事態宣言が必要な状況になるかもしれません。少なくとも、近隣3県から人が都内にたくさん流れることは間違いないので、リバウンドが起きる可能性はかなり高いでしょう。

そうなると、また休業要請がでるかもしれません。こうなると、影響は長期に渡ります。昨年と同等か、それ以上に苦しい状況になってもおかしくありません。

現在、猛威を奮っている変異株への対応に、人流の抑制が必要なのは理解できます。

しかし、この協力金の金額の低さでは対策の本気度が伝わってきません。

そもそも、協力金の算出の根拠が意味不明です。


2回目の緊急事態宣言の時も飲食店には一律で同額が支給されていましたが、それでは大赤字のところと普段よりも儲かってしまうところが出てしまい、「#協力金バブル」なんてハッシュタグもあったぐらいです。もっときちんと、実態に即したお金の使い方をしてもらわないと困ります。映画館で1日2万円なんてまったく現実的ではありません。本気で人流を抑制したいなら、本気で必要な金額を計算してほしいものです。

しかも、今回の緊急事態宣言や補償の詳細が発表されたのが、金曜日の夜です。配給会社も興行会社も宣伝会社も振り回され続け、相当に疲弊しているでしょう。

結局、大手シネコンでされ、23日の夜の時点でも25日以降をどうするのか、発表できていません。全く時間も足りないし、お金も足りないし、選択肢も足りないという状況に追い込まれています。23日は対応協議で寝られない人もいるかもしれません。これまで徹底した感染対策をしてきたのに、さすがにあまりにひどい仕打ちという他ありません。

今回は、広範囲の産業に休業要請が出されます。被害は映画産業にとどまりません、様々な業界とも連携して映画産業も十分な補償を勝ち取るために声を上げ続けていく必要があるでしょう。

(文:杉本穂高)

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