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『ホムンクルス』レビュー:人間の不可解な深層心理を探求する清水崇監督の意欲的サイコミステリ!


■増當竜也連載「ニューシネマ・アナリティクス」SHORT

本作は4月2日より劇場公開され、4月22日よりNetflixで配信が開始された作品です。
(現在公開中の劇場もあります)

こういったお披露目の形態は今後かなり一般的になってくるものと思われますが、それはさておき本作は山本英夫の同名コミックを原作に、『呪怨』シリーズや最近では『犬鳴村』『樹海村』をヒットさせた清水崇監督がメガホンをとったサイコミステリ。

記憶喪失のホームレス名越(綾野剛)が研修医・伊藤(成田凌)の誘いに応じ、頭蓋骨に穴をあける手術=トレパネーションを受けたことから始まる奇妙な現象の数々から、トラウマなど人間の不可解な心の闇が鋭く探究されていきます。

主人公が左目だけで見ることのできる「他人の深層心理の視覚化」の異様にキテレツな描写や、その対処法なども実に荒々しく、ツッコミどころも満載ではありますが、そういった細部よりも清水監督は人の心の闇の描出にこそ腐心しているかのようです。



記憶喪失で数奇な運命に巻き込まれていく主人公を、綾野剛がさすがの繊細な演技で体現。

また、今やカメレオン俳優といってもさしつかえないであろう成田凌の不気味な風情もまた一興。



さらには成田凌とクリーンヒット作『愛がなんだ』で共演した岸井ゆきのが真相の多くの鍵を握る人物として後半登場しますが、彼女が出てくるだけで画面が一段と引き締まる好演です。

ホラー映画の鬼才といった印象が強い清水監督ですが、最近の『樹海村』などを見ましても少し目線が変わってきたというか、新たな方向を模索している節が感じられ、それは理屈で表現しきれない数々の超自然的現象の受け止め方の変化にあるような気もしてなりません。

本作もまた「こんなことって、あり?」といった理由づけなどは抜きにして、超自然的現象に遭遇した者たちがどう受け止め、どう行動するかを映画的躍動感をもって描出することを望んでいるかのようで、個人的にはそうした意気込みを以って良しとしたい作品です。

(文:増當竜也)

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