©2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会
©2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会

インタビュー

2021年08月16日

『ドライブ・マイ・カー』三浦透子インタビュー「自分でしっかり前を向こうと思える映画」

『ドライブ・マイ・カー』三浦透子インタビュー「自分でしっかり前を向こうと思える映画」


黄色いサーブではなく、赤いサーブを登場させた理由

ーー北海道・赤平で撮影されたという冬道での運転シーンは、見ていて「スリップが怖いんだよね……」と変なところで共感してしまいました。私も三浦さんと同じく、北海道出身なので。

三浦:
北海道の撮影では、両親や祖父母にいろいろとアドバイスをもらいました。冬の雪道を運転するときのアドバイス。もうとにかく「そんなにスピードを出さないこと!」って(笑)。私が考えていたよりは、そこまで危険な道を走らずに済んだのでホッとしたんですけどね。格好良く撮ってもらえて嬉しかったです。



ーー赤色のサーブ、格好良いですよね。村上春樹さんの原作では黄色のサーブでしたが、色を変えられたのには理由があるんでしょうか?

三浦:
もともとは原作どおり黄色いサーブを使う予定だったんですが、劇用車を扱う会社の方に黄色いサーブを見せてもらったら、その隣に赤いサーブがあったらしいんです。濱口さんが「こっちのほうが素敵だ」って思ったらしくて。使用許可はもらえたんですけど、その赤いサーブ、会社の方の私物だったんですよ。

ーーえ、そうなんですか? それはすごい。

三浦:
ええ。やっぱり、ちゃんと愛情を注がれている車の匂いみたいなものを、きっと濱口さんは感じ取ったんだろうなって。色だけじゃない特別なものを、この車に感じたんだろうなと思います。

ーーそのお話を聞いた上でもう一度この作品を観たら、また何か感じるものがありそうですね。

「ただそこに存在する」という演技

ーー家福とみさきが、通訳であるユンスさんの自宅に招かれて食事をするシーンがありますよね。その時にみさきが、ソファに座っていたワンちゃんの動きを目で追っていて。その様子がすごくリアルで、生っぽさを感じたんです。「ああ、自分に直接は関係のない会話がされていると、その場にいるペットを目で追っちゃう時があるよなあ」って。

そういう、ただそこにいる生っぽさみたいなものを出していくのに、日ごろから工夫されていることはあるんでしょうか?

三浦:
そうですね……私の普段の立ち振る舞いが映ってしまう職業なんだってことを、自覚するっていうことでしょうか。映ってしまうものに抗わないというか、そもそも、隠せないものというか。

ーーつい出ちゃった仕草を、そのまま出した?

三浦:
そうですね。「自然に振る舞わなきゃ!」という意識よりは、本当に居心地が悪い感じだったり、ただ単純に「犬がかわいいな〜」と思ったりした、そのままの気持ちに従うようにしましたね。



三浦:
この作品では、動物とみさきが触れ合うシーンって結構あるんですよ。最後のシーンもそうですし、工場のそばでフリスビーを投げて、キャッチしてもらうシーンなんかも。

ーーありましたね。

三浦:
”みさき”という人間を知る上では、動物と触れ合うシーンひとつひとつがヒントになってくれました。言葉じゃない何かから、生き物の感情を感じ取れる人。人だとか動物だとか、そういう区別とは別のところにあるというか。

人間だとか動物だとか関係なく、心がある対象と、目や空気で会話ができる子なんだっていうことを、動物と触れ合う描写を通して感じられました。”みさき”はこういう子なんだって理解する上で、すごく役に立ったなと思ってます。

ーーこの作品に限らず、これまでの三浦さんの出演作を観ていても、三浦さん自身にそう感じることがすごくあります。

言葉を直接介さなくても、心で感情やその場の空気感をキャッチする方なんだって思っていて。三浦さん自身も”みさき”というキャラクターに対して、自分との共通性を意識する瞬間はありましたか?

三浦:
そうですね、まず純粋に”みさき”という役をやってほしいと声をかけてもらった時に、もう本当に嬉しくて。台本を読んだときから、ものすごくこの女性が魅力的で、うーん……、私自身は、彼女ほどできた人間ではないけれども、「こう在りたい」と思う姿がみさきの中にはたくさんあるんですよね。

彼女の持ってる哲学とか、仕事に対する姿勢、人との関わり方、振る舞い方、言葉の選び方。

そういうものは、なんだろう……私も同じであるとは決して言えないけれど、そういう風に振る舞いたいと思う、ある種の理想の姿でもあるなと。かっこいい女性だと思います。

ーー私もずっと、なんてかっこいい人なんだろうと思いながら観ていました。三浦さんだからこそ演じられた役じゃないかなと。

三浦:
自分自身ではわからないですけど、少なくとも「こういう役をやらせたい」と思ってもらえる人間だったんだっていうことが、純粋に嬉しかったですね。



無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

©2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会

RANKING

SPONSORD

PICK UP!