映画コラム

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2021年05月20日

バカリズムの世界観:“もしもの世界“で醒めて踊る!『地獄の花園』へと続く道

バカリズムの世界観:“もしもの世界“で醒めて踊る!『地獄の花園』へと続く道


 そして『地獄の花園』


映画『地獄の花園』 より ©2021『地獄の花園』製作委員会

そして、バカリズム脚本の最新作が映画『地獄の花園』です。『架空OL日記』『劇場版 殺意の道程』はどれもテレビドラマからの映画化企画ですが、『地獄の花園』は映画単体のために脚本を書き下ろした作品です。

主演に永野芽郁。共演に広瀬アリス、菜々緒、川栄李奈、大島美幸、勝村政信、松尾諭、丸山智己、遠藤憲一、ファーストサマーウイカ、小池栄子、室井滋というバラエティ豊かな面々が揃いました。

普通のOLが普通のオフィスワークをこなすその一方で、武闘派OLたちが社内の覇権を握るため、日夜拳を交わしていたという奇想天外な設定を楽しそうに演じきる演者の熱演とバカリズムの程よくリアリティを感じさせる脚本によって、シンプルに笑って楽しめる映画に仕上がりました。

ここで言うリアリティというモノがまたポイントで、実際にあるかどうかではなくて、実際にありそうだと見ている側に感じさせられるかどうかが重要なのですが、バカリズムの脚本はそのリアリティを見事に確立させています。

この辺りは『架空OL日記』の頃から培われたものだと思いますが、今回の『地獄の花園』では、ここにヤンキー漫画のパロディをミックスしてきました。

劇中では『クローズZERO』シリーズや『HIGH&LOW』シリーズなどを思い起こさせる描写の数々が展開されていきます。メインキャストの身体を張ったアクションはもちろん、モブシーンの群集アクションもかなり頑張っています。基本的に女性しか集められない中でここまで集団アクションを撮り上げたのはなかなか見事です。

ただ、これはあくまでも物語のエッセンスでしかないというのがとても贅沢です。もっと女性同士のシンプルなアクション映画にしてしまっても良かったかもしれませんが、バカリズムはここでも行き過ぎないバランス感覚を見せています。

今後、バカリズムによるジャンルミックス路線も楽しく見られそうですし、そろそろ映画監督デビューがあってもいいのではないかと思わせてくれます。

(文:村松健太郎)

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©2021『地獄の花園』製作委員会

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